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3話

そういえば、人化するとステータスは変わるのだろうか。

ステータスを出してみると、ステータスは若干変わっていて、種族がバグっている。


++++++++++++++++++++++

名前/ 太郎

種族/ 人間[ゴキリン(太郎さん)]

性別/ ♂

ユニークスキル

・力=筋肉

・無限の生命力

・限りない機動力

・しぶとい

・ガサゴソ

・精神にダメージ

・『やったか』→『無傷だと』

・突然消える

・鑑定

・ゴキリン化

・無限の可能性

・なんやかんや無敵

・全言語理解

・太郎さん来店

スキル

+++++++++++++++++++++++


種族が渋滞している。


「どうかしたの?」


王都に向かって一緒に走っているランが、暇なのか話しかけて来た。


「いえ、なんでもないですよ。

ところで

普通、王子って王都に居るものじゃないんですか?」


「ああ、別荘にバカンスへ行っていたのよ。

母は屋敷から出れないから、監視が緩むのよね」


ランは息を切らすこともなく、自動車より速く走り続けていながら、俺と平然と会話を続ける。

化け物だな、こいつ。


「そうなんですか。

では、王都まではどれくらいかかるんですか?」


「そうね、あと7時間くらいかしら」


えっ、だいぶ日が暮れて来てるんだけど、夜通し走り続けるの?


「えっ、そんなにかかるんですか」


「ええ」


「今日は野宿ですか」


「そんなわけでないでしょ。あと1時間ほどで宿場街に着くから、そこで一泊するわ。

次の日は朝の5時に出発するから、そのつもりでね」


共通の話題がなく、ブツブツと会話が途切れる。退屈だ。

それに、俺はだいぶスピードを抑えている。

こいつを抱き抱えて行けば速いだろうけど、男を抱きかかえる趣味はない。

いや、こいつの呪いが本当なら、こいつは女か。

仕方がない。こいつの言葉を信じよう。


「あの、俺が抱きかかえて走った方が速いんじゃないでしょうか」


「えっ、嫌よ。

なんかテカテカしてるし」


真顔で拒否された。

結構傷つく。

それからは本当に会話なく、お通夜のような空気の中、走り続けた。


宣言通り1時間ほど経つと、遠くに町が見えてきた。


「さて、もうそろそろ宿場町が着くから、ちょっと着替えてくるわ」


そう言うと、ランは木陰に消えた。

あいつ、逃げるつもりじゃないだろうな。

ちょっと疑ったが、すぐにランは戻ってきた。

ランは、男物のちょっと粗末な服を着ていた。


「ちょっと待ってください。

男物の服あったんですか」


「当然でしょ。ドレスは目立つじゃない」


「男物の服はないって言ってませんでしたか?」


「そうだったかしら。

ああそうだ。ドレスは返さなくていいわ。オイルが染み付いてるでしょうし。どうせ捨てるつもりの物だから」


「俺にも貸してくださいよ。俺が目立つと困るでしょ。あとこれは地肌です。認めたくありませんが」


「バカねぇ。そんな黒光りしてるんだから、どうしたってあなたは目立つの。

ドレスを着てるかどうかは問題じゃないわ」


こいつ、喧嘩売ってんのか。

俺が黙っていると、ランはしばらく俺の顔を見つめた後、神妙な顔で口を開いた。


「あなたって、なんでそんなにテカテカしているの?

いや、答えにくいならいいんだけど」


「……、そうだ、鏡って持ってますか」


俺が聞きたいくらいだ。ランの質問は無視して、気になっていたことを確かめるための鏡を出してもらおう。

人になった後の顔をまだ見ていない。

鏡くらい、自称女なら持っているだろう。


「……持ってないわ」


やけに答えるまで時間がかかったな。

そのままじっと見ていると、ランは視線を逸らした。


「何に使うつもり?」


「いや、自分がどんな顔をしているのか、気になっただけですよ」


「なんだ、そんなことか。

顔は若干平たくて、黒く光っているけど、顔の造形は悪くないわ」


元の顔なのかが気になっただけなんだけど。


「ああそうか、元の顔かどうかを知りたかったのね。

わかったわ。触れちゃあダメよ。鏡は希少なんだから」


そういうと、手鏡をどこからか取り出し、俺を映してくれた。

やっぱり持っていたか。

まあいい。

鏡を覗き込んだ。

顔そのものは元のままだ。黒光りしているけど。


「それで、どうなの?」


「色だけですね、変わっているのは」


ちょっと、いやだいぶ筋肉がついてるけど、それは悪いことじゃないし。


「ふうん。それじゃ、私は行くわね。あなたは20分後に来て。

歩いて行った方がいいわよ。

怪しまれるから。

そうだ、お金も渡しておくわ。

金貨1枚と、銀貨10枚、銅貨100枚のセットをあげる。

町では話しかけないでね」


完璧に離れる気満々じゃねぇか。

黙っていると了解したと思ったのか、さらに話続ける。


「じゃあ、明日の朝、5時にここに集合ね。

ああ、無いとは思うけど、街の中で会っても話しかけないでね」


2回念押ししやがった。

言われた言葉が結構ショックで、反論できないでいると、巾着を俺に軽く放り投げ、ランはさっさと行ってしまった。


言われた通り、20分経ってから町に向かった。

町には特別検問などはなく、普通に入れた。




「いくら宿場町でも、怪しい奴は入れたくないんだよ。わかる?

町入る前にさ、そのオイル落とそうよ」


町を探索しているとすぐ、警備隊とやらに捕まった。

警備隊の詰所で、取り調べ、というか説教を受けている。

オイルが付くからと、椅子にも座らせてもらえない。

何回か水拭きされて、この黒光りする肌が地肌であると認められると、解放された。


しかし、俺がドレスを着ていることについては、一切突っ込まれないんだな。

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