第四話
--今朝の教室は、なんだか騒がしい。
雷樹が一年の廊下に到着したとき、なぜか、彼の教室の前に人がたかっていた。
押し合いへし合いしている野次馬をかき分け、何とか教室に入ると、そこには、とてつもなく異様な光景が広がっていた。
教室中央に、なぜか泉水。
彼の正面に、なぜか違うクラスの女の子。
「おはよう雷樹。とんでもないところにやってきたな」
いち早く雷樹に気付いた桜満が近寄ってきた。
「よう。とんでもないところにやってきた俺に、事情を説明してくれ」
桜満にだけ聞こえるような声で、話しかける。
「え~~っとな、俺が来たときまでは普通だったんだ。でもなんか突然あの――え――そうだ、一ノ瀬とかいうやつが飛び込んできて、泉水に『好きです!』って告った。それで今回答え待ち。」
なんだそりゃ。何時のドラマの学園版だ。
くだらないというかありえないというか、非現実的な現状に雷樹は戸惑う。
どうやら二人とも、それ以上何も言わないらしい。
泉水は驚いているようで(当たり前だ)、全ての動きが止まっている。一ノ瀬とかいうのも、止まっている。周りも、止まっている。
誰も、何も発しない。
動きもしない。
沈黙だけが、教室を満たす。
「ごめん」
いきなり、泉水が言葉を発した。
教室に、廊下に緊張が走る。
静かな空間が苦手な雷樹としては、沈黙が破れたことが嬉しかった。
だがその喜びは、すぐに崩れる。
「嬉しいんだけど、さ。
僕、その気持ちは受け取れない。
僕には好きな人がいる。
僕は坂本さんが、ふーりんが好きだから」
泉水の発した言葉は、ざわめきを呼んだ。
ただ雷樹の周りの空気だけは、固まったままだった。