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ゆるり気ままなお猫様  作者: 一般通過純愛スキー


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5/8

見よ、我が神速

「みぃー、みっ、にゃうっ」


 よしよし、すっかり元気になったなエミリーよ。それ毛繕いを受けるがよい。


「みゃうっ、ぅみー」


 どうした、お前が私の毛繕いをしてくれるのか?パパに、ありがとう?おお、なんとういやつよエミリー。お前が良い子で私は嬉しいぞ。


「にゃおっ!?にゃっ、にゃー!しゃー!」


 おや、エリザベス嬢、ご機嫌よう。急に威嚇などされていかがしたのかね。パパ?いつの間に?泥棒猫?よく分からぬことを言うなエリザベス嬢。


「みゅ?にー?みゃお」


 パパのお嫁さん?ママ?まったく何を言っておるのやら。


「にゃおんにゃおん、ぺろぺろぺろ」

「んみっ!」

 

 エリザベス嬢、急に猫撫で声でエミリーを舐めるでない。驚いているではないか。もっと淑女としての嗜みをだね。


「しゃー!ふしゃー!しゃーっ!」


 おやアーノルド、お前も威嚇をしてどうした。まさか私の知らぬ最近の流行りなのかね。違う?いつの間にエリザベス嬢との子供を?

 やれやれ誤解だぞアーノルド。この子は先日私が拾い育てている子だ。名をエミリーという。ほら、自分で挨拶をしてごらんなさい。


「みっ!みゃうみゃう、にゃうん!」


 よしよし、よく出来たな。ほれご褒美のすりすりをくらえ。すりすりすりすりすりすり。


「にゃお〜ん、にゃっ、くるるるる」


 うん?ああ、よく知っているよエリザベス嬢。改めて自己紹介などせずとも、君と私の仲じゃないか。今日も艶やかで優美な毛並みだ。君ほどの毛並みの猫は私以外にそうそうおるまい。


「うにゃんうにゃん」


 どうした今度はくねくねと、ま、まあよい。ともかく、エミリーをよろしく頼むよ。見かけたら面倒を見てやってくれ。


「にゃお〜ん」


 ありがとうなエリザベス嬢。アーノルド、お前も頼むぞ?


「にゃっ……」


 仕方ねえな?ふふっ、悪ぶっておるがなんだかんだで引き受けるお前のその善性、私は気に入っておるよ。


「ふしゃー!」


 照れるな照れるな。お前が近所の仔猫の世話をさりげなく焼いておるのを、私は知っておるぞ?


「にゃっ!?ううぅ、にゃおー!」


 おやおや、逃げていきよったわい。まだまだ若いなアーノルドよ。その様子では、私に勝つのはまだまだ先だろうよ。

 時にエリザベス嬢、今日は下僕を連れてはおらぬようだが、よろしければ私とエミリーに付き合わぬか?




 我らは誇り高き種族、猫である。己の食い扶持程度、己で確保できなければならぬとら思わんかね。ゆえにエミリー、今からお前に教えるのは、私の経験から確立した狩猟法である。お前にこれを受け継ぐ覚悟はあるか?


「みぃ、にゃうっ!」


 よい返事だ、さすが我が子。エリザベス嬢、よければ君も学んでゆくがよいぞ。君にならば技を披露するのも悪くない、君にならばな。何やら余計なのも着いてきたようだが。


「えっ、なになに、アタシのこと呼んだ?ねえ呼んだ?シスターに教えを受けてるおかげかな、最近アタシも猫ちゃんの言ってること分かってきたかも、なーんて……いたっ!」


 呼んでおらんわたわけ!一朝一夕で我が深謀遠慮を見透かせると思うなよ騎士娘!まったく、ヤツの弟子でなければ問答無用で追い返しているところだ。まあいい、そら目的地に着いたぞ。


「どこに遊びに行くかと思ったら、川?水遊びするの?でも猫って水嫌いだったよね」


 普通の猫であればそうだろう。しかし私ほどの猫になれば水など克服済みよ。エミリー、そしてエリザベス嬢よ、心して聞け。よいか、川には、魚がいるのだ!


「みっ!?」

「にゃうっ!?」


 ふふふ、驚いているな。つまり、川での狩猟法を会得すれば、お魚食べ放題なのだ!


「みゃー!?」

「にゃー!?」


 さあよく見ておけ。まずは浅瀬に入る。この際、できるだけ草の陰になっている場所がよい。魚は陰や隙間に隠れていることが多いのだ。

 そして、弛緩する。誰かが言った、猫は液体だと。その通り、私は今水と一体化し、狩猟者の気配を消しているのだ。ああ、しかしあまりやりすぎてはいけない。水の精霊が同調した意識に驚いて波を立ててしまうからな。それでは魚が逃げてしまう。あくまで己の境界は保ったままだ。

 ここまできたらやることは一つ。視界に入った魚を、一撃で仕留める!くらえ我が神速の一撃!

 

「えっ、こわっ、一瞬背筋がひゅっとしちゃった。本気の師匠より鋭い気配がした気がする」


 当然だ騎士娘よ。ヤツに神速の武技を仕込んだのはまさにこの私なのだからな。我が神速は、風の神ですら一目置くほどであるぞ。そら獲物を見てみろ、食いでのある魚だろう。


「にぃ〜!みゃおぅ!」


 感じる、感じるぞ!尊敬の眼差しを!なにエミリーよ、お前も修練を積めばいずれできるようになるさ。私がしっかりと教えてやろう。エリザベス嬢、どうだったかね?


「にゃおん、にゃおん、ぐるるるるにゃあああああ」


 ど、どうしたエリザベス嬢!?素敵?カッコいい?オスの頂点?う、うむ、褒められるのは嬉しいが、なんだか息が荒くないかね?まるで発情期のような声ではないか。落ち着きたまえエリザベス嬢。ほらっ、この獲物は君にあげよう。


「ふしゃっ、はぐっ、はぐはぐっ」


 お、そうか、そんなに腹が減っていたのか。なるほど、であれば獲物を前に息を荒げるのも納得だ。気付かなくてすまなかったな。

 さあエミリーよ、お前もやってみるのだ!己の食い扶持を見事狩ってみせるがいい。なぁに安心しろ、誰でも初めては上手くいかぬものだ。私がサポートしてやるゆえな。


「みっ!」


 ふふっ、励め励め。最悪こっそりと風の精霊に頼んでサポートしてやろうて。

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