後書き&解説
後書き
まずは、天錦宝史伝をここまで読んでくださり、ありがとうございます。
この宝史伝は、長すぎるくらい長い物語で、読みにくい漢字や、想像を読み手にお任せするような描写が多く、分かりにくい部分も多かったと思います。そんな中で、完結まで目を通してくださった読者の皆様には、頭があがりません。ありがとうございました。
さて、この宝史伝ですが、実は、書き上げるのに十数年かかっています。あんまり細かく言うと、作者の年齢が分かってしまうので(笑)言いませんが、それはそれは長い時間がかかりました……。
書き始めたのは、十五歳だったと思います。思春期さながらの、不安定な思想や願いをもつ年頃。「生きる」って何だろう、自分はどうやって生きていきたいんだろうと、随分悩み、その悩みをぶつけるかのように、この物語を書き始めました。
悩むことは前に進んでいるということ。
謙虚とは自分を卑下することではない。
幸せになることと、自分が好きということは違う。
愛することとは、どういうことか。
などなど、この物語を書きながら、私は私を形成していった気がします。
そういう意味で、この物語を書くことは、自分自身の成長にも繋がりました。私自身、この物語に出会えて良かったと思います。
さて、十数年かかったこの物語ですが、実は、ちまちま十数年間書き続けていたわけではなく、最終章の1話目にして、書くのをやめてしまいました。それが、こんなにも長い時間かかってしまった理由です。
十五歳から書き始めた宝史伝。最終章を書き始めた頃には、既に二十歳を越えていましたが、私の頭の中で、この物語は完結してしまっていました。そして同時に、モラトリアムに詰め込みすぎた思想が、二十歳を過ぎた私と合わなくなってしまっていたのです。
なので、かなり中途半端な状態で、物語は未完結のまま、放置していました。
ところが、今年に入って、あるメールをきっかけに、きちんと書こうと決意しました。そのメールをくださった方には感謝しております。
そして、残っていた最後の4話を書き上げ、こうして完結に至ることができたわけです。
第一話は15歳の文章。最終話は2○歳の文章なので、もしかしたら違和感があるかもしれませんが、そんな裏話がある小説もいいかなぁ、なんて、呑気に構えています。
ということで、文も長く、書き上げた時間も長い『天錦宝史伝 〜新戦記編〜』を読んでいただき、ありがとうございました。この後は、物語の解説に移りたいと思います。
宜しければご覧ください。
解説
宝史伝の世界観ですが、紹介文にもあるように、古代日本(イメージは古墳〜奈良時代くらい)をイメージしています。一番影響を受けているのは古事記です。
碧の国…古墳〜奈良
紅南国…平安
緑北国…平城京
白西国…中国殷〜秦ぐらい?+洋風な城のイメージもあったり…
という感じです。
天錦の意味は物語最後の書き下し文で、理解していただけたかと思います。ちなみに、この物語の題名は天錦宝史伝と読みますが、物語の中で、昴、藍、祈真、遥世が呼ばれるのは、天錦です。あえて読みを変えてあります。
そして、宝史伝とはなんなのかを、少し説明させてください。
史伝はつまり、歴史書です。事実を書き記した書。天錦宝史伝は、天錦の時代に書かれた史伝、ということになります。ですから、設定としましては、この物語が終わった後に、誰かしらが編纂したのでしょうね。古事記、日本書紀の扱いと同じです。ちなみに編纂した史伝の名前は、『天錦宝史伝』の方の読み……だといいなぁ。
話が逸れました。元に戻します。
宝史伝の史伝は、歴史書という意味。では、宝は?というと、言わずもがな、メインは勾玉です。過去から繋がるものは、勾玉しか残っていません。サブで月華の剣もこれに入ります。
抽象的な意味では、『宝』は、その人の大切なもの、という意味も含めています。藍大切なもの、昴の大切なもの。この物語に登場する人物、それぞれが思う宝。
ですから、この物語は、この物語の世界、ひいては読んでくださっている方の『宝』を表しています。
宝と言えば、この詩も説明したほうがいいのかな…?
闇の中の灯は
木々の宝を胸に秘め
風の音色を聴かずとも
秋と夢を供にする
これは、月の神子と日の神子に関する重要な詩です。意味は物語の中で月の神子が言っていたような意味です。
深い闇の中にあっても、消えることのないこの想いは。
永い時を経ても、決して忘れることなく、あせることなく。
傍にいなくても、声を聞くことができなくても。
あなたと供に。
『闇の中の灯』は、叶わないと知りつつも、闇の中で揺らめく炎のような、消えない想いのことです。
『木々の宝』とはすなわち、記憶です。人間とは対照的に木々のもつ命は長い。なので木は記憶を留める力がある、という比喩表現のつもりです。そして記憶は、時には命よりも強い意味をもつことがある。そういう意味での『木々の宝』です。
『風の音色を聴かずとも』は、傍にいることができなくても、という意味。風は強いと、耳元で音がしますよね。それに、風は肌で体で感じることができます。それができない、ということは、傍に無い、ということ。つまり、会えないということです。
『秋と夢を供にする』の秋は、男女の想い、燃えるような恋の比喩。秋は燃える季節です。木々が赤く染まり、大地は黄金色に輝く『火』の季節。秋、という漢字がまさにそれです。秋風がたつ、女心と秋の空などなど、秋は想いの象徴。
秋、すなわち思い人です。それと夢を供にするということは、『いつまでもあなたと夢の中で会い続ける』という意味。つまり、心変わらず、あなただけを思い続ける、という意味です。
いやぁ、我ながらややこしいですね!
他にも色々説明しないと、私の文章力では分かってもらえていないことがたくさんあるとは思うのですが、ここまでにしておきます。たくさんありすぎて、書ききれなくなってしまいそうなので…‼︎
もし質問がありましたら、感想で教えてくださいね。
最後になりますが、天錦宝史伝は実はこの物語では終わりません。この藍や昴が主人公の『新戦記』は、あくまでも新戦記。つまり、旧戦記が存在します。
はい。皆様お分かりですね?笑
月の神子と日の神子の物語です。
全ての始まりの物語。これを書き上げて、天錦宝史伝は完結します。
日の神子の名前は、既に出てきています。他にもパラパラと伏線は張ってあるので、回収作業になりそうですね。
今回ほど長い物語にはなりません。多分半分もいかないかな?予定では……。
ただ、こちらに関してはストックがゼロなので、今までのような更新スピードでは更新できなくなると思います。
気長に待っていただけると助かります。
他に設定として色々あるのが、緑北国建国編と、白西国建国編です。なぜ緑北国は碧から勾玉を託されたのか、なぜ白西国が『白』なのか、などなどの理由を、いつか書けるといいなぁと思っています。忘れ去られたような四神(青龍、朱雀、白虎、玄武)も、ここに絡んできます。
その他には、番外編で、祈真と遥世の話や、嘉瀬村一族の話、遥世の弟たちの話、そして、藍と昴の未来の話なんかも、突発的に書けたらいいかなぁなんて思っています。需要があるのかどうかは謎ですが…。
続編に関しては、本当、きっと、本当に、需要があれば……という感じになると思います。冒頭の「天錦宝史伝 旧戦記 創世の章」という題目で、前文は書いてあるのですが……この物語自体趣味で書いてしまっているうえ、脳内完結が得意技なもので…
気が向いたら感想やコメントで、せっついてやってください。
ということで、だらだらと長い後書き&感想を読んでいただき、ありがとうございました!
この物語を読むことで、皆様の心に少しでも心地よい何かが残れば、と願っています。
花歌




