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ニア軍曹は全てに使われ絶望する〜人造兵器の適合者の末路〜(旧題:愚かな望みの終焉〜ニア軍曹は縋りたい〜)  作者: 朝倉 ねり


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18/20

18 終焉

  あれから私は、とてもつまらない人間になった。


  「生きたい」と思うようになったのだ。

 なんだかもう、死ぬのが馬鹿らしくなってしまった。3度も死に損ね、神も信じられなくなった私は純粋に、生を実感するようになった。


「バルックハーゲン。モタモタしないで早く来て。」

「すまない。すぐに行こう。」


 マイロとの関係は、 まぁ何となく、と言ったところだ。

 あれだけ彼の前で恥をさらしてしまったので、隠すものも取り繕うものもなく、彼を信頼するようになった。


 マイロはC.H.R。私の生命力を吸い上げ、私が死ぬまで稼働し続ける。

 私は命を握っている相手に安心するようになっていた。彼は機械だから。彼は感情なんてないから。


 色んな言い訳をしてみたけれど、でも多分。


 彼に惚れてしまったのだろう。

 突然の感情で戸惑うかもしれない。

 私だって戸惑っている。


 でも、私は弱い人間だから、何かにすがりついていないと生きていけない。

 今までは「死ぬこと」や「信仰」に縋っていたけれど、今は「恋心」に変わった。

 好きな彼に命を渡せるのなら、それが一番の愛情表現だと、そう思うことで戦場を今日も生き抜く。


 死ぬ時はマイロに生命力を全て渡した時が良い。

 そうすれば、その時私はやっと生に縋りつかず、「死にたい」と本気で思えるだろうから。


「マイロ。私は貴方の稼働に全力を尽くそう。」


 すこし逸る鼓動を抑えて、僅かに頬を赤らめて。恋する人間だと分かって欲しい。


 (わたくし)はマイロに向かって振り返り、彼の灰色の瞳を見上げた。







  パァンッ!!


「……え?」


 いたい。お腹。赤。いっぱい流れて…?


「…ぁ。」


 ドサリ。

 体に力が入らない。

 なんで?ここは戦場じゃない、のに。


 あつい。いたい。マイロが撃った?


「俺は言ったはずだよ。」


 冷たい淵がヒタヒタと近づいてきて瞼を開けていられない。

 今までとは全然違う。明らかに「死」だ。

 そんな中でもマイロの声は何故かハッキリと聞こえた。

 謳うように軽やかで、僅かにノイズが混じった低音。


「用のない無意味な適合者(なえどこ)なら殺すって。なに、その目は。次は恋愛ってやつに縋ろうとしてるの?」

「な……んで、」

「本当に馬鹿で救えないな。何も反省していないんだね、それが人間の特徴なのかな。」

 見ていてイライラする。

 マイロがそう吐き捨てた。


「無能すぎるから死んでね。バイバイ、()()()。」


 絶望。左の頬が濡れた感覚がしたと思ったけど、次の瞬間には分からなくなってしまった。


 光が途絶える。



 後に残されたのは一体の女の死体と、生命力の供給が途絶えて稼働が止まる寸前の、旧型のC.H.Rだけだった。

ここまで閲覧いただきありがとうございました。

本編は終わりですが、番外編的な掘り下げを数話投稿しようと思っています。

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