表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『ザ・ファンタジーフィールズ』 第零章 LABYRINTH  作者: メル・ホワイト・プリンス・ヴェリール
GALLIA エピソード ”零”「燃える大灯台砦」
37/45

第33話 黒い船団

      挿絵(By みてみん)




 ”白き愛の女神”エタニティの王国”VANILLA-FIELDS”。


 天地創造の時。 


 天使サルマスによって、時は空間を広げて光や感覚を芽生えさせ


 天使アルソナによって、大地は山や森、野原を育み

 友が生まれて花や風となり


 天使ユリゼンによって海は水平線を掲げ

 理性と秩序を生み出した。


 そして

 最後に天使ルヴァによって愛が満たされ

 ヴァニラ・フィールズは一面の白い花に覆われた。


 遥か古の楽園。その穏やかな日々は、永久に続くように思えた。




 再び、闇夜進軍の笛が吹き鳴らされるまで……。




◆・.。*†*。.・◆




 スラフ竜神族であった海竜ストリ・イシェボ。


 彼女は習わしに従い、長い旅路の果てに白い花咲き乱れる楽園の王国ヴァニラ・フィールズへと辿り着いた。


 野へと続くキュベレー台地最南端の港街ノーア・トゥーン。その大洋ポトスをのぞむフィヨルドの大灯台砦とりで東側。入江に浮かぶ小さな孤島を、彼女はつい住処すみかとして選び穏やかに暮らしていた。




 或る昼下がりの事。いつもの如く、その青く美しいポトスの海原を、平和と自由を謳歌おうかするかに遊泳していたストリ。


 そんな彼女の胸に、突然言い知れぬ不安が過ぎった。


 それは、このヴァニラ・フィールズでは長く忘れていた、かつての不毛な神々の争いをも彷彿とさせた。



「まさかな……」



 馬鹿馬鹿しくも頭を過るモノを打ち消しながら、彼女は海面へと頭を擡げた。


 そして、はるかケルトの方角を望んだ。


 しかし、その遠く西の世界で起こる異変を肌で感じ取るのだった。



「……?」



 そして、そのわずか後。



「何だ? また一つ、大きな気が消えてゆく……」



 同時に東の水平線の向こうで膨れ上がる暗く大きな気配。


 ストリは言い知れぬ不安とザワつく胸騒ぎを辿たどるよう、その巨躯きょくの進路を東の水平線へと向けた。



「……」



 彼女は脳裏を過る可能性を否定しつつも、繰り返し胸に去来する冷たいモノに

己の本能がき立てられるのを感じた。


 そして、その不安は的中した。



「黒い、船団だと!?」



 彼女の目の前に現れたもの。


 それは視界に入る水平線の端までを掲げる漆黒しっこくの帆で埋め尽くし、大陸に向かって北上する船団のおびただしい黒い群れであった。



「馬鹿な。奴らが何故ここに?」



 ストリは我が目を疑った。


 船団の帆先に棚引く髑髏どくろや放射十字星の紋章。壮麗かつ豪奢ごうしゃにして禍々《まがまが》しく飾られた黒色の船影。


 その海原をも呑みこむかに押し寄せる黒い群影は、”神々の盟約”に従い新世界へとおもむいたはずの民。闇夜の王国”黒き軍勢”の海軍艦隊であった。



「一体、どうやって?」



 しかし、一瞬の内にストリは悟らざるを得なかった。


 先刻、ガリアの西で消えた二つの気。


 ウェル”月の女神”アリアン・ロッド仲介による、”闇夜の皇女”エリスと騎士タナトスのアイル訪問。


 そして、アイトリアから旅立ち、居るはずの無い黒き軍勢。



「再び、戦を始めようというのか、エレボス王……」





 つづく

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
◆・.。*†*。.・◆・.。*†*。.・◆・.。*†*。.・◆・.。*†*。.・◆・.。*†*。.・◆・.。*†*。.・◆・.。*†*。.・◆・.。*†*。.・◆
∎∎∎続きと改稿執筆中♪もうチョットまってね♪∎∎∎
◆・.。*†*。.・◆・.。*†*。.・◆・.。*†*。.・◆・.。*†*。.・◆・.。*†*。.・◆・.。*†*。.・◆・.。*†*。.・◆・.。*†*。.・◆
∎∎∎twitter∎∎∎
◆・.。*†*。.・◆・.。*†*。.・◆・.。*†*。.・◆・.。*†*。.・◆・.。*†*。.・◆・.。*†*。.・◆・.。*†*。.・◆・.。*†*。.・◆
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ