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そして野生児は碧眼の姫に出会い、彼女と瞳に恋をした  作者: 内村一樹
第6章 野生児と頂の守り神

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第65話 命がけ

 手元てもとにいるキツネの姿すがたが、湯気ゆげなかかすんでえる。

 きっと、しろ湯気ゆげめているからだ。

 そうかんがえた俺は、すぐに目元めもと水分すいぶんぬぐうと、なにかをごまかすようにきびすかえした。

 そのまま洞窟どうくつそとかってあるそうするけど、1つ、わすれていることをおもして、キツネのほうかえる。


「ありがとう。おかげでまた1つ、まえすす理由りゆうえたがするよ」

「そうだな。オイラからも感謝かんしゃするぜ」

 俺とノームの言葉ことばいたキツネは、不思議ふしぎそうにくびかしげてせる。

 そんなかれかるあたまげ、ふたた正面しょうめんなおった俺は、あらためてそとかってあるした。


 しろいのが興味津々《きょうみしんしん》といった様子ようすで俺達を見上みあげてるけど、にしない。

 ワイワイとさわかれらをかきけ、ぐちまでたどりいた俺は、ゆきがチラチラとそと様子ようすけた。

さむいな……でも、うごけないほどじゃない。ノームはどうだ?」

「オイラもだ。いまならどんなやつてもたたかえるぜ!」


 こころなしか、いつもよりやるちている様子ようすのノームに、すこ勇気ゆうきづけられた俺は、そのまま洞窟どうくつそとあしした。

 もっているゆきあしられないように、一歩一歩いっぽいっぽ着実ちゃくじつあるく俺。

 そうして、しばらくあるいていた俺は、ふと1つのことにいて、背後はいごかえる。


「……なんでいててるんだ?」

おにごっこしよう?」

 平然へいぜんと俺達のあといてているキツネとしろいのたちけて、そういかけてみるけど、まったくもって会話かいわになるがしない。

 それでもあきらめなかったのか、ノームがあきれた様子ようすった。


「なぁ、オイラたちべつに、あそびにかってるわけじゃないんだぜ? いのちがけなんだ」

「いのちがけぇ~? へんなのぉ~」

へんだと!? バカにするんじゃねぇよ!!」

「おいノーム、けって。それよりもいまは、みんなさがすんだ」

かってるけどよ。はぁ、なんか調子ちょうしくるうぜ」


 ケラケラとわらしろいのたちと、表情ひょうじょうひとえずにあるくキツネ。

 そんなチグハグな洞窟どうくつ住人達じゅうにんたち翻弄ほんろうされながらも、俺達はさらあるつづけた。

 周囲しゅうい見渡みわたしながら、ペポやシルフィ、サラマンダーにガーディ、そしてベックスとケイブの姿すがたさがす。


 だけど、たりまえのように、周囲しゅういにはだれ姿すがたかった。

 あるのは、もったしろゆきちゅうしろゆき、そしてあしまとわりつく茶色ちゃいろゆきだけだ。


 あの雪崩なだれみんなまれてしまったんだろうか。そんないやかんがえが脳裏のうりよぎる。

 それでも、希望きぼうてずにさがつづけていると、俺のみみへんおととらえた。


 まるで、なにかが炸裂さくれつするような、おぼえのあるおと

 そのおとのするほうげたおれ視線しせんは、こんもりともっているゆきやま衝突しょうとつする。

 すぐにそのゆきやまをかきけた俺は、そのさきはるしたほうにあるちいさな集落しゅうらくつけた。


「あれは、もしかしてコロニーか……?」

「さぁ、でも、なに様子ようすがおかしくないか?」

 ノームがうように、コロニーの周辺しゅうへんがおかしなことになっている。

なにかにかこまれてるってかんじだな。あれは……魔王軍まおうぐんか?」

「そうっぽいな。もしかしたら、坑道こうどうやつらがあのコロニーを襲撃しゅうげきしてるんじゃないか?」

「……だとしたらほうっておけないけど。でも」


 いまかれらをたすけているひまがあるのか?

 そうくちにしようとした俺は、しかし、最後さいごまではっすることはかった。

 とうのも、ふたたさきほどのおとひびわたったからだ。


 はるしたにあるコロニーのなかから、周囲しゅうい魔王軍まおうぐんらしき人影ひとかげけて、まばゆ閃光せんこうはなたれ、直後ちょくごへんおとひびく。

 その閃光せんこうおとた俺は、おもわずこえげてしまった。

「あれは! サラマンダーの!!」

 ノームもそれにいたらしく、あたまうえさけぶ。

火弾ひだんだな!!」


 まさかあんなにしたにあるコロニーに、サラマンダーがいるとはおもってもなかった俺は、すこしテンションをげて、コロニーのほうかって一歩いっぽす。

 と、そのとき


俺のかみって合図あいずしたノームが、足元あしもとりたかとおもうと、地面じめんなかもぐんだ。

 そして、ふたた姿すがたあらわしたかれは、なにやらいわでできたいたのようなものをつくげてしまう。


「おい、はしっていくなんて時間じかんかりすぎるとおもわないか? ダレン」

「ノーム? なにってるんだ?」

なにって、からねぇのか? まぁいい。ここはオイラにまかせとけ」

 なぜか自信満々《じしんまんまん》のノームは、つくげたいわいたゆきうえいた。


 そんないわいた見下みおろしていると、キツネが俺のかたってくる。

「おわっ!? ちょ、なんだよいきなり」

「お、このキツネはかってるみたいだな。しろやつらも、自前じまえものがあるらしいから、なんとかなるだろ」

「ちょっとてノーム。なにを―――」

「よしダレン。つべこべわずに、すべってりるぞ!」

「「「いえぇぇぇぇぇぇい!!」」」


 まるでノームのごえわせるかのように、歓声かんせいげたしろいのが、いきおいよくやま斜面しゃめんすべはじめた。

 かれらの足元あしもとには、なにやらこおり出来できているらしいいたがある。

 と、そんな様子ようすていた俺は、ノームにうながされるうちいわいたうえたされ、問答無用もんどうむよう斜面しゃめんほうされる。


「ちょ、ノーム!! おまえ、いつのに俺のあし固定こていした!? ってか、て!! これ、速度そくどすぎだって!!」

 徐々《じょじょ》に加速かそくしていくいわいたに、あし固定こていされてしまった俺は、すべもなくゆき斜面しゃめんすべる。

 なんとかバランスはたもててるけど、正直しょうじき盛大せいだいころげてしまいそうだ。


 そんな状態じょうたいで、爽快そうかいかぜたのしむことができていない俺にたいし、ひど上機嫌じょうきげん様子ようすのノームが、右手みぎてげながらげたのだった。

「サラマンダー!! ってろ!! オイラたちがすぐにたすけにかうからなぁ!!」

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