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『ザ・ファンタジーフィールズ』 第零章 LABYRINTH  作者: メル・ホワイト・プリンス・ヴェリール
ROAD 01「時と記憶の女神」
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第13話 時と記憶の女神

      挿絵(By みてみん)




 ふと、思い出したようにセマグルが沈黙を終わらせた。



「それはそうと、本題を忘れておったわ……」



 マーリンも気を取り直すように答えた。



「本題? ああ、俺に何処かに行ってほしい、ってヤツな」



 

◆・.。*†*。.・◆




 セマグルは改めて温かい柘榴ざくろ茶を自分の器に注ぐと、マーリンにも勧めた。そして、彼の正面に向き直るよう揺り椅子の位置を静かに動かした。



「何れにしてもじゃ。敵のやりようは、”ことわり禁忌きんき”。”不可逆ふかぎゃく不遡及ふそきゅうの禁呪”で”ガリア世界”の摂理を書き換えておる」


「で?」


「その秘密を探らねばならぬ」


「”時と記憶の女神”アネモネか……」


「そうじゃ、彼女なら知っている筈じゃ」


「しかし、神器の行方を捜そうとした時に、アネモネの行方はサッパリつかめなかったんだぜ?」


「そこで主の出番じゃ」


「俺の? またモイラの予言にでもすがってみるか?」


「いや、予言と言うものはな、請うて初めて可能性を示唆しさするもの。それにはアンティリアへ行かねばならぬ」


「じゃ、一回こっきりのゲート・キーを使ってアンティリアへ行けっての?」


「それでは芸がないのぉ……」


「何だよ? 手掛かりもなく、どうしろと?」


「あるんじゃよ。手掛かりが……」


「あるのかよっ!?」


「考えてもみよ。ここまでの話では、間違いなくアネモネは闇夜の手に落ちておる」


「だろうな……」


「あの神器の在処ありかを探した時。ワシも”柘榴ざくろの森”の番人として、迷宮を通して他世界にもアネモネの気配を探したが見つからなんだ。と言うことは、逆ありきじゃ」


「逆?」


「そう、アネモネは”柘榴の森”が存在しない場所におる」


「それはあり得んだろ。”柘榴の森”が存在しない他世界。同時並行世界なんて……」


「と言うことはじゃ。彼女は”柘榴の森”が無いのではなくて、森から遠い場所にいるのかのぉ……」


「”柘榴の森”から遠い……場所……? そうか、彼女は”柘榴の森”を携えて他世界に旅立った神々の跡地。このガリア世界の何処かに居るという事かっ!?」


「そういう事になるの……」


「こりゃ、灯台下暗しだな。おそらくは人目に付かない孤島あたりか……。それにしても、まだ範囲が広すぎやしないか?」


「そこでじゃ。お主は感じぬか?」


「感じる?」


「そう、時の歪みをじゃ……」


「時の……、歪み……?」


「お主らが、このスラフに来てしばらくしてからじゃ。初めは気のせいかと思ったがの。時折、いや定期的にかすかな時の歪みを感じる……」


「定期的に、と言うことは、アネモネからの信号か?」


「話が早いのぉ。アネモネが自身の居場所を我々に知らせようとしておるに違い無い。その証拠にスラフの時は他よりわずかに遅い」


「何だって? そんな馬鹿な事が……」


「そうじゃ。このガリアで創造された世界であれば、並行世界に変わろうともアネモネの干渉下にある。どこも時の流れは一緒じゃ」


「でも、ナンカ証拠は? 確証はあるのかよ?」


「僅かな差じゃからのう。しかし、数十年分ともなれば話は別じゃ。時間に正確な筈のリュブリャナの森。その翠柘榴みどりざくろの結実が、計ったように毎年遅くなっておる」


「翠柘榴?」


「翠柘榴の茶は、毎年楽しみにしてるでな……」



 確かに、他の”柘榴の森”とは違い、神霊質世界のリュブリャナは気候変化など無い。その分、”時の女神”アネモネの干渉力が確実に反映された柘榴の実は、正確な時をきざんで結実する。


 マーリンはセマグルの話に疑心暗鬼ぎしんあんきながらも、更なる疑問がいていた。






 つづく

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