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25.王様は幼馴染

 ライアンと別れ話をしてから早、六ヶ月が経とうとしていた。外の情報を全てシャットダウンしている僕には彼らがどうなったのか分からない。


「マンマ」


「ん?どうしたの、オリバー?」


「ンン~~~~……」


「お眠かな?良いよ、今日はいっぱい遊んだもんね。もう寝ようね」

 

「……ゥー」

 

「おやすみ、僕の可愛いオリバー」


 背中を優しくさするとオリバーは瞼を閉じた。暫くすると小さな寝息が聞こえてくる。それを確認した僕は音を立てないように静かにベビーベッドにオリバーを下ろし、布団をかけてあげる。オリバーは一度眠ると中々起きないタイプだ。夜泣きもしないし、手がかからない子だった。


 少し迷ったけど結果として後宮にきて良かったのかも。

 ルーカスには感謝しないと。


 オリバーは、現国王ルーカスの三番目の子供。

 公爵家出身の生母が産褥の末に亡くなられたことで後宮内での後見人がおらず難儀していたらしい。一時は母方の公爵家で養育をするしないで揉めていたようだ。ただ、今の王家には王族が少ない。オリバーが王女ならまだしも待望の王子。流石に王宮の外で育てるには不都合があった。そこで養育係としてルーカスに声を掛けられたのが僕だ。


 実を言うと僕とルーカスは幼馴染だ。

 最もこの事はトップシークレットとなっているからライアンも知らないこと。


『俺の母親は身分の低い踊り子だ。旅芸人の舞姫が国王に見初められて産まれた俺が王として即位するとあれば外野は嫌でも煩くなる。かと言って兄貴たちが死んじまった今じゃ、王位継承権を捨てる事もできねぇ。次期国王に今から媚びを売って来る貴族連中には吐き気がする。ついこの間までは『劣り腹の王子』や『下劣な血筋』とか言ってやがったのにな』


 生母の出自によって苦労の絶えなかったルーカスは僕よりもずっと大人だった。兄王子達が熾烈な王位継承争いをしている中、唯一人蚊帳の外に置かれていたのはそういう事情もあったせいだ。王宮から遠く離れたニシゴリ子爵領に静養という名目で長期滞在していた理由に当時の僕は全く気付かなかった。小さくて可愛らしい王子の存在は子爵家の人達を大いに喜ばせていたし、末っ子の僕も弟ができたみたいで嬉しかった。


 ルーカスが即位後、僕達を遠ざけたのは貴族の争いに巻き込みたくなかったせいだろう。

 だから、僕達はルーカスとの繋がりを吹聴する事もなかった。商会の関係で登城する事もある父さん達は秘かにルーカスと会っていたようだけど、隠し事が苦手な僕ではきっと直ぐに露見していた筈だ。

 

 生後六ヶ月のオリバーの寝顔を眺めながらつらつらと昔の事を思い出していた。

 ぶっきらぼうだけど優しい子なんだよね、ルーカスは。

 この後宮に来た日のことがまざまざと蘇ってきた。




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