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馬車馬のように働く魔物たち  作者: 蘆田
第1章 【孤独の生活】
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6話 『旅立ちの日』

僕が外の世界に出たら間違いなく死ぬと思うけれど、足掻けるだけ足掻こうと思う。


一応荷物の中には【魔肉の干肉、真水の入った水筒に魔草..etc..】を詰められるだけ詰めた。


これだけあればきっと、1週間は待つだろう。


「...まぁ、魔物に襲われた時点で詰むんだけどね」


それでも奇跡を信じて準備だけは行い、旅立ちの日を待った。


---------------------------------------------------------


「それでは子供達よ、気を付けて行くのだぞ」


村の村長が皆を代表して子供たちに言葉をかける。


「何かあったら直ぐに連絡してこいよ!」


何人もの親が、自分の子供に言葉をかけている。


やはり村のしきたりとはいえ、自分の子供が心配でしょうがないのであろう。


正直子供達だけで旅に行かせるなんて、正気の沙汰ではないからな。


しかしそういった親の中には、大金を叩いて傭兵を雇っている者も大勢いた。


正直それはルール違反のように見受けられるけど、どうやら暗黙の了解があり、村長に賄賂を渡したら許可が降りるみたいだ。


どこまでもしょうもない村だな。



---------------------------------------------------------



僕はそれから旅立ちの前に辺りを見渡したけれど、ついに"自分の親"は来ていなかった。


...この日くらいは来てくれるかと思ったけれど、こんなにも薄情な親だとはね...


因みに僕には弟がいるのだが、その弟が今年で10歳を迎え、『聖者』のジョブを与えられたそうだ。


これには両親も大層喜んだそうで、だからきっと今も訓練に付きっきりなのであろう。


...そんな事を思いながら憂いていると、背後から声がかかってきた。


「おい、ニヒト!お前のパーティー教えてくれよ」


...確か此奴の名前は......いや、忘れてしまったけれど、間違いなくつい数日前に僕のわき腹殴った奴に違いない。


「僕にパーティーなんていないよ」


顔なんて見たくなかったから、俯きながらそう答えた。


「ガハハハッ!そりゃあそうだろ!お前なんかと組んでくれる奴なんかいるわけねぇだろ」


...どうやら、パーティーがいないと分かった上で聞いてきたみたいだ。


なかなかに性格が悪いやつだけど、今に始まったことではないので我慢した。


「...ねぇ、そんなやつほっといて早くいきましょうよ」


此奴の名前も勿論忘れたけれど、性格が悪いことだけは記憶している。


どうやらこの性格最悪パーティーは、4人組で、『戦士見習い』『薬師』『タンク』『魔法使い見習い』の編成のようだ。


...なかなかに良い編成で腹が立つな。


「そうだな!...おいニヒト!俺らはこれからキーン王国に向かって冒険者になる」


「...へぇー、そうなんだ」


「だから、付いてくんじゃねえぞ」


ここで、ようやく彼が僕に声を掛けてきた意味を理解した。


「...わかったよ。そっちには行かないことにするよ」


「あったりめぇだろ。ついてきたらぶっ殺すからな」


他のパーティーからも声をかけられ、皆一様に付いてくるなと釘を刺してきた。


...どうやら僕は、しばらくの間どこの国にも行けないみたいだ。


...まぁお金なんてないし、入国税を払えない僕には関係ない話なんだけどね。

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