表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
40/52

『人形師《ドールマスター》』

 運動会の昼休みのこと。チームで固まってとのことだったから、とりあえずチームのシートで食事をとることになった。なぜか、見習達の親やら世話係やらと一緒に。

 正直師匠の考えていることは分かないけれど、まあ学院長の許しもあることだし、少なくとも建前はちゃんとしたものがあるんだろう。

 考えても仕方のないことは置いておいて食事に集中していると、『人形師(ドールマスター)』が寄ってきた。

 「『魔術遣い(マギクラフタ)』、いまよろしいか?」

 「構いませんけど、どうかしました?」

 どういうわけかたたずまいを正して。なんとなくこちらまで緊張してしまう。

 『人形師(ドールマスター)』はちょっと躊躇した様子を見せてから、決心したように口を開いた。

 「その、ヤーレのことなんだけれど、どう……かな?」

 「どう、とは」

 「こう、色々あるだろう? うまくなじめているかとか、学校の成績とか、とか」

 『人形師(ドールマスター)』らしくない、自信なさげにもじもじとしている。母として子供が心配なのでしょうが、なんというか、人は変わるものなんだな。

 「そうですね……まあ、仲良くしている人もいますし、成績の方も……前期はギリギリでしたけど、最近は頑張ってるみたいですよ」

 「そ、そうか」

 それで安心したように息を吐きます。それでも、まだ緊張した様子を残していた。

 「もう少し詳しく聞きたいんだが、その、魔術の授業とか」

 「その辺は問題ないですよ。魔術よりは魔法の授業の方が得意そうですけど、まあそれでも平均以上には分かってるそうですし」

 「知識の方は心配していない。実践の方は」

 「実践というと……それなら『泣女(バンシー)』に聞くのが早いでしょう」

 「なに、呼んだ?」

 名前を出したと同時に『泣女(バンシー)』がこちらにやってきた。

 「『人形師(ドールマスター)』が娘の様子を聞きたいそうです」

 「なに? ちびっ子ちゃん? ってほどちびっ子でもなかったわね、あなたの娘は」

 「またあなたはそういうことを」

 「あなたのクラスだと年は2番目に若いはずですけどね」

 「人間年じゃないのよ、魔女になるんならなおさらね。それはともかく、それはちょうど『魔術遣い(マギクラフタ)』に相談しないといけないと思ってたところで」

 そしてこれまた珍しく、『泣女(バンシー)』が口元に手を当てて考え事をしている様子。しかし、『人形師(ドールマスター)』よりは決断は早いようだ。

 「あの子、このままだとダメね。全然魔力を扱えてない」

 「それは……」

 魔女見習いにとって、魔力の扱いは必須中の必須。これが出来ずに魔女にしてしまえば、すなわち死に繋がる。魔女見習いとは、本質的には魔力の扱いを学ぶためにある期間でしかない。

 それが駄目ということは、つまりは魔女になれないと言われるようなものである。

 けれど、意外と『人形師(ドールマスター)』はショックを受けていなさそうだった。

 「やはり、そうか」

 「あら、想像してたの? 想像以上かもしれないけど」

 「いや分かる。それも、私のせいだからな」

 「それはどういう――」

 詳しい話を聞こうとしたところで、『泣女(バンシー)』が立ってしまった。

 「なんか暗い話になりそうだからあっち行ってるわ」

 「ああ、すまない」

 それで、私もなんとなく聞きづらくなってしまった。どうせならもっとうまくフェードアウトしてくれたらよかったのに。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ