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#3 女王陛下暗殺未遂事件

「何があったか詳しく聞かせてくれ」


「エケストリス。話して差し上げなさい」


「昨夜深夜。空を飛ぶハーピーを目撃した」


 空の女王(ハーピー)は、見目麗しい女性の身体に鷲の翼と鋭い爪を持った種族だ。


「私は見失ってしまったのだが、部下に周囲の捜索を命じると、テラスの手摺りに侵入した痕跡が発見された」


「じゃあハーピーが女王の命を狙ったと」


「最後まで聞け。城内を捜索すると衛兵が子どものような背丈の侵入者を発見したんだ」


「子どものような、小さな美食家(ホビット)か?」


「ああ。証拠も落ちていた。その侵入者は陛下の寝室に侵入したんだ」


 そこで女王が会話に入る。


「気配に気がついた私が目を開けると、白金の糸を持った賊の影が見えたのです。咄嗟に短剣でその糸を断ち切ると賊は逃げていきました」


「姿は見てないのか?」


「寝室は暗く廊下も薄暗かったので姿は見ていません。ただ背丈は子どものようでした」


「その侵入の痕跡とやらを見せてもらっても?」


 まずテラスの手摺りを見ると、爪が食い込んだような縦三本の線があった。


 次に廊下のカーペット。衛兵が指差したところに乾燥して細かくなった葉が落ちていた。


 摘んで鼻に近づけると、どこか嗅ぎ慣れた豊潤な香り。ホビットが常備するタバコ草だ。


 最後に許可をもらって女王の寝室を見せてもらう。


 昨夜の様子を再現すると部屋は薄暗く、近くにいるエケストリスの顔も見えない。


 それにしても寝るだけの部屋が、俺の事務所よりも大きいく、ベッドは俺が寝ているソファとは段違いの柔らかさ。


 何度か押していると、仄かに甘い香りが漂ってきた。これはもしや……。


 背後からの咳払いで我に帰る。


 振り返るとエケストリスが今にも弓を取り出しそうな鋭い雰囲気を発している。


「すまんすまん。もう調査は充分だ」


 俺は寝室を後にすると女王の元へ戻った。


「タンテイさん。何か分かりました?」


「いや。悪いがタバコを吸いたい。部屋貸してくれるか?」


「ええどうぞ」


「何か閃くまで邪魔しないでくれ」


 俺は喫煙部屋に入り、貴重なタバコに火をつけ長年親しんだ味で肺を満たす。


 吐き出すと天井の水晶が反応して煙を吸い込んでいく。


 手がかりから犯人の候補をリストアップし除外していく。


 どれくらいそうしていただろうか、指に熱さを感じて現実に引き戻される。


 タバコの火が指に当たったのだ。


 同時に俺は閃いた。


 すぐさま部屋を出て女王に会いに行く。


 幸い彼女一人しかいなかった。


「女王。遠視石(トオミイシ)で他の国に連絡をつけてくれ。今すぐに」


「犯人が分かったのね」


「ああ。後は証拠を集めるだけだ」

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