「PROLOGUE」 / 神々の千年戦争
まだ時すらも無く光も見えない”カオス”から、創造の女神である大地母神ガイアによってガリア世界は始まった。
生まれ出でた数多の神々の手によって荒涼と広がる野は鮮やかに彩られ、やがて天使や妖精の小神族、エルフ族やドワーフ族、オークら眷族が生まれた。
次に、ようやく神々の子として人が誕生し、ガリアの王国世界が命溢れる楽園として栄華を極めた頃。
女神ガイアは天地創造の仕上げとして、自らを命の雫と変えて姿を消した。とりわけ古い始祖神らと共に、幾千幾万もの新たな命となるべく大地へと身を委ねたのだ。
その言葉を残して。
--- ガリアは新たな王たりうる者達へ ---
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それから遠く古い神代の時代。
大地母神ガイアの意思を受け、ガリア兵の多くを束ねる”光の女神”ヴァルキュリア達は”光の園”ヴァルハラを。”影の女神”シヴァ・スカーハは”影の国”スクァイを。
己が王国を次元の違える同時並行世界として再構築し、民である兵を率いてガリア世界を去った。
それでも、未だ数多の国々を神々が統べていた頃。古の神々と新しき神々の間に争いは起こった。
神々によるガリア統治を掲げるアイトリアと、人に世界を託そうとするテッサリアとの間に。
しかし、それは女神ガイアと共にガリア創造の一翼を担った”闇の王”エレボスと”夜の女王”ニュクスらの謀りごとでもあった。
ガイア亡き後。彼女に代わりガリアの王となり君臨せんと目す彼らは、闇夜の軍勢を引き連れ戦いを起こしたのだった。
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共に不死である神々の戦いは熾烈を極めた。
神の力を神の力で相殺する不毛な戦いに
大地は焼かれ、海は煮え滾り、空は裂かれた。
やがて、その千年に及ぶ争いにガリア世界の存続自体が危ぶまれた時。
”ガリア・キサルピナ(内ガリア)”である大地母神ガイアに対して、”ガリア・トランサルピナ(ガリアの外側)”と呼ばれるカルヤラとケルトの神々。
彼らが天地創造の法の番人として
--- ガイアの残した言葉と封神の指輪グレイプニル ---
それを持って争いに終止符を打った。
その前には、女神ガイアに次ぐ始祖神であった闇のエレボスらも、ただただ引き下がるしかなかった。
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神世の時。天地創造の終末として開かれたガリア会議。そして、結ばれる盟約。
遠く古い神代の時。
古の神々と新しき神々の間に争いあり。
その千年に及ぶ不毛の争いを顧みて誓う。
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「柘榴の森に集いし盟約。それは‘不可侵'」
--- 隔たれた世界へ立ち入らざる事 ---
--- 分かたれた民の魂を犯さざる事 ---
「掟を破る者、永久の時を持って贖うべし……」
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この誓いに、ほとんどの古の神々も其々の民を引き連れ、次元を違えた己が王国世界へと旅立った。
こうして、千年にも及んだ争いから解放されたガリアは、一時の平和に包まれたのだった。
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多くの神々が、ガリア世界から去っていった。
残るは
テッサリアのクレテ島”虹の女神”イリス。
カルヤラのヴァニラ・フィールズ”白き愛の女神”エタニティ。
ケルトの
アングル・ブリーン”白き大地神”アルビオン。
ウェル・ロッド”月の女神”アリアン・ロッド。
スクォーラ・ファイフ”森の大精霊神”クレス・ワイナ。
アイル・ダーナ”三位一体戦女神”バズウ・カハ。
他、それぞれに従属する小神族。
そして
神々の末裔たる人族となっていた。
しかし、古の神々の中に諍う者あり。その名を”闇”と言い、その名を”夜”と言う。それは魔の者なり……。