表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/47

第6章  ミニPC

第6章  ミニPC


「だから・・・ママとメールでお話が出来るの!」

うん・・・話が見えないと言った顔で、首を傾げる大人たち 

 「ママは・・・確か・・・・?」

「うん! 遠い所にお仕事で行ってるの!」

看護師と刑事は顔を見合わせて! そうか・・・と言った感じで・・・

 

「そう・・・ママはお仕事で・・・」

「でもね、・・・ママと毎日メールでお話が出来るの!」

 「えっ・・・??」

どうして・・・・と、いった感じで目を見合わす看護師と刑事だ。

看護師の名は、岡本涼子40歳・・・ベテランだ。

彼女にも娘が一人いる。

年齢は8歳で非常に紗枝の気持ちはわかる。

夫も病院で検査技師として働く、同じ職場で知り合って結婚した。

たがやはり、お互いがあらぬ噂などで家庭の不和にならぬ様に、

出産して復帰するときに職場を変えた。

 

刑事は斉藤学 35歳刑事に成り立て・・・独身。

まあこの仕事、恋愛のチャンスに恵まれないだろう。

 運よく結婚できても離婚の危機が多い職場だ、

特に刑事は・・・


「そうなの・・・それじゃ今出来る?」

「うん、出来るよ! ちょっと待って!」

そう言うと、紗枝そのミニノートPCのふたを開けて電源を入れた。

その様を二人の大人じっと目を凝らし、操作を見つめる。

「あっ・・・ここネット使えるよね?」

 「何だね・・・それ?」

「うん、インターネット回線!」

 「あっ・・・それ医局か、院長室、なら・・・」

「あっ、でも卵(EMOBILE)つければ大丈夫って・・パパが!」


ここで言う卵とは、USBモデムタイプでモバイル通信が出来る端末の事

また暫し唖然の大人二人だ。

それを尻目に紗枝はEM卵をUSBに繋ぎ、インターネットにアクセス。

そしてメールを開く、ママのメールが来ているか確認する。

「紗枝、パパと楽しくディズニーランド楽しんで来てね!」

の昨夜20時23分が最後である。

 何とそのメールにはママの動画、そして音声でも聞ける様に、

添付ファイルがある。


その画面をじっと見つめ、再びフリーズする大人2人だ。

もうただ驚きの一言

「へぇ・・・メールが喋るんだ!」

「本当でしょ! ママよ!・・・これ!」

 「だから・・・・紗枝・・・だから紗枝、寂しくないの!」

そういいながら紗枝の瞳が・・・眼が潤んで今にも泣き出す寸前の所で、

必死に堪える。

だが、それ以上に大人が・・・大人が鼻声、鼻を啜り目頭を抑える。

 

大人の思考回路から来る感情、それは幼い純粋な心を揺さぶる。

警部もその、ママの動画付きのメールは昨夜実際に、

ママからのであるはず無い事は、この家族構成を調査した段階で、

ママが飛行機事故で死亡している事を、確認している。


が、確かに遺体、遺品がまるで見つかっていない事も、わかっている。

その全てを想像すると、このママからのメールは誰かの偽装で・・・

おっとその言葉は不適切か・・・・・・、


そうママの代わりを誰かがしてくれている。

まあ・・・おそらくパパだろう・・・・

パパがその操作を行っている。

 そうだろう、と言う事は彼の職歴を見れば納得できる。


彼、上地翔市はエンジニヤというかSEで、パソコンはお手の物だろうから・・・

 と言う事は、今彼がこの様な状況にあると言う事は、

次のメール更新はありえない事が確実だ。

 そうなると、紗枝ちゃんの心の支えが一瞬で無くなる。


それは、より一層父親に対する依存心が・・・・

そんな事を刑事、看護師はそれぞれに思っているのだろう。

まあ少しずつ微妙な違いがあるにせよ、心配する事は同じ様な事だろう。


 少し、翔市の病状から遠ざかっていたが、あらかも危篤状態は続く。

一応輸血で貧血状態も改善されたが、刺された後は背後からで、

実は3箇所ほど刺されて右肺・肝臓・心臓・小腸等内臓の損傷が激しく、

本当に危ない所だった。


幸い心臓はそれ程酷い損傷は無かったが、兎に角幸運だった事は、

あの秋葉原の事件で、ここの医師たちは同様の経験をした医師たちが、

オペに当たってくれた事だ。

 

それが無ければ、翔市はもう心臓は停止したまま、

二度と動く事は無かっただろう。

 この世の中何が幸いするかわからない。

それにしても、これからの紗枝ちゃん一体どうなるのだろう。


紗枝は、あのママのメッセージを見て聞いて安心したのか、

看護師岡本の腕の中で寝入っている。

 きっとママに抱かれて・・・・夢の中で逢っているのだろう。

少し紗枝の口元が、顔が優しい顔になっている・・・・

 しかし、これからの紗枝のことを考えると、

もうどうして良いのやら・・・・・、

刑事、看護師は規則正しく、穴の空いた天井を見つめ、沈黙していた。


See you later     Nozomi Asami




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ