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ゆるり気ままなお猫様  作者: 一般通過純愛スキー


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3/6

生意気小僧は将来有望

「かつて世界は一つであった。しかしある時二柱の神、法神と魔神が争いを始めた。世は荒れ、理は乱れ、世界は終わりの時を迎えようとしていた。だが、今もこうして世界は続いている。聖猫様がいたからだ。争う神の間に立ち、その鳴き声で二柱の神を諌めたのである。争いは何も生まぬ、愛から全てが生まれるのだと聖猫様は説かれた。そうして、愛によって再び世界は一つになった」


 退屈である。先日助けた娘っ子に抱かれていなければ、とっくに散歩へ出かけているところであるぞ。


「んー、よくわかんないけど、すごい猫さんがいたってこと?」


 ほほう、やはり見込みのある娘っ子だ。分からぬと言いつつも本質を理解し、私の偉大さを感じ取るとは、褒美をやろう。ほれ肉球ふにふにー。


「わっ、くすぐったいよ猫さん。ふふっ」


 ちなみに真実を語ると、喧嘩の原因もどちらが優れた神であるかという下らぬものであったし、私の方が偉大で崇高なる存在であるという、至極当然のことを分からせ骨抜きにした結果、ヤツらの喧嘩は三日で終了したのであった。

 なおあれからも愚かな二神は度々喧嘩を繰り返しているし、時折私をもふりに来るし、私に夢中になりすぎて仕事をサボって理が乱れそうになったりしているのは、神仲間での秘密である。




 さて、娘っ子は親に連れられて帰ったし、今日は一体何をするか。散歩は昨日散々したゆえ、今日は私の縄張りを荒らす輩を成敗してやるか。それとも市場に出向いて人間からの供物を貪り食ってやろうか。


「にゃー」


 おやエリザベス嬢、今日も艶やかな毛並みが美しいではないか。全神類の選ぶ毛並みランキング百年連続ナンバーワンの私には及ばぬが、君であれば上位に食い込めるであろう。今日も我が毛繕いを受けるがよい。ほれほれほれほれ。


「ごろごろごろごろ、にゃうん、にゃうん、んなぉー」


 なに、もうこの毛繕いでなければ満足できない?責任を取れ?やれやれ仕方あるまい。ではこれから毎日私の所へ来るがよい。丹精込めて毛繕いをしてやろう。え、そうじゃない?もっと違う責任の取り方?何を言っておるのだエリザベス嬢よ。


「あらあら、今日も仲良しさん。野良ちゃんはひょっとして教会の子なのかな?そういえば、教会の近くで会うことが多いもんね」


 逆であるぞエリザベス嬢の下僕よ。私が教会の子なのではない、教会が私の子のようなものなのである。


「うふふ、かわいいねー。なおーなおーって、一生懸命おしゃべりさん。どうしたのかなー、にゃおーん、にゃおーん」


 おいおい、いくら猫の鳴き真似をしたとて人間は猫にはなれんぞ。まあ万物を魅了する私に憧れる気持ちだけは評価してやろう。ほれ肉球ふにふに。


「わわっ、どうしたの?遊びたいのかなー、いいよー、じゃあこっちもわしゃわしゃわしゃー」


 ぬっ、我が腹をわしゃわしゃと、くっ、絶妙な力加減。中々やりおるな。エリザベス嬢の下僕の名は伊達ではないということか。よし、お前には今後無期限で私を撫でる権利を与えよう。


「にゃーん、にゃお、にゃっ!ふしゃー!」


 どうしたエリザベス嬢、威嚇などしおって。浮気?何を言っておるやら。落ち着くがよい、ほれすりすりすりすり。


「にー、にゃっ、にゃふっ、ごろごろごろごろ」


 そうだそうだ、威嚇などするでない。喉を鳴らしておるのが一番めんこいぞ。


「野良ちゃんを取られちゃったと思ったのかなー?。大丈夫だよーエリーちゃん。旦那様取ったりしないからね」


 だから旦那ではない。しかしエリザベス嬢の可憐さに釣り合うほどの猫は確かに中々おらぬ。可能性があるとすればあの小生意気なヤツしかおらんか?


「ぬぁー、ぐるるるる、にゃおー」

「アーニーちゃん、こんにちは。今日もイケメンさんだねー」


 噂をすれば来よったなアーノルド。どうした、そんなに怒って。エリザベス嬢から離れろ?いやしかしな、こうせねば嬢が怒るゆえ致し方なかろうて。


「しゃー、ぐるる、しゃー!」

「わわわ、アーニーちゃんダメだよ」


 これ、急に飛びかかってくるでないわ。なに、勝負しろ?構わんが、お前も懲りぬやつよの。私の全戦全勝、一度たりとも私に土をつけたこともないのだ、そろそろ諦めてはどうだ?猫の価値は、勝ち負けで決まるものではないぞ?


「しゃー!ふしゃー!なぉー!」


 今日こそ俺が勝つ?貴様の時代は終わり?ふふっ、その意気やよし。よかろう、いつでもかかってくるがよい。まだまだお前程度の小童に負けてやるつもりはないぞ。


「こらっ!いい加減にしなさい!」


 おぉなんと情けない、下僕に抱き上げられて抵抗もできぬとは。先ほどまでの威勢はどうしたアーノルド。なに、暴れて怪我をさせたらエリザベス嬢が悲しむ?なるほど一理ある。アーノルドよ、その深慮は賞賛に値する。

 私に歯向かう反骨精神、慈悲の心、私やエリザベス嬢ほどとはいかぬが並のものを凌駕する毛並み、やはりお前は逸材やもしれぬな。もっと精進を重ねるがいい。さすればいずれ、お前の爪も私に届きうるやもしれぬな。

 さて、では私はもう行くでな。ご機嫌ようエリザベス嬢、アーノルド。

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