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第4章  まさかの出来事

第4章  まさかの出来事


「わぁ・・・パパ凄いね! 東京!!」

 「そうか・・・紗枝、東京初めてか・・・?」

「ううん、違うよ!」

 紗枝はすました顔で否定する。 

「えっ・・・いつ?」

「ずっと・・・ずぅっと・・前・・・・!」

 「それは・・・いつ?」

「うん、ママのお腹の中にいた時!」

 「うん?・・・それ・・・どう言う事?」

「だから・・・ママと一緒で・・・・・」

翔市しばらく頭をフル回転、紗枝の言ってる意味は・・・・・


「パパ・・・もう着いちゃった!」

 「ああ、新幹線だからね!」

「もっと、いっぱい乗っていたかった、紗枝!!」

 「帰りが・・・帰りも乗れるよ・・・」

「そうだね・・・・うん!・・・・・」

 「さぁ・・・降りるぞ!」

「はぁい、パパ・・・・気をつけないとね!」

 「そうだよ、東京はとても怖い場所だからね!」

「うん・・・そうだね!」

 「ちゃんとね! パパの手を離しちゃダメだぞ!」


新幹線乗降ホームを出て、パパは車掌さんと何か話をした。

「紗枝! はい・・・これしまっておきな!」

翔市が紗枝に手渡したのは、新幹線の使用済み切符だ。

 紗枝はそれを大事そうにリュックにしまった。


 「記念になるだろ!」

「うん、有難う・・・パパ ずっと大切にする、紗枝!」

 「そうか・・・・」


 そうか・・・・・えっ・・・・熱い・・・うっ!!!


翔市が突然、うずくまるように倒れた。

「キャー・・・!」

「パパ・・・パパ・・・どうしたの?」


それは一瞬の出来事だった。

楽しそうに歩く親子連れに向かって歩いていたその時、

後ろからいきなり鋭利な刃物で刺された。

「どうして・・・なんだ!」

「どうして・・・俺!!」


東京駅のディズニーランドに向かう途中の、

ホームで翔市は刺された。

刺した人物はそのまま、何事も無かった様に通り過ぎて行った。


呆然と立ち尽くす一人の女の子・・・・、


まさしく今、目の前で何が起こったのか理解できない。

倒れて苦しそうにもがく翔市に無意識でしゃがみこみ、叫ぶ!


「パパ、パパ、パパぁー、どうしたの?」

 「・・・・・・・!!」

「そんな所に寝ちゃダメ!」

「起きて・・・パパ、パパ起きてよ!」


紗枝は、必死にパパを起こそうとする。

その伸ばした手に鮮血が・・・

真っ赤な熱い血が紗枝の両手に・・・・


必死で何か言おうとする翔市、

うつ伏せの状態から右手を伸ばし何か言おうとする。

 だが言葉にならない。

その伸びた手が力尽きたように冷たい地面に・・・


おい、誰か倒れている。

血だ、血が流れてる。

 救急車、救急車呼べ!


騒然とする東京駅構内、

そして見つめる群集、翔市と紗枝の周りに、

人垣が・・・・遠巻きで円を描くように出来た。

 気づかなかった近くの人たちも、その騒動に集まって来た。


「おい、また無差別殺人か!」

「あの・・・、秋葉原の様に、か・・・!」

「キャー・・・本当に人が倒れている!」

「刃物が刺さっている!」

「男の人の背中に・・・」

「血よ・・・血!」

「わぁ・・傍に女の子が・・・・・」


どんどん回りに人垣が・・・


だがみんな、あの秋葉原の惨劇を覚えており、

不安の表情でいっぱいだ。

 もしかすると自分も・・・・

刺されるかも・・・・・、と!

不用意に人は近づかない。


「ねえ、パパ・・どうしたの! パパ!」

ただ、翔市の傍に蹲り、呼びかけるのが精一杯の紗枝。


そうだろう・・・、7歳の少女だ!

何が出来る! 何が・・・・

だが勿論、パパが一刻を争う状況なのかは理解できる。


しかし、何をして良いのかわからない!

パパを、パパの体をゆするのが・・・

パパ、パパと叫ぶのが少女の出来うる精一杯の事だった!



See you later     Nozomi Asami























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