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神外と勇者と勝利

 クリスマス終わった~


 サンタがっ、こないっ!!(泣)

 「それでは、さっそくアマギ殿」


 「はいっ!!」


 天樹は王様に大きく頷き返し、水晶に手を触れた。


 「見てください!!!これが僕のステータスです!!」











 《天樹 勇士》  

 種族 人族  17歳

Lv1

  体力  700

  魔力  500

 攻撃力  600

 防御力  600

  俊敏  500


 【スキル】聖魔法Lv9 光魔法Lv8 火魔法Lv6 水魔法Lv6 剣術Lv9 限界突破Lv-

 【ユニークスキル】聖剣召喚Lv-

 【称号】《剣皇の勇者》  

     《聖剣に認められし者》

     《太陽神の加護》











 『おおお!!!!』

 

 『なんと…』


 『すごい…すごいぞ!!これが勇者様のステータス、素晴らしいですな!!』


 『騎士団の連中とは段違い、いや、格が違う!!!』


 等々。貴族の反応が称賛の数々。若干、さっき口を出した騎士団長への皮肉も含めた言い方だと思った。取り巻き達は反応それを見て、『流石です!天樹君!!』や、『やっぱり王女様に合うのは天樹だな!』と口々に言う。クラスメイトや委員長達は冷や汗をかき、俺と剛鬼は口元に軽く不敵な笑みを浮かばせ、霧夜を見ていた。


 「ねぇねぇ」


 「ん?どうした穂乃香」


 不安げな顔をして穂乃香は俺と剛鬼を呼んだ。まあ、不安なのはとても分かる。

 これで霧夜が勇者の称号を持ってなければヴィネティアさんと交際できないどころか、あの天樹と付き合うかもしれないのだから。


 「アッキーやゴウくんはキーリのことが心配じゃあないの?」


 「まぁそうだなぁ。霧夜のことはさほど心配してないさ」


 「ああ。暁久の言っているように、今までならまだしも、ここは異世界だからな」


 「……?なんでなの??」


 首を傾げる穂乃香に説明しようとしたところで風月さんが言った。 


 「……多分、お約束テンプレのこと……だと思う……」

 

 「???……雫ちゃん、テンプレってどういうこと?」


 「……テンプレはネタであり、お約束。……本などでは…ネタなどの共有認識を言う……………そして、十六夜くんと狼城くんは…その本のなかでの共有認識を現実に当てはめて考えている……かも」


 「でもそれって本のなかだけじゃないの?」


 「……確かに、そう。……でも、このように私達は異世界にいる。…いること事態が非日常なの。……だからテンプレも、勿論ある…………はず」


 「そこは断定しないんだね……つまり、二人はその、テンプレ?があるかもしれないから心配してないんだよね?」


 「ああ。それに、霧夜アイツは運が良すぎるんだよ。なあ?剛鬼」


 俺が剛鬼に同意を求めると剛鬼も頷いた。


 「そういえば、霧夜がこの前、トラックに引かれそうになった子供を助けたが、霧夜も引かれそうになったんだ。

 だが、運の良いことに、トラックがパンクして車体が傾き、アイツはほんの数センチのところでよけることができたからな」


 「………………それ危なくないっ!?」


 「ああ、確かにあったあった、そんなこと。それでそのあとボロクソ霧夜の母親に怒られていたな。注意しようとした警察官の人も引いてたぞ、あれ」


 「そんなことっ!?アッキー、そんなことですませちゃだめだよ!?」


 「穂乃香、霧夜にとっちゃそんなことなんだよ、その程度は」


 「もう、アッキー達三人との常識が違いすぎる……」


 穂乃香は項垂れてそしてため息をついた。

 

 解せぬ。



 そうしていると、霧夜の方を皆向いたので、俺も同じように顔を向ける。そこでは霧夜が水晶の前に立ったところだった。


 










~霧夜視点~



 「ふぅ。」


 僕は大きく吸った息を吐いた。さっき、生まれて初めての告白をしてまだ緊張が収まらないのか、今だに心臓がバックンバックンと鳴っている。

 ヴィネティアさんには告白を受け入れてもらったが、本人ではなく、周りが認めていない。

 しかも、認めるための条件がとても厳しすぎる。


 「見てください!!!これが僕のステータスです!!」


 天樹が終わったようだ。……ちゃんと【勇者】の称号が書いてある。これで僕になかったら、告白した意味が、勇気がなくなってしまう。    ――――――しかし、不思議と心の焦りはない。

 緊張は、少し残っている。なのに不安や焦りがないのは、暁久のおかげかもしれない。

 ガチガチになってた体も、アイツとのやり取りで柔らかくなっていた。


 「………フフッ。」


 おもわず苦笑してしまった。頑張ってこい、アニメでもよく使われる言葉だ。

 ありきたりで誰でも言いそうな、そんな軽い言葉だけど…………今はその言葉がとても心地いい。こんなマンガみたいな世界で言われるとは………もしこれが物語だとすれば、一番主人公っぽいのは暁久だな。

 案外、魔王や厄介な問題とかも全部暁久アイツが解決するかも―――――


 「ナカザキ殿。」


 と、国王陛下に呼ばれて僕は考えていることを止め、水晶の前に立った。


 「それでは………………触れますね。」


 覚悟を決め、恐る恐る鑑定水晶に触れると、ステータスの情報が上の画面に写し出された。











 《中崎 霧夜》  

 種族 人族  17歳

Lv1

  体力  680

  魔力  570

 攻撃力  500

 防御力  640

  俊敏  800


 【スキル】雷魔法Lv10 光魔法Lv5 剣術Lv8 限界突破Lv-  

 【ユニークスキル】聖剣召喚Lv- 雷纏Lv9

 【称号】《雷皇の勇者》

     《聖剣に認められし者》

     《太陽神の加護》











「……あった………………」


 誰が言ったのか分からなかったが、その気持ちは、良くも悪くも、この場にいる全員が思ったことだろう。

 一番最初に回復したのは国王陛下でその次はヴィネティアさん、そして三番目は暁久だった。


 「……やはり、か………」


 「?どういうこと、お父様。やはり、とはまるで知っていたかのようでしたけど?」


 「ま、まぁその話はまた後にするとして、のぅ?」


 「王様の言った通りだ、王女様。それよりも大事なことが、今、決まっただろう?言ってやれよ、王様!!誰が勝者かを!!!」


 暁久がそう叫ぶと国王陛下はニヤリと笑い、勢いよく立ち上がり、


 「このヴィネティアをめぐった勝負、エルーダ王国 三十八代目国王 クロムハイツ フォン エルーダの名において、ナカザキ キリヤ殿の勝利であることを宣言する!!異論はあるまいな?」


 と、そう言い、貴族達は俯いて悔しそうに押し黙った。それでも何人かの貴族や騎士団長は嬉しそうに微笑んでいる。


 「…………フゥ―――――」


 安心や安堵感に包まれて、僕は息を吐いた。大分落ち着いてきたところで違和感を今さらながらに感じた。

 本来、僕のステータスには神様からもらったはずの【雷鳴の騎士】が消えていて、かわりに【雷皇の勇者】がついているからだ。

 それに、国王陛下はそのことに気付いているようだった。もしかして――――――――――――

 

 「国王陛下」


 「なんだね?ナカザキ殿」


 「この謁見が終わったら話が出来ないでしょうか?」


 「ふむ…………分かった。ヴィネティアも含め、話を取り付けよう」


 「ありがとうございます。あと、あの二人も一緒でもよろしいでしょうか?」


 「かまわんぞ?のぅ?義息子よ」


 その言葉を聞いてヴィネティアさんのことを見てしまう。相手も同じように感じたらしい。

 僕とヴィネティアさんは見つめあうとお互いに顔を赤くして笑いあった。


 



 指名された暁久と剛鬼はキョトンとして頭にハテナマークを浮かべていた。












~主人公視点~



 いきなり俺と剛鬼が指名され、おもわず目が点になった。まさか俺達に話を降るとは思ってなかった。

 アイツが勇者の称号を持っていたのはそこまで驚きはしなかった。霧夜は勇者にピッタリな人格をしているしな。……アニメにのめり込んでいる以外。

 しかし、剛鬼と王様を除く全員が驚きで声が出ていなかった。当の本人まで驚いているらしいから仕方ないかもな。剛鬼は分かるが、なぜ王様が驚いていないのかが不可解だな。後で聞いてみるか。


 ボソッ「…………クソッ!」


 ん?天樹が手を強く握りしめて悔しそうにしてるな。ザマァww

 しかし、アイツを見てると、霧夜に嫌がらせをするか、他のやつに八つ当たりしそうだな。イヤーなイベントとか、なかったらいいが。

 もし俺が知らないところで穂乃香達に当たられたら困るし、………俺が当たられるように仕向けるか?


 「では、話を進める。もうすでにアマギ殿とナカザキ殿には実践してもらったが、これから召喚した者全員にこの水晶に触れてもらうぞ」


 …………お?これは、仕向けるチャンスでは?

次は年明けに投稿する予定です。それでは皆さん、良いお年を~

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