第10話「朝の風景」
【朝の風景】
丈翔をボコボコにした後俺は朝食を食べに
食堂へ向かった。
なんたって今日は和食だからね!!
いつもよりテンションが高い俺は
ウキウキ気分で丈翔に朝食を奢らせた。
「りゅうちゃん朝から食べ過ぎじゃない?」
「五月蠅い、今日は和食だもん!!」
この寮生は寮の近くにある食堂で食事をする。
食堂ははバイキング形式だ。
ただ、和洋中でわけられており
だいたい洋風の食事が多い。
たまに寮生にどんなメニューがいいかアンケートをとり
それを下にメニューを決めている。
主食とスープ系は無料だが、おかずは値段がついている。
俺は朝あまり食べないので、和食のとき以外はおかずはいらない。
そして今日は珍しく和食だ。
俺のテンションは上がりまくりで
次から次へとおかずを取っていく。
「りゅうちゃん、もうそろそろ俺の財布の中が心配なんだけど・・・・」
「ん、そうか。じゃぁ、これくらいにするか」
俺は丈翔に昼飯も奢ってもらう約束なので、朝に丈翔のお金を使い果たす訳にもいかず
最後のおひたしを取っておばちゃんに会計をしてもらった。
「まぁ、毎度のことだけど流一君は和食だといっぱい食べるわねぇ」
「やっぱ、和食でしょ!」
「なんで今日にかぎって和食なんだ・・・・」
「なんか丈翔君が元気ないけど、どうしたの?」
「いや、それがねおばちゃんこいつが ――― 」
俺はおばちゃんにさっきあったことを話した。
「まぁ、それは気の毒ねぇ。自業自得だけどタイミング悪かったわね丈翔君」
「本当にタイミング悪いよ。和食じゃなかったら金かからなかったのに・・・・」
「ブツブツ五月蠅いぞ、丈翔」
「そうよ、それよりそろそろ食べ始めないと時間無くなっちゃうわよ」
おばちゃんと世間話をして俺達は
席についた。
俺は量も多いので黙々と食べ始めた。
「ふぅ~、食った食った」
「よっ!りゅう」
「幸平、おはよ」
幸平は寮生じゃないが
いつも俺達が朝食をとる時間に学校に来て
食堂に来る。
「今日は和食だったのか?」
「うん、おかげで得したよ」
「俺にとっては損だ」
「丈翔、また何かやったのか?」
「それがさぁ ――― 」
俺は幸平にも今朝あったことを話した。
「ハハッ、丈翔は朝からテンション高いからライダーキックしそうだなぁー」
「おかげで俺の財布の中は風邪引いてるよ・・・・」
「それより、りゅう。昨日はあの後どこ行ってたんだ?」
うっ!!
嫌な質問をしてきたな・・・・
これはできるだけ言いたくない。
しかも丈翔がいるし尚更言いにくい。
ここは適当に誤魔化さなければ・・・・
「いや、奢らされそうだったから寮に戻った」
「そうか、ならいいや」
カンが鈍い幸平でよかったぁ~
俺は一安心し食堂を後にした。
俺達はいつもこんな感じで朝を過ごしていた・・・・