3話 『魔女』呼ばわりの少年
---------------------------------------------------------
そんな事があり、今ではこうして自給自足の生活を送れるようになったのだ。
あれから僕のステータスには、新しく『分解』スキルと『合成』スキルが習得されていた。
スキルとは本来、レベルが上がると同時に習得出来るものだが、中には特別な条件をクリアすることで入手出来るスキルもあるそうだ。
今回僕がスキルを得た方法は、それに該当するのだろう。
...ただ一言言いたい。
こんなの誰が気付けるんだよ!
あの優しい神官が僕に同情してくれなければ、確実に野垂れ死んでた所だよ!
...まぁ今となってはいい思い出か..
---------------------------------------------------------
この村の周辺は、魔と名の付く植物やモノが数多く存在する。
それ故、この村の周辺には魔物が多いらしく、村の外に出るときは、必ず大人が一緒でなくて危険な地帯とされている。
僕は親から勘当されているため、面倒を見てくれる大人などいないので、外に出るときは決まって誰かが外に行くときを尾行している。
人間族は魔物を狩った後に、装飾品として価値のある物を採取し、その死骸は放置するのが常識だ。
だから僕は...
"彼らが狩った魔物の死体を持ち帰り、住処でそれを食すのだ"
...間違いなく僕が村の人間に嫌われている理由はこれだろう。
僕は錬金術師としての『分解』スキルによって、魔物の肉を魔と肉に分けて、人間族でも食べられる様にしているだけなのだが、そんなことを知らない村の人間は、僕が『化物』にしか見えないのだろう。
その他にも、魔物の肉の美味しい食べ方を実験しており、奇妙な紫色の煙を放出したり、異臭を放っているせいで、避けられているのだろう...
話は変わるが、バルト村近辺では魔素を含んだモノがやけに多く、魔素を含んでいない食料が極端に少ないのだ。
その為、この村では常に食糧難だといわれている。
...因みに以前僕は、村の小さい子供が腹を空かせているのを見かけたので、魔物の燻製肉をあげようとしたら、その子の親からおもいっきりぶん殴られたことがある。
それ以来僕は、この村の人間とは極度に距離を置いている。
「...こんなに美味しいのに、勿体ない」
個人的にはホーンラビット、フォレストウルフの肉などがお勧めだ。
そして絶対に食べたくない肉は『ゴブリン』だ。
...あれは見た目が気持ち悪過ぎるのだ。
近くに寄っただけで異臭がするし、問答無用で襲いかかってくるから大嫌いなのだ。
そんなことを独りで思いつつ、今日も魔物の肉を調理するのであった。