表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
馬車馬のように働く魔物たち  作者: 蘆田
第1章 【孤独の生活】
6/69

5話 バルト村の『掟』

僕の住処はバルト村の片隅にある洞窟の中にある。


元々は何もない所だったけど、分解スキルを用いて横穴を掘っていき、無理矢理に部屋を形成したのだ。


最初こそ雨風をしのぐ程度しか事を成さなかったが、今では内装も凝り始め、満足のいく住居に仕上がっていたりもする。


そんなある日のこと、いつもなら人すら寄り付かないこの洞窟に人の気配を感じた。


恐る恐る洞窟の入り口に目をやると、そのには村の大人が立っていたのだ。


「おい、糞坊主、お達しだ」


乱暴な言葉と同時に、男は紙を僕の前に放り投げた。


そしてその紙には、以下の文章が記載されていた。


『今年度12歳を迎えるものは、1週間以内に1年間以上の旅を命じる』


僕はこの文章を読んだとき、「...あぁ、遂にきてしまったのか」と、意気消沈した。


「これでようやくこの村の魔女を追い払えるって、村のみんなが喜んでたぞ」


男はニヤニヤしながらそう言った。


因みに僕の性別は間違いなく男なのだが、何故か周りからは『魔女』と呼ばれ、忌み嫌われている。


...まぁ、毎日気味の悪い紫色の煙を発したり、魔物の肉を食べているのだから、そう呼ばれてもしょうがないか。


「…分かりました。今までのお世話になりました」


僕は早くこの男が去っていってほしいので、心にもない言葉を放ち退居を促す。


「てめぇの世話なんざ誰もしてねぇよ。実の親にも見捨てられた悪魔の餓鬼が」


...僕の思いは残念ながら通じ無かったけど、その後嫌みを二三言い放ったら洞窟を後にしていた。


「僕の寿命も残り1週間かぁ...」


村の子供たちはパーティーを組んで、誰一人欠かさないように大人たちが配慮しているみたいだけど、僕には当然声がかからず、ボッチ確定みたいだ。


家を勘当された時点で覚悟していたけれど、ここにきてまた孤独を感じたのであった。

コロナではありませんが、風邪を1週間引いており心が荒んでいる今日この頃です。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ