神外と扉と一目惚れ
こういったのもそうですが本当に初めて書きますので、ご了承ください。
で、デカイ!!
まず最初に俺はそう思った。豪華なところもあるが、どこか渋くて長い間使われてきたであろう扉は不思議な威圧感を出している。他のクラスメイト達も、その扉を見てポカーンとしていた。
「フフッ。どうでしょうか?これを初めて見る方は皆、勇者様方と同じように驚かれます」
と、少し、俺達の反応を楽しみながら、誇らしくいうのはヴィネティアさんだ。
「はい……すっごく……大きいです……」
オイコラ、穂乃香よ。その言い方は誤解されやすいからやめなさい。
『それではそろそろ時間なのでお静かにお願い致します』
と、扉の前に立っている騎士が言うと、クラスのみんなは、静かになった。
『第一王女ヴィネティア様、並びに第二王女レーリス様が勇者様方をお連れ致しました!!扉をお開け下さい!!!』
大きな声で騎士が言うと、徐々に扉が音をたてて開いた。開くとヴィネティアさんとレーリスちゃんが中に入っていったので自分達もその後に続く。謁見の間には左右にたくさんの人が。おそらく、この人達は貴族であろう。
『おお、あれが』
『勇者様方か……素晴らしい』
『お美しい方もいらっしゃる』
『…………可憐だ……』
等々、小さな声でしゃべっているのが聞こえる。大勢の視線を雨のように浴びせられ、クラスメイト達だけでなく委員長や霧夜、穂乃香まで緊張しているようだ。
平然としているのは、天樹と俺ぐらいか。普段から殺気まじりの視線をいつも浴びている俺はともかく、天樹が緊張していないのは勇者のスキルを手に入れたからなのだろうか。それともただ慣れているだけか。
「国王陛下。勇者様方をつれて参りました」
ヴィネティアさんが言うと真ん中の大きな玉座に座っているおっさんが動いた。この人がこの国の王で間違いないだろう。国王が立ち上がると同時に貴族達も黙った。
「うむ、まこと大義であったぞ。ヴィネティア、レーリスよ。……そして勇者様方。よくぞ、このエルーダ王国にいらしてくれた。ワシの名は、クロムハイツ フォン エルーダ。この国の国王である。まず、いきなり呼び出してしまい申し訳ない。 今回呼び出したのは魔王フェリアースを倒してほしいからだ」
クロムハイツがそういっていろいろと、魔族と人間族の争いを説明してくれた。まとめると、
・500年以上前は、魔族とは仲良く暮らしていた。
・しかし、魔王フェリアースが人間を突然周りの国に攻撃。たくさんの人や、都市がなくなったが、なんとか押し返したそうだ。
・そのとき、魔物が群れを作って襲ってきたらしい。だからギルドと呼ばれる冒険者の組合を全ての国に置いて、魔物を毎日のように討伐している。
・他にも冒険者は、迷宮の攻略、町での雑用、薬草の採取とたくさんの仕事があり、何でも屋みたいなところで、最も稼ぎが良い仕事である。(危険もありすぎて、一番死亡する仕事でもある。)
・魔王は倒せておらず、定期的に攻撃を仕掛けてくるため、今回、一番召喚魔法を研究している、この国で勇者を召喚することにした。
ということを話してくれた。………まぁ魔王じゃなくて魔神なんだけどな!!
「――――――だからすまないが、魔王を討伐してきてくれないか?」
「まかせてください!!!僕たちがなんとかします!!」
代表として天樹が答える。こう言うことはなれてる人が一番適役だ。
「姫さま達も危険なことがあったらすぐに僕に言って下さい!!絶対に守りますから!!」
さりげなく自分を強調してやがる、このクソ王子。………あ、姫さま達も嫌な顔してる。多分、天樹の性格を薄々気付いたのであろう。他の貴族達も気付く人がちらほらいるな。王様も気付いているっぽいし。
でも、貴族の中でも感心しているやつは多い。クラスの取り巻きも褒め称えている。…………大丈夫なのか?これ。
……ん?霧夜がいない……どこだ……って!!
「あの、スイマセン!!!!」
おいおい、王様の前にいるぞ……何する気だ?
「うむ? 確か、名は……」
「中崎 霧夜です」
「ナカザキ殿、どうしたのだ?」
「これから発言することは不快にさせてしまうかもしれないので、その許可して頂きたいからです」
「ふむ、よかろう。申して良いぞ」
「ありがとうございます!!!」
アイツ、『発言』って何を言うつもりだ?
「それでは…………ヴィネティア様!!!」
「は、はい!」
いきなり呼ばれたヴィネティアさんはビックリしている。
「僕は、貴方を一目見たとき、胸になにか、熱い何かがこみ上げてきたんです」
霧夜はヴィネティアさんの目を見ながら、言葉を続けて言う。
「それが何なのかよく自分でも分かりませんでした。病気かもしれないと、思ったりもしました。
…………しかし、貴方から目を離すとこの熱い何かも同時に下がっていきました。それどころか、逆に、どこか物足りない、寂しい感情が湧いてきました」
自分の胸に手を当て、ゆっくりと、一つ一つ大切な気持ちを込めて言っている霧夜を見て、クラスメイトだけでなく、王様も、貴族も、侍女や衛兵でさえも、黙ってしまった。
「そして、気付いたんです。これは、恋ではないか?と。そう考えてしまうと自分の胸を締め付け、ため息は出るばかりです………………なので、今告白します。
一目惚れです!どうか、よろしければ、この僕と付き合ってくれませんか?」
「……」
そう言うとヴィネティアさんは俯いてしまった。
最初に気を取り戻したのは貴族達だった。
『な、なんと無礼な!!!』
『このような場所で王女様に恥をかかせるような真似をしおって!!』
『衛兵よ!この者をつまみ出せ!!!』
などなど、天樹の発言に感心していた貴族達のほとんどが、霧夜に対し、叫んでいる。王様や俺達は、目を白黒させて唖然としているし、衛兵達も、貴族に言われて、どうしようかと迷っている。そして、霧夜を捕らえようと動き出したところで、待ったが入った。
「お待ちなさい!」
そう、告白されたヴィネティアさん、その人である。
「ナカザキ様。いえ、キリヤ様!!」
「はっ、はい!!」
「えっ…と、その……………私は一番最初、キリヤ様を見て思ったことはキリヤ様の周りの妖精達がとても喜んでいるということです」
「は、はぁ…」
なんともしまらない答えを返した霧夜。
「妖精というのは私達王族の王女や森人族しか見れないんです。妖精はその本人が優しかったりするとすごく喜んで周りについて来るのですよ」
そしてヴィネティアさんは頬を赤く染めながら言った。
「そのとき、電流のようなものが身体中に流れるのと同時に、とても優しくて素敵な……方なのだと、思いました」
「と、ということは……」
おそるおそる、といった感じて霧夜が聞くと、
「はい……私も貴方のことをもっと知りたいです。もっともっと近くでその優しい貴方を見てみたい…です……なので、私からもお願いします。付き合って下さい」
と、霧夜に対して最高の笑顔を向けた。
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