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転移特典としてゲットしたチートな箱庭で現代技術アリのスローライフをしていたら訳アリの女性たちが迷い込んできました。  作者: 二十口山椒


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02:スローライフを満喫

 天国のような世界と思っているがとりあえずは実家に入って何ができるのかを確認する。


 水道、出る。


 電気、通っている。


 どういう原理かは分からない。だがそれでも確かに水はあるし電気もある。


 冷蔵庫の中身が俺の知らないものになっていた。だからここは当時を再現したものなんだろう。


 よく見ればその日の晩に唐揚げの残りが入っているからそうだろうな。


「おっ、ハーゲンダッツ」


 これは母上がいつも食べているハーゲンダッツのバニラ。


 ここは俺の家でもう俺以外に入ることはないのだからこのハーゲンダッツは俺のだ!


 そういやこの箱庭の季節ってどうなっているんだ?


 違和感を覚えないのは夏だった元の世界と同じだからだろう。だから今はハーゲンダッツを食べよう。


 それにエアコンをつけて涼しい中でハーゲンダッツを食べる。これが至高だろうな。


 しかも誰に文句を言われるわけでもない、俺が好きにしていい世界がここだ。えっ、夢だと言われた方が都合がいいな。


「あー、サイコー……」


 元の世界でフリーターをしていたがそのことを両親からは特に何も言われなかった。


 だが一人でテレビを見ている時に将来のことについて、老後の資金等々が話題に上がると一人で居心地が悪くなった。


 まあそれ以外の時は特に気にせず能天気に生きていたが。


 だが今のこの現状は俺の世界を俺が好きにして生きていける世界。こんな天国のような世界は他にないだろう。


 一つ贅沢を言うのなら娯楽がないところか。まあ娯楽もおもちゃを作り出せばいい話か。


 そう思いながら映りもしないテレビの電源をつけた。


「ん!?」


 テレビが映った。


 いやもしかしたら俺が覚えている番組かと思ったが……全く違う。


 お昼のニュース番組をしていた。しかも俺が転移した日付の翌々日だ。


「まじか……」


 お昼のニュースでは昨日突如として消えた人たちのことを話していた。


 神隠しやら拉致やら言われているが、間違いなく俺やあの場にいた他の人たちのことを言っている。


 報道されているコンビニの場所が間違いない。


 他のチャンネルを見ても報道されていた。


「……まじか!」


 ここは異世界なんだぞ!? それなのに元の世界のニュースを見れるとかどんな世界だよ!


 俺の妄想なんてものでは済まない代物が目の前にあった。


 ……そうか、俺が想像したものが普通に見れるテレビ。だから前の世界で放送されているものだとしても見れるのか。


 とんだチートな性能だな、俺の能力は。


 そしてテレビを涼しい空間で異世界であることを忘れてボーっと他人事のように見ていれば親族に取材した映像が出てきた。


『本当に、早く帰ってきてほしいです……』


 顔は映っていないが間違いなく声は俺の母親だった。


 顔は見えなくても泣いているのは分かった。


 だから俺は思わず俺が無事であることを電話して伝えようと思ったらポケットにスマホが存在していた。


 コンビニに行った時はスマホを置いてきていたからこれは間違いなく俺が生み出したスマホだ。


 そして電話しようと思って作り出したのなら、できるはずだ。


 俺は数少ない連絡先から母親と表示されたものをタップして通話を押す。


 耳元にスマホを当てれば確かにコール音が聞こえてきた。


優斗(ゆうと)!?』


 出る音とともに母さんの縋るような声が聞こえてきた。


「あぁ、優斗だよ」

『はぁぁ……! よかった……!』


 電話越しでも崩れ落ちる音が聞こえてくる。


「俺は大丈夫。母さんと父さんは大丈夫?」

『あんたが一番大丈夫じゃなかったでしょ! どこ行ってたのよ!』


 まあそう言われるのは仕方がないことだ。まあ俺のせいではないけど。


「ちょっと異世界に呼ばれたんだよ」

『……はぁ?』

「そのコンビニにいた人たち全員異世界に行ってるよ」

『……はぁ?』


 まあいきなりこんなことを言われても意味不明なことは分かる。でもこれが事実だから一応言っておく。


『とにかく、無事なのね?』

「無事。チョー無事。異世界の街が汚いから嫌になるけど」

『それならいいわ。……無事でよかった』


 こんな感じで安堵されるのは初めてだから少しだけ恥ずかしくなる。


「ま、こっちのことは気にしなくていいから。会えるかは分からないけど、定期的に連絡はする」

『会えなくてもいいわよ。無事にこうして声が聞こえるのなら』


 母さんが安心できるのなら電話した甲斐があったものだ。


 両親も安心させることができ、俺は満足してこの異世界のスローライフを満喫することにした。


 他の異世界転移者がどうなっているのかは全く分からないがさすがにもうこっちの世界にきているのだろうな。


 彼らはこの世界で冒険者をするのか、はたまた社畜をするのか、俺のようにスローライフを謳歌するのか。


 もう彼らの顔も思い出せないからどうなっていようがどうでもいいことだ。


 俺の目下の目標はこのチートな箱庭をより良いものにすること。


 今は家とアパートがあるだけでご飯はこの家にあるものだけでなくなればまた創造すればいいのだろうがそれではつまらない。


 こんな力があるのだからもっと良いものを作らないと宝の持ち腐れになってしまうからな。


 食材や日用品であればスーパー。


 食べるものならファストフードやら回転寿司、ピザ屋。


 他にも洋服屋やら家電量販店、本屋など色々とある。


 それをこの世界に作って楽しめば元の世界でスローライフをしていると言っても過言ではない。


 ただ、それをするには元の世界の情報を更新したり店が勝手に運営したり作った状態と同じ状態にするとか、そういう設定をする必要がある。


 この家も水や電気も俺の魔力で賄われている。


 おそらく俺の魔力が多すぎて家とアパートを再現した時も魔力の減少が全く分からなかった。


 えっ、もしかして俺のポイントってめっちゃ多かったのか。それで神をも超越する箱庭になったのか。


 それなら二千万ポイントを割り振った魔法性能で魔力が上がっているのかもしれない。


 さーて、ここから家の周りに……いや待て。それはそれで異世界にきている感じがしないな。


 元の世界でスローライフをしている感じがするのはいい。だがそれはそれで元の世界に縛られている感じがするなー。


 こういうのは異世界風味を漂わせている方が味がする気がする。


 だから……家の地下にでもショッピングモールを作っておくか。それなら外観は損なわれない。


 家の周りはどうしたものか。


 あっ、どうせだから家の周りには木とか作物とかをはやして農業みたいなことをするか。


 作物の育て方が分からなかったらスマホで調べればいいし、何ならそんなことをしなくても俺の能力で自動で育つ、みたいな品種にもできるわけだ。


 えっ、めっちゃ面白そう! スローライフごっこをするためにここら辺を森にしてやるのもあり!


 好きなようにアレンジできるから危険な生物はおらず俺の指定したものしか生きられないようにすればいいじゃん!


 今はまだこの生活を始めていないがそれでもこの俺だけの箱庭を好きにできることはワクワクするものがある。


 いやぁ、あの神? には感謝だな! でも世界は救わないからそこのところはよろしく!

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