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馬車馬のように働く魔物たち  作者: 蘆田
第3章 【安息の地 ウェスタ村】
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20話 『フェンリル』と『キュゴ』

【変更点】悪魔軍→悪魔軍の部隊に変更

「…これ、どうするの?」

キュゴが暴走状態から目を覚まし、辺りは静寂を取り戻す。地上には悪魔族の血の海が形成されており、所々身体のパーツが落ちており、大変グロテスクなことになっている。


キュゴがようやく落ち着いたことを確認して、副官は将軍の元に駆け寄り被害状況の確認をしている。

後から聞いた話だが、この悪魔軍の部隊はウェスタ村攻略のために総勢500名いたそうだが、凡そ200~300名の被害者が出たそうだ。それでも悪魔族は生命力が高いのか、キュゴが手を抜いたのかはわからないが、死者は出ていなかった。大体の被害内容は、武器の破損や、腕や足の欠損、魔力欠乏症などであった。


なんとなく僕が引き攣った顔をしていたら、丁度僕の元に駆け寄ってきたキュゴが、バツの悪そうな顔をして俯いていた。助けにきて貰った僕が、キュゴを怒るわけないのに……

「キュゴ、ありがとう!! 君は僕の命の恩人だよ!」

「…キュ?」


キュゴは怒られると思っていたらしく、顔色を伺うように面をあげてきた。また、その顔には元気がなく、若干、顔に曇りが垣間見える。キュゴは本来優しい性格なのだ。だからこそ僕が襲われているのを見て暴走してしまったのだ。結果、暴走状態の自分を制御出来ず、無抵抗な者を甚振ってしまったから反省しているのだろう。なんとも可愛らしい生き物だ。

「キュゴが気に病むことは何もないよ」

そう言って僕はキュゴの頭を撫でまわしたのであった。







「…ですから今回の遠征は中止して、一度撤退すべきかと…」

「…何をいっておるのだ!今もなお我が種族が凌辱されいるのだ。それに我が隊だけ撤退など…」

今回の事で気になったことがあったから将軍と副官の元へとやってきた訳だが、何やら難しい話をしているので、話しかけるべきかどうか悩んでいたら、副官がこちらに気づいて近寄ってきてくれた。


「先程はどうもありがとう。あなたにはなんて言ったらいいのか分からないけど、本当に感謝しているわ。ありがとう」

「あ、はい。どういたしまして」

「それはそうと、私たちに何か用かしら?心配しなくてももう貴方を襲ったりしないわよ?」

「あ、いえ。そうではなくて…」

これから要件を伝えようとしているのに、このレイティアとかいう副官のせいでなかなか話が進まない。


「…これレイティアよ。少年が困っておるぞ。少し落ち着け」

「あっ!失礼致しました。…それでご用件は?」

ギャルド将軍が間に入ってくれたことにより、話が進みそうだ。


「…あの、キュゴのことを色々と聞きたくて…」

「ム?キュゴとは誰のことだ?」

「フェンリル様のことですよギャルド将軍。この少年はフェンリル様とお友達だそうです」

「何!? 友達だと…?」

「はい、色々あって友達になったんです」

「…フム。俄かには信じがたいが、先程の事といい事実なのだろうな…」

「そうですね。現に先程から少年の足元におられますからね」

キュゴは将軍と副官に若干の警戒を抱きながら僕の足元で様子を伺っている。


「…相分かった。こちらもフェンリル様とのことを伺いたい。しかしながら今はこの場の指揮をせねばならんのだ。故に、また後程伺わせて頂く」

確かに、今将軍と副官がこの場の指揮に当たらねば場は混沌と化すだろう。

「分かりました。ではまた後程…」

そう言って僕がこの場を去ろうとしたとき…

「あっ!! それはそうと、あなた達は勿論、今後この村に居て貰って構わないわ。元々はあなた達が住んでいたわけだしね。私から軍の悪魔達に通達しておくわ。それと、ここには私達以外の悪魔族はこないと思うけど、来たとしても伝令だから襲ってくるようなことはないから安心してね」

何だかんだでここから出なければいけないと思っていたが、僕らはこの村にいてもいいようだ。

正直、数日の付き合いだけど、この村には既に愛着が湧いてきているから出たくなかったんだよね。

「そうですか!ありがとうございます」

「…で、でも、一応フェンリル様と一緒にいた方がいいと思うわ。馬鹿な事を考えている子がいるかもしれないから」

「…え!? わ、わかりました。ご忠告ありがとうございます」

残念なことに、どうやら安全の保障まではしてくれないみたいだ。






キュゴと住処に帰っている道中、右足が欠損している悪魔がいた。

その悪魔はキュゴを見るなり顔を青ざめ、身体を震えだした。

そんな悪魔を見るなり、キュゴがバツの悪そうな顔をするのだ。正直、僕にとっては悪魔がどうなっていようがどうでもいいことなのだが、キュゴの為にもここは人肌脱ぐことにした。


「…あの~?」

「ひ、ひぃっ!!なんだよ!あっちに行けよ!」

視線は僕に固定されているが、あからさまにキュゴをチラチラみている。

「別に危害を加えるつもりはないので落ち着いてください」

「…わ、わかった。それで、いったい何の用だよ」

僕は一瞬だけ悪魔の足を目をやり答える。



「その足…治しましょうか?」


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