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第2章  仕組まれた計画

第2章  仕組まれた計画


暫く何も無く1ヶ月は過ぎた。

そして今度は翔市が悪戯心を・・・・そしてこの間のお返しに

ある策略を練って、それを行動に移した。


娘紗枝に、ママからのメールを送った。


「ねえ、紗枝・・夏休みだね・・・もう直ぐ!」

「パパに連れて行って欲しい所、ママに教えて?」

紗枝はそのメールを見て直ぐに返信した!

 「紗枝・・・ディズニーランドに行きたいの!」

「そう! それじゃぁ、パパに伝えておくわ!」

「ママも行きたいけど・・・ごめんなさい!」

 「うん、紗枝わかった! ママは今遠い所にいるのね!」

「そうなの、ごめんなさい! いつかきっとね! 一緒に・・」


このメールのやり取りは1日1往復。

結構気長な、そして父親と娘の重要なお話なのだ。

 翔市はこうしていつも紗枝の心を、ママと言うクッションをつけて、

聞き出したり、捕らえて二人のストレスを無くす努力をしている。

 翔市は多忙で、朝早く夜遅い、なのでこのメールがとっても助かる。


一月のうちに、起きている紗枝の顔を見られるのは、

1週間程有るか無いかだ。

 そんな状況は紗枝にとって、とても辛い事!

でも紗枝は、決して不平は言わない、とっても素直な娘なのだ。


思いもしなかったビッグサプライズ、紗枝はとても喜んだ。

メールを通して、傍にいない母親の助言で、ディズニーランドへ行く日が決まった。

その計画は1泊2日だ。

翔市は必死にコネを駆使して、ディズニーランド近くのホテルを確保した。

紗枝にとってそれは最高のプレゼントだった。


母親が突然の飛行機事故でこの世を去り、落ち込んでいた紗枝を救ったのが、

母親の愛用していた1台のノートパソコンだった。

ずっと前から、ある目的で母親は紗枝にパソコンの、

ほぼ全てを教えていた。

母親も仕事が多忙で、家を留守にする事が多かった。

そのために紗枝にメールで彼女の寂しさを救った。


それは、今正に役立っている。

傍にいない母親と話が出来る、連絡が出来る。

最大最高の道具として、紗枝は勿論母親?も利用している。


その事を父親は最大限に上手く利用している。

紗枝には、母親がこの世を去った話が出来ずにいる。


母親がこの世を去ってから母親からメールが来ないと嘆いていた。

勿論娘は知らないメールの来ない理由が・・・・


「ねえ、パパ? ママからお返事来ないの!」

 「うん・・・そうか! ママきっと凄く遠い所に行って・・・・・」


もう翔市それ以上言葉が出ない。

紗枝に悟られないように必死で涙を堪え、窓の外を見つめていた。

「ねえ・・・どうして? パパ! どうしてなの?」

 「大丈夫、もう少し待てばきっと・・・・」

「きっと・・・来るよ!」

「紗枝にメールが・・・ね!」

「そう・・・! じゃー待ってるね・・・紗枝!」

 「うん、それが良い! きっと来るよ! 紗枝に!」


それから、翔市は母親に成り済まして紗枝の心を、純な心を壊さない決心をした。

翔市はパソコンに関してはお手の物だ。

普通の大人が見ても疑われないように、細工をした。

発信元を分からない様に、そしてその発信者が父親である事も、

完全にマスク(遮蔽)した。


 数日して、母親の残したノートパソコンに、母親からのメールが、

毎日届くようになった。

それからはまるで見違えるように、紗枝の顔に笑顔が戻り、

嬉しそうに学校に通い出した。


 紗枝は本当にママからのメールである事は、

信じて疑わない純粋な心音の優しい子。

例え誰が何と言おうと信じている。


そこにはいつも元気な頃のママが、満面の笑みで紗枝を見つめてくれている。

それは・・・ママが画面から、時々話しかけてくれる。

 その細工は勿論、翔市のコンピュータ技術がそうさせている。

翔市にとってそれは朝飯前だ。

だが相当の時間、費用を費やした。


紗枝が寝た後毎夜自分のスーパーパソコンの前で過ごした。

パソコンも自作それもおそらく個人の所有ではおそらく最高クラスだ。

 部品代だけでおそらく数百万だ。

とにかく最高のレベルの機器を採用している。


中には自ら設計して世界に1つと言う機器もある。

亡くなった妻の声を合成する事等、お手の物だ。

勿論、以前の親子3人で撮影したビデオ等を編集器械に取り込み、

デジタル処理して、音声、画像を再生する優れもの。

 

おそらく、普通の大人がそのメールに出る映像を見ても、

みんな本当に生きていると思うだろう。

それは飛びぬけた技術が使われたオリジナル機器で、

正しく完璧に正確だ。


紗枝が元気に毎日学校に、行けるのもそのお陰だろう。

そして、いつかきっと帰って来る。

紗枝の前に・・・・そう信じている、誰が何と言おうと・・・も!


「ねえ、ディズニーランド! 本当に行けるんだね!」

「そう、紗枝・・ずっと行きたいって・・・!」

 「そう、ママとパパと紗枝と・・・ね!」

「切符買って、ホテル予約して・・・・・なのに・・・」

 「ママは・・・・・」

「お仕事で帰って来れないのよ・・・ね! パパ!!」


紗枝は必死で、涙を堪えている。紗枝の声が上ずっている。


翔市はその姿を見て、必死で涙を堪えている。


「紗枝、次に行く時は絶対3人で・・・ね!」

 「うん、絶対だよ!」

 「パパ指きり・・・げんまんだよ!」

「う・・・ん! そうだよ! 絶対!」


翔市心が痛い、張り裂けそうに・・・・

いつか・・・紗枝きっとわかってくれるだろう・・・・



See you later     Nozomi Asami



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