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第22章  貴瑛の過去

第22章  貴瑛の過去


桜井貴瑛は、幼い頃何不自由なく過ごし、欲しい物は殆ど買い与えられ、

金で買えないものは無いと思えるほど、贅沢三昧で過ごした。

 そんな貴瑛の成長姿を案じ、母親は貴瑛をアメリカの片田舎に住まわせ、

アメリカの学校に通わせた。

 宗太郎の甘やかす姿が、貴瑛をろくな人間にさせないと案じ、

母親が半ば強制的に、宗太郎の承諾なしに行った。

 

宗太郎は始めの妻とその一人娘に逃げられ、相当ショックだった。

その親子二人、探偵等を使い随分探したが、結局見つからずじまいだった。

その当時は仕事が楽しく、殆ど家に帰らず、家庭の事は二の次だった。

その為か、寂しさも然程さほど感じなかったのだろう。


貴瑛の母親は宗太郎の2度目の妻だ。

その為貴瑛とは親子と言うより親と孫位の年齢差だ。

 貴瑛の母親と宗太郎の結婚も、半ば宗太郎の押し切りのような形であった。

妊娠を知り、貴瑛の母親はその押し切りに負ける格好で宗太郎の妻となった。

 

その妻も貴瑛をアメリカに留学させ、貴瑛が大学を卒業すると同時位に、

心身症を患い廃人同様で、ある施設に預けられていた。

大金と共に・・・。

そしてつい最近その母は死んだ。心身症が原因かそれとも自殺か・・・?


宗太郎は、当然貴瑛の事がとても可愛い。

溺愛している様だ、本人の意思とは裏腹に・・・

しかしそれと共に、幼い時に親子二人で去った娘が相当気になっている。

母親は逃げ出すくらいだから、今も憎く感じているだろう。

が、しかし娘は自分の血を分けた子だ。可愛くて仕方がないはずだ。


今の年齢からすると45歳だろう。

探し続けているが今もって探し当てていない。

それだからこそ、尚更気になる。

何処で、どの様にして生きて・・・・生活しているのやら・・・・


 貴瑛は何故か宗太郎に距離感を感じる。親子なのに・・・・・・

それが何なのかは自分ではわからない。

 が、その原因の1つに幼い頃以来、親として可愛がられたり、抱かれたり、

手を引いてもらった記憶が薄いと言うか、可愛がってもらった記憶が殆ど無い。

 

それは、宗太郎が家に帰るのが相当遅い事、そして早くからアメリカに住み

留学がそうさせているのか・・・・

 何故、それほどまでに貴瑛を・・・・、

どうしてアメリカに留学させたのか、

今となっては知るすべがない。

 

全て貴瑛の母親の胸の内に収められている。

その母親はもう既にこの世にいない。

 母親との死別の時に、何故か涙が出なかった。

それはもう涙が枯れてか・・・、

それとも、母親の哀れとも・・・、惨めな姿を見て

母親の気持ちが乗り移ってか・・・

泣き過ぎてか既にもう・・・涙が枯れてしまった。


その原因がそうさせたのか、貴瑛は宗太郎の家を出た。

強い意志に宗太郎は反対が出来なかった。

その為か、年がそうさせたのか、宗太郎は貴瑛の身の安全を考え、

警備の厳重な数十億のマンションを、貴瑛に買い与えた。


貴瑛自身その事に対して、“ありがとう”程度の一言で受け取った。

まあいいか、あの父親だから・・・・それに母のことを考えると、

当たり前のような気がして・・・


 貴瑛は自立心が強く、当然英語力は当たり前、成績もトップクラスで、

女の子には珍しく理数系が最も得意分野だ。

当然、コンピューターも堪能だ。

そして、歴史も好きで、日本及び世界の歴史も得意だ。

 

彼女は成績が優秀で飛び級で普通の学生より2年程早く卒業した。

アメリカに留学中も、日本語の勉強もきちんと行った。

最近流行の帰国子女というレベルの、語学力とは比べ物にならない位に、

きちんとした日本語を話す。


その日本語は、現地アメリカ在住の日本人の家庭教師、を雇い。

そして、アメリカの大学の休み期間中は、日本の都心にある、

某有名私立大学でみっちり勉強していた。

それは、本人の強い意志でもあった。


風貌は日本人なのに日本語が満足に話したり、書いたり、

日本の事が知らないのは、自分に許せない・・・

貴瑛はそんな気丈な性格なのだ。


 そして、貴瑛はそのアメリカ在住の日本語を教えてくれた日本人に、

本当の意味での恋をした。

 その彼がいつの間にか貴瑛の前から消えた。

訳も話さずに・・・・・

その理由は、どうやら後で思うと、父宗太郎の影の力がそうさせた、

らしい事を風の便りで後に知った。

 

そんな感じで、どうも貴瑛は父宗太郎の事を、

どこかで煙たい存在に思っていた。

それが日本に戻り母も死んでしまって・・・・、

それが、家を出る大きな要因になっていたのかも知れない。


 父宗太郎としては、その彼は貴瑛そして桜井家に似つかわしくない相手と、

宗太郎が決め付けたのであろう。

とにかく、宗太郎の影が貴瑛にとって煙たい存在であった。

  

 貴瑛と、そのアメリカ在住の日本語教師はアメリカの地で、

貴瑛が一方的に恋をした。

その彼の名は京大出身の桑原英樹。


成績はダントツで、大学でもトップ3に入るくらいの成績だ。

家は貧しかったが、奨学金が充分すぎる位に貰えた。

そして、桑原は父宗太郎から貴瑛と恋仲になる事を禁じた。

どうもそれは、家柄の関係らしかった事は、桑原と貴瑛の恋仲が、宗太郎の耳に入った時に、そう告げられた。

 

桑原自身も始めは、軽い気持ちで貴瑛と恋愛ごっこと言った、

気持ちで付き合っていたが、いつの間にか貴瑛の魅力に取り付かれて、

本物の恋に発展してしまった。


 そんな折に父宗太郎に感づかれて、まとまった金と引き換えに、

貴瑛の前から突然消えた。

 貴瑛自身どうして、桑原が突然姿を消したのか訳が解らずに、

相当悩んだ。

探しもした。だが見つける事が出来なかった。

 その事も後で知り宗太郎を恨んだ。


貴瑛が本気で好きになり、真剣に愛する姿が桑原にとって、

徐々に切なくなって来た。

桑原は、宗太郎と貴瑛の板ばさみで相当苦しんだ。

 貴瑛の一途な愛に、適当になだめ、すかしていていた。

その桑原も徐々に貴瑛の魅力に取り付かれ、本気で好きになっていく、

自分との葛藤が段々宗太郎との約束が、とても苦しくなって行った。

 

最後に小切手を目の前に置かれ、桑原は相当悩んだ。

そんな物・・・そんな金と思ったが、もう一つ大きな足かせが・・

それは彼の会社が、桜井宗太郎の系列と言うより、宗太郎その物の会社だ。

結局彼、桑原はその二つに負け愛を捨てた。

 その事は今も桑原の心を・・・・彼の青春、純な愛を捨てた苦しみとして消して消えていない。

 貴瑛を・・貴瑛の心を裏切ったと・・・

桑原はその後結婚したが、別れた・・・・・・その理由はおそらく・・・・



See you later     Nozomi Asami






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