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28.子供は可愛い

「ほら、オリバー。ご飯だよ」

 

「ぁー」


 オリバーは最近、離乳食を食べ始めた。まだスプーンで掬った少量の食べ物を口に運ぶと口の端から零してしまうけれど、それでも自分で食べようとするオリバーは偉いと思う。

 

「美味しかったかな?じゃあお腹いっぱいになって眠くなったから寝ようか」

 

「んぅー」

 

「はい、ねんねしようねぇー」

 

「うっ、うっ」

 

「うんうん、泣いてもいいんだよぉ。沢山泣くのも赤ちゃんの仕事だからねぇ」

 

「うっ、うっ、うぇ~~~~~~~~~~~」

 

「よし、よし、良い子だねぇ。上手に泣けて偉いねぇ」

 

「うっ、うっ、うっ」

 

「大丈夫、大丈夫。僕は此処にいるからね」


 オリバーは最近ひとり寝に切り替えた。だけど寂しくて毎晩僕と一緒に寝たがる。ひとり寝はまだ早すぎる気がしたけど王家の習慣らしく従った。ルーカスもオリバーの歳にはひとり寝だったらしく例外はないそうだ。一般庶民の僕からすると違和感が半端ない。そのせいか今日みたいに食後の御昼寝にも少しぐずるようになった。


「ンゥー」

 

「はい、ねんねの時間だよ」

 

「スヤスヤ……」


 抱きしめてあやすとすぐ寝ちゃう。

 

「可愛いなぁ」


 今は天使のように愛らしい顔立ちは将来ルーカス同様に美男子に育つんだろうな。子供の頃のルーカスも天使のように可愛らしい容貌だったから。



 

 子供か……。



 今思えばライアンと将来の事を明確に話し合った事なんて無かった。

 ただ、これから先もずっと同じ生活を続けていくんだと漠然と思ってたし、そうなると信じて疑わなかった。

 この世に絶対という保証なんて何処にもない。

 どれだけ情熱的に愛されても一瞬で恋が冷める場合もある。逆に、家族となってから愛し合う夫婦だっている。愛情なんて千差万別だ。


 後宮に来てから一層外の世界と遮断された感覚がする。

 それも無理ないか。

 僕はオリバーの世話とルーカスの話し相手をして日がな一日を過ごしているんだもの。時折、家族が面会に来てくれるけど皆ライアンの父親に対して物凄く怒っているから彼らの事を聞くことはできなかった。

 姉さんが「今、ライアンの家は大変なことになっているから暫く後宮にいた方が安全だわ。()関係者と言う事で下品な記者に追っかけられる心配もないしね」と言っていた。詳しく話してくれなかったけど元部下の人達に訴訟を起こされているらしい。



『ライアン君もお父様の侯爵とは別件で訴訟を起こしているわ』


 母さんがコッソリ教えてくれた。

 ライアンは身籠らせた令嬢との婚姻を今なお拒否しているらしく、そのことで裁判を起こしたそうだ。

 僕には分からないけど子供の存在だけで結婚はできないと彼は言っているらしい。まぁ、確かに子供ができたから結婚しなければならないという法律はない。愛人に子供を産ませて養育費だけ払うケースも多い。でもそれはお互い納得済みなら問題ないはずだ。貴族同士の政略的結婚ならば、そんなこと当たり前だろう。

 ライアンには貴族らしからぬ処があった。それでも根は貴族だ。それは数年一緒に暮らした僕だからよく分かる。



「子供はこんなに可愛いのに……」


 腕の中で眠るオリバーをギュッと抱きしめた。





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