15話 『調理』
キュゴをテイムした後、直ぐに『狂鳴の森』を抜けることにした。
だけど問題があって、キュゴが沢山ご飯を食べちゃったから備蓄が無くなってしまった。
「キュゴ、これからは自分で食材を集めて貰う必要があるんだけど大丈夫かい?」
「キュイッ!」
キュゴは強いし、多分大丈夫だろう。
「ここにいる魔物で食べられるのは、ホーンラビットとラミアくらいかな? ゴブリンのお肉は栄養もないし、美味しくないからとってこないでね?」
「キュイキュイ!」
厳密に言えば、ラミアの肉も毒があって食べられないが、スキル『分解』を使えば問題ない。
「じゃあ僕はここら辺で食べられる植物を探しているから、キュゴは狩りをお願いね」
「キュッ」
キュゴは一鳴きすると同時に颯爽と駆けていった。
「さてと、僕も働きますか」
ここら辺で生えている植物は魔草と真茸くらいだった。厳密に言えば、魔草や魔茸といっても種類はいくつもあるのだ。中には、幻覚症状を引き起こしたり、即死性を含む毒もある。しかし、こういった植物は『分解』すれば同じなので僕は魔草と魔茸と一緒くたにして呼んでいる。
いくつかの植物を採取し、分解をし終えたらキュゴがホーンラビットを咥えて帰ってきた。
「あっ! キュゴお帰り」
「キュイ」
早速ホーンラビットの解体を始めるわけだが、実はそのままの状態の魔物を解体するのはこれが初めてだ。今までは、既に装飾に必要な箇所を剝ぎ取り終わったモノしか取り扱ったことがない。だけど大丈夫、要領は同じだ。
「じゃあ先ずは、ホーンラビットの血抜きをしなくちゃね」
ホーンラビットの足に、近くの木から生えている蔦を巻き、身体を吊るし上げた。
そこから、ホーンラビットの鎖骨の中心から心臓上部の頸動脈をナイフで刺し、血抜きを始めた。
完全に血が出なくなったことを確認して、近くの池までホーンラビットを運び、身体を洗った。
そしてそこからは、内臓を取り出して、中身を洗浄していく。次に毛皮や爪などを剥ぎ取って、綺麗な肉塊にしていく。
最後に、キュゴが食べる用と僕が食べる用に分けていく。それは、僕が食べる部分に関しては魔素を『分解』しておく必要があるからだ。
「よし!こんなところかな?」
解体の作業を粗方終え、後は食事の準備していく。
調理は簡単で、火をおこしてホーンラビットの肉を焼いていくだけだ。
味付けは、持ち歩いていた麻袋から塩をまぶしておいた。
また、食べきれない部分に関しては干し肉にするため、干しておいた。
「よし、終わり! キュゴご飯だよ?」
「キュイ!」
今まで丸くなって寝ていたキュゴが、尻尾を振りながらこちらに駆け寄ってきた。
それから一緒にご飯を食べて、しばらくしてからまた出発していく。
こんな生活を繰り返し、数日後には、キュゴのおかげもあって『共鳴の森』を簡単に抜けることができたのだ。