10 初めての仕事
もう折り返し来てしまいましたね。
読んで頂いている皆様に多大なる感謝を。
退院後すぐに、私は戦場へ派遣された。
5度目の世界大戦が激化したからだ。
召集令状が届いた時、懲りもせずに平謝りに来ていた校長は面白いくらい顔を青ざめさせていた。
「すまない、すまない、すぐに取り下げるよう掛け合いますから」
彼の一存で決まるような言い方に、もはや笑うしかなかった。
「いや、構いません。召集されたのだから、否やは申しませんわ。」
正直、戦場に行きたかった。
いくら死にたくても、ここでもう一度自殺しようとすれば、またあの医者が派遣されてくるだろう。
彼の治療の腕は確かだと、私の体がそれを証明していた。
それなら、お世辞にも環境の良いとは言えない、戦場で死ねば良いのだ。
普通に生活を送るよりは明らかに死亡率も高いし、何よりこの忌まわしい適合者の血が、私が少しでも戦場から逃れるような思考をすると、鈍く痛むのだ。
戦場からは逃げない。ただ「生」からは逃げよう。
両親には申し訳ないが、既に限界を超えていた私はそうして出征した。
戦場での生活は雑務から始まった。
アレクサンドル中佐の元で、下級兵士達を統率し、ストレスを程よく発散させてやるのが役目だった。
戦場は、いるだけで負荷がかかる。
雪と同じように体力を奪い、雪よりも生々しく精神を病ませる。
けれど、帰ることなんてできないから、兵士たちは煙草や水で割った酒でその負荷を忘れようとした。
私の最初の任務は、戦場に近い村から雑貨を売りにくる若い娘と兵士を仲介することだ。
私は女だから、娘たちがスパイでないかの身体検査役も兼ねていたが、そんなものは形だけで、顔を見るだけで通らせることがほとんどだった。
女が来るということは、予想以上にストレスを軽減させる。
兵士たちは煙草を買い、密造された酒を買い、娘たちの花を買った。
娘たちが兵士たちのテントに消えるのを見届けて、私は門番に戻る。
そして、2時間ほど後に疲れた顔をして出てくる娘たちに、沸かした井戸水で浸した布を渡す。
彼女らが体をぬぐえば、私たちは元通り他人に戻る。
それの繰り返しだった。
それ以上踏み込めば、お互い傷つけ合うだけだという認識が暗黙のうちに作り出されていた。
閲覧いただきありがとうございます。
短いので、もう1話出します。




