人外と三柱の神
神界の話が長いので今回と次回で分けます。
「……………ん?………はっ!ここはどこだ?」
目を覚ますと不思議な光景が見えた。そこには宙に浮いて泳ぐ魚、上から下へ飛ぶ鳥、どこまでも続く宇宙のようで、まったく暗くない、真っ白な世界があった。
「ってみんなはどこだ?」
辺りを見渡すとみんながいた。気絶しているらしい。まずは剛鬼を起こそう。
「オラ~起きろ~」
『ガスッ』
「いってえええぇ!!」
うむ、起きたようだ。
「おい、暁久。なに蹴ってんだテメェ(怒)」
「おーい、お前ら起きろ~」
「なんでおれのときだけ蹴った!!おいっ!!無視するんじゃねぇぇ!!暁久!!!」
「うるさいな。まったく、お前頑丈だろ?そうカッカしてるとハゲるぞ」
「だれのせいだ!だれの!!!」
そう剛鬼と話しているとほかの四人が起き出した。
「う~ん」
「……?」
「こ、こは………」
「暁久、ここはもしかすると………」
「ああ、あそこにいる三人、いや三柱に聞けばわかると思うぞ」
見ると空間に浮いている三柱の神がいた。一柱は長い髭を伸ばしたおじいさん。もう一柱は小学生くらいの女の子。もう一柱の神は若い男性でサングラスをかけたヤのつく人みたいだ。
〔ほう………我らを神だとわかるのかね?〕
「ッ!?」
そう言うと頭の中に老人の声が聞こえてきた。あの場所には聞こえない程度で言ったはずだ。なんで聞こえてるんだ?
〔私たちはこの空間の声だけでなく、心の声までも拾うことができるの。ちなみに今あなた達に念話をして頭に直接声を送っているわ〕
そう考えると小学生くらいの女の子が答えた。なるほど。さすが神。あの子達、できる!!!すると老人の神が聞いてきた。
〔どうして我らが神だとわかったのじゃ?〕
「よくこういう場所に連れてこられたときは、大概神様がいるからな」
〔ふむ、よくわかった〕
〔まだ起きてねぇ奴らがいるから、起こさせるぞ〕
そう言ったヤのつく男性は、指を動かしてまだ気絶しているクラスメイトに向けて光を浴びせた。
『ここは?』
『一体なにが起きたんだ!』
『ねぇここどこなの?』
『俺達はどうなるんだ!』
やはりみんなパニックになっているようだ。
「みんな!!落ち着いてくれ!!!」
そう言ったのはクソ王子こと勇士。
「この三人がなにか知っているらしい!!その話を聞いてみよう!」
これを聞いたクラスメイトは静かになり、三柱の神の方を向いた。
〔うむ、まとめてくれて感謝しよう。我が名はブラフマー。創造神ブラフマーじゃ。そしてこの子が…………〕
〔天照大神よ、太陽神アマテラス〕
〔最後に………〕
〔俺の名前はバロール。邪神バロールだ〕
〔ではお主らの状況を教えよう。質問があればなんでも言っておくれ〕
話が長かったり、ややこしかったりするので、まとめてみた。いわく、
・ここは神界と言うところらしい。
・自分達は異世界ギルゲイプにある、エルーダ王国に勇者召喚されるとのこと。
・理由は魔王を倒すため。
・異世界ギルゲイプは魔法が使えることができる。
・日本とはまったく違い、剣なども普通に持ち歩いている。
・ここに呼んだのは、とても強い力を渡すため。(やったね!チートだよ!)
・元の世界に帰るのは神でも方法までは分からないらしい。
〔…………………では他に聞きたいことはあるかの?ないのであれば力の譲渡をしていきたいのじゃが〕
そう言うと老人の前にみたことがあるものが出てきた。それは祭などでよくあるくじ引きだった。ガチャガチャやルーレットならわかるのだがなぜくじ引きなのか。
〔力はランダムで出てくるが勇者だと決まっている人間には出てくるのは決まっているぞい〕
そしてそのくじをクラスメイトが取っていった。落胆の声や喜びの声も聞こえてきた。
『勇士が勇者だー!!!!』
『スゲェ!』
「みんな僕に任せてほしい!!!みんなで魔王を倒そう!」
『オオオオ!!!!』
ゲーム感覚なのかいくらか気が楽すぎないか?もしかすると殺しあいなどもするかも知れないんだぞ?オタクでも現実との区別をハッキリさせられる俺はそう考えながらも、これからの世界に胸を踊らせていた。日本では試せなかった、自分がつくり、鍛え上げていった武術を異世界でどれほど通用するのか。一刻もはやく試したい。そう考えているうちにみんなは終わっており最後は俺だけだった。
〔さて、あとはお主だけじゃ〕
魔法か………どんなのが出るのだろう?くじを引き、書いてあった文字を読む。
「なになに?気配魔法?なんだこれ?」
出てきたのはあまりよく分からない魔法だった。
次回では気配魔法がなんなのかが分かります。そして………