第27章 紗枝と宗太郎
第27章 紗枝と宗太郎
「ねぇ・・・おじちゃん!」
「何だね!?」
「おじちゃんは、貴瑛お姉さんのお父さんだよね!」
「ああ、そうだよ!」
「それで、おじちゃん紗枝に優しくしてくれるの?」
「うん・・・そうだよ!」
「だから、紗枝に優しいんだ!」
「そんな事ないよ! 私は紗枝ちゃんが可愛いからだよ!」
「そう・・・ありがとう!」
実は、桜井宗太郎は紗枝の事が、何故か気になる。
自分でもよく解らなかった答えが、少しずつ見えてきている様な感じがする。
上手く言葉に表せないが、独特の雰囲気が・・・・もやもやする気持ちが
いつも胸の中に、今日もそうだ。
仕草、話し方が何処となく似ている。
ある人物に・・・・・
「ネエ、叔父さん、私の顔・・・なんか変?」
「どうして・・・・」
「だって、ずっと紗枝の事・・・見ているもの・・・!」
「そうか、ゴメン・・・それは紗枝ちゃんがとても素直で素敵だから!」
「ありがとう、そんなに褒めて・・何も出ないわよ!」
「別に・・・いいよ!そんな事気にしなくて!」
「あっ・・・良いこと考えた!」
そう言って、宗太郎に耳打ちするように宗太郎を跪かせた!
そして、宗太郎のほっぺに、キスをした!
「いつも、いろんな物買ってくれてありがとう!」と言って・・・・
驚いたのは宗太郎だ、思いもよらない紗枝の行動に、
さすがの天下の桜井宗太郎も、だじたじだ。
オウ・・・これはなんと言うご褒美だ!
「紗枝ちゃん! 何でも欲しい物買ってあげるよ!」
どうも、これは本心かも・・・・
紗枝自身も、何故か、施設に入るように進められた時は、
この人を憎む気持ちが、あった。相当な想いが・・・・
でも、貴瑛姉ちゃんと一緒に暮らす事は無理な事は、きちんと説明され、
紗枝なりに納得した。
紗枝は、本当に人の考えている事を体で理解する。
そんな能力をいつの間にか習得してしまったのだ。
相当な試練を乗り越えて、厳しい環境も乗り越えて、今まで生きてきた。
純粋な子供の心が、消え失せようとしている。
先程の、宗太郎対応も大人顔負けのジェスチャーだ。
本心は、貴瑛姉ちゃんと一緒に居たかった。
でも、大人の理屈で、それが一番だと言われ、
貴瑛ネエが困るのはかわいそうだ。
と言われ、その言葉を信じ自ら施設に志願した。
きっと本心は、貴瑛ネエと一緒に居たかったのだろう。
それを、じっと堪え、貴瑛ネエとの別れを承諾した。
何と、聞き分けの良い子なんだろうと回りはそう言うが、
紗枝は、貴瑛に母親以上の物を感じていたはずだ。
それを、自らの意思で絶った。本当に根性の座った子だ。
そして、もう一つ、宗太郎は気になる事がある。
それは・・・・・先妻の残した娘ではないのか?
と言う疑問が頭の中をよぎる。
彼女の一挙手一動が前妻の行動仕草とダブル。
「わぁ・・・うれしい・・・・でもどうして?」
「それは・・・・紗枝チャンが・・・うん!」
「がんばり屋さんだからだよ!」
「ありがとう・・・うれしいな!!」
この反応・・・・、しばしの躊躇には・・・
宗太郎、たじろいだ。
鋭い感じの目線・・・心の底を見透かされているような・・・
何かが・・・・そう・・!!
やっぱり・・・どこか・・あいつの面影が・・・
「何がほしい・・・かな!?」
「うん、紗枝・・・ディズニーランド行きたい!」
「そうか・・・・そうだよね!」
「紗枝ちゃんは、ディズニーランドまだ行ってないんだよね!」
「うん・・・・!」
「あれ・・・貴瑛お姉ちゃんと・・・」
「行ってないのか・・まだ!!」
「そうなんだ! 約束したんだけど・・・ね!」
「約束して、連れて行ってもらってないのか・・・?」
「そう、今ね・・・貴瑛ネエ・・あっ・・・・」
つい、軽い気持ちで出てしまった・・・・
「貴瑛お姉さん・・・今いないよ!!」
「えっ、あいつはどこに・・・今いないのかい?」
「うん・・・飛行機で・・・ね・・!!」
「アメリカに行くんだって・・・!!」
「うん、アメリカ??」
あいつ、そんな事ちっとも言ってなかった・・・が!!
一体・・・何をしに、アメリカへ
まったく、あいつ何を考えて・・・・
その様子を見ていた紗枝は、まずいこと言ったと思った。
そう、あの時、ナイショとは言わなかったが、急いでいたみたい。
紗枝の心に後悔の雰囲気が・・・
「でも・・・直ぐに帰って来るって・・・・・!」
「そう・・・なの!」
「ほかに何か・・・・?」
と、つい大人と話している感じに・・・・
この子は鋭い!!
直ぐに人の心を・・読む!




