百鬼 主筆であった
別段やりたいから入ったわけではないが
なんとなくで記者になった
そこそこ仕事もできた
だからかだろうか
徐々に出世もしていき
じきに編集長になるのではないだろうかと
囁かれた
編集長になりたいかと問われると
そうではない
単純な話
現状に満足している
今に胡座をかいている
そうすれば追いついてくる人もいる
わかりきっていたことである
その時人がくれば
張り合えばいいだろう
そんな風に考えていた
優秀な後輩ができた
なんでもできる
向上心もある
並んだ
後輩のくせに
肩を並べてきた
そこから全ての歯車が狂った
一度狂えば元通りにはならない
気づけば黒く尖ったペン先は
赤々としていた
朱筆となった