7話 『優しき商人』
「さてと、何処に行こうかなぁ」
悩んでもいても仕方がないので、とりあえず入国税がかかる所は避けて、人が多く集まるところに行こうと思う。
そこで魔物の肉であることを伏せ、獣の肉として売ればお金が稼げると思うのだ。
とりあえず僕は、バーン村から西へあてもない旅に出ることにした。
道中何度か魔物を見かけたけど、あまり好戦的ではない魔物だったのか、襲われることはなかった。
けれどそれでも夜になると、獰猛な魔物が多くなるので、大木に『分解』を使用して人が入れるほどの穴を空けて夜を過ごした。
大木の中であれば、人間特有の匂いを緩和出来るため魔物にばれにくいのだ。
そうした生活を送りつつ、ひたすら西へ進んで行くと2日後には開けた道を発見できた。
僕がその道を進んで行くと、馬車移動をしている商人を見かけたので、人里が近くにないか尋ねることにした。
「はぁ~、まだ小さいのに旅に出ているのかぁ...立派だねぇ」
小太りな商人は髭を携えており、指で髭を遊ばせていた。
「はい! あまりここの地形に詳しくなくて…道を教えてくれますか?」
「そう言う事ならおっちゃんに任しとき!」
商人のおじさんはそう言うと、自分の右手で胸を叩き、鼻息をフスンと言わせながら教えてくれた。
「ここから、一番近いのはウェスタ村だな」
「どれくらいかかりそうですか?」
「馬車だと3日、徒歩だったら1週間はかかるな」
不味いな、1週間だと貯蓄が尽きてしまうから、詰んでしまう。
「...坊主、良ければおっちゃんと一緒に来るか? これからキーン王国に向かうところなんだ」
おじさんは困り顔を作っている僕を見かけて、そう声をかけてくれた。
本当にありがたい申し出だけど、キーン王国には来るなと釘を刺されているし、お金もないので無理そうだ。
これ以上おじさんの迷惑をかけるわけにもいかないから、僕は丁重に断ることにした。
「ありがとうございます。でも、ウェスタ村に行ってみようと思います」
「そうか、まぁ、色々事情があるんだろうな 頑張れよ!」
「はい!」
久しぶりの温かい言葉に涙が出そうになったけど、漢ニヒトは人前では泣かないのだ。
「あっ、坊主」
「はい?」
おじさんは何かを思い出したように僕に声をかけてきた。
「坊主がもし腕に自信があるなら、森を抜けていくといい。そうすりゃ徒歩でも3日でつくさ」
どうやら、ウェスタ村までは森を抜けていった方が近道にだそうだ。
「ただ、そこまでなら絶対に行ってはダメだ。あそこは良くない噂をよく聞くからな」
「良くない噂ですか?」
「あぁ、あの森は『恐鳴の森』と呼ばれている不気味な森なんだ」
「恐鳴、ですか?」
「なんでもあの森から抜けてきた冒険者たち皆一様に、あの森には狂ったように鳴き狂う魔物がいるって言うんだ」
「こ、怖いですね」
「...あぁ、ただその魔物の姿を見たものはいなく、声だけがするんだとよ。後、それ以外は特に他の森と変わらないらしいから、その森を抜けることを選ぶ冒険者も少なくないんだとよ」
「...へ、へぇ~」
齢12歳のニヒトを震えあがらせるには十分な話だった。
今日はここまでです。
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