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異世界からの呼び声
声が聞こえる。
私を呼ぶ声がする。誰かが私の名を呼んでいる。誰だろう?
女の人の声だ。お母さんかなと一瞬思ったけれど、違う。私を呼ぶ声は、もっと若くて澄み切った声だ。
「だれ……?」
あおいは起き上がった。寝ぼけた頭で辺りを見渡す。
視界に入るのは見慣れた自分の部屋だ。寝る前に電気を消していたので、暗い。だが、カーテンの隙間から漏れる月明かりがうっすらと部屋を明るくしている。
「夢か……」
寝ぐせのついた頭に手をやりながら、もうひと眠りすることにした。
すやすやと寝息を立て始めたころ、机の上に置いてあるデスクトップパソコンの電源が入った。誰もボタンを押していない。勝手についたのだ。そして画面に少女の姿が映る。
「あおい、私を助けて」
あおいがその声に気づくのはもっと後のことだった。