リンの秘密
「ふああああ、おは...って、あれ?」
ちょっと待って。なんでこんな暗いの?えっ、今何時?
部屋の時計を確認すると、深夜2時28分だった。嘘でしょ。
あ、でも、一応12時間寝たんだ。この歳で12時間寝るとか、どんだけ疲れてたんだ。
リンとイチゴは、寝ているみたい。起こしてなくてよかった。
さーて。私、一回起きちゃうとなかなか眠れないんだよね。どうしようか。
...あっ、そうだ!筆記用具生成術っていうスキルがあったよね?それを試してみよう!
場所は、ベランダでいいよね。狭いけど。
「よーし、やるぞー。A4サイズの白い紙を2枚と、ボールペンを1つ生成!」
私がそう唱えると、何もない空間に突然A4サイズの紙が2枚、ボールペン1つが出現し、ベランダに落下した。
「わーお、ホントにできちゃった。」
試しにボールペンで紙に字を書いてみた。よし、ちゃんと書けるね。
それにしても、月。地球と変わらず、綺麗だなー。大きさも全く変わらないし。
...ちょっと待って。これは本当に月なのかな?
これが月だとしたら、地球の人間がこの星を見つけられないはずがない。
あ、でも、見えないようにする結界とかを張っているのかも...うーん。
てか、そもそも異世界なんだし、地球なんて存在しない世界なのかもね。納得。
さーて。今日は買い物をたくさんするんだから、買い物リストを作っておこう。よーし。
...ふー、やっと書き終わったよ。必要なものって、結構いっぱいあるんだね。
<買い物リスト>
たらい(2個)・洗濯板・洗濯用の石鹸・馬車・リンの服(メイド服、パジャマ、動きやすい服、黒色のワンピース)・水筒・タオル・歯ブラシ
これだけあれば、とりあえず十分かな?足りないものは買い足せばいいんだし。
この中で一番重要なのは、歯ブラシだね。歯磨きを何日間もできないと本当に辛いからね。
...暇だな。暗算して遊ぼう。
1+1は、2-。77+77は、154。788+792は、1580。
うん。つまらなすぎる。マジで。
...そうだ、風呂に入ろう。異世界に来てから風呂に1回も入ってないからね。
せっかく風呂付きの部屋なのに、風呂に入らないっていうのはおかしいし。
じゃあ、バスルームに行ってきま~す!もし覗いたら、ベランダから落としてあげるね!
『......さっきからバタバタうるさくない?』
『...ですね。』
『トミ、まさか僕たちが寝ているとか思っていないよね?』
『いや、多分寝ていると思っているのかと。』
『.........ねえ、リン。ちょっと質問。』
『なんですか?』
『......リンって、奴隷じゃないよね?』
『っ!?』
『奴隷の主人が変わるときは、きちんと主人を変更する儀式をしなければいけないよね。。儀式をしなければ、主人を変更することは不可能なはずだ。なのに、リンの場合は儀式を全くせずに主人がコロンと変わったよね?おかしくない?』
『...』
『...』
『...正確には、私は元奴隷です。』
『元?元奴隷ってどういうこと?』
『はい。私、「支配脱出」というスキルを持っていまして。なので、奴隷状態から抜け出すことが出来ました。』
『...なるほど。そういうことなんだね!ありがとう、おやすみ!』
『え、あっ、おやすみなさい...』
「ふああああああ。」
いや~、本当に気持ちよかったよ。日本人として、お風呂は必須だよね。
それとね、シャワーとか風呂のお湯の出し方が地球とは違ったんだよ。
なんかね、お湯が出てくる部分に青色の魔石がはめこまれていて、その魔石に軽く魔力を流すと、自然とお湯が出てくるんだよ。
お湯の温度とか量も、念じながら魔力を流せば調節できるし、最高だったよ!
それと、石鹸が備え付けられていたから、軽く体を洗えたよ!最高!
てか、お風呂に入ったらものすごく眠くなってきた。ヤバい。寝よう。おやすみなさい。
そして私は、ベッドにダイブして、朝まで快適な睡眠を楽しんだのだ。
本当に快適な睡眠だったのかって?本当だよ。悪夢を見るという最高の睡眠を楽しんでいたよ。