こいが新しか九州の夜明けたい
【エピローグ】
「も少しボーカルば返してくれんね」
西郷の指示が飛ぶ。ここ博多武道館では『ネオアンダーザ玉葱フェスティバル』の最終リハーサルが行われていた。リハのステージに立っているのは浜崎聖子である。
「いやぁ、ほんなごてまたここでやれるとは思わんかったですよ」西郷の横で聖子のリハを見ながら藤井剛が言った。
半年前の『アンダーザ葵タマネギフェスティバル』において、九州徳川財閥の仕組んだ出来レースは観客を暴徒化し、チケット払い戻し要求や抗議のアクセスが集中した九州徳川財閥系のシステムは全てダウンした。
この九州のシステムダウン後、その矛先は徳川財閥本体に向かった。
このため徳川財閥のシステムダウンが及ぼす日本経済への影響を恐れた総裁家康は、勝を介して西郷に事態の収拾を願い出たのであった。
この件において徳川財閥が提示した条件は『九州音楽市場の解放』『松下音塾の吉田社長他のバンドメンバーの無罪放免』『浜崎聖子と藤井剛のFA権の行使を認める』が大きな柱であった。
西郷と吉田社長は直ぐに新会社九州レーベルを立ち上げると浜崎と藤井を受け入れ、その二人と釈放された『Cast teilar』『縮緬マキ』、盟友の『Hagy Joker』『Crow cozy』『平面体』が出演する『ネオアンダーザ玉葱フェスティバル』を無料開催する事を発表し事態を沈静化さた。
リハーサルが行われているのステージを感慨ぶけに見ながら西郷が呟いた「坂本っちゃん見えるか?あんたの夢見た九州ミュージックシーンの夜明けばい」
実は坂本は昨日東京に行ったまま又行方不明になっており、一部では新撰ゼミから暗殺されたという噂がたっていたのだ。
「ハックション!九州に向かいよるとに何で段々寒うなっていくとやろか?」
東京の徳川財閥本部で勝と今後の打ち合わせをした後、銀座のクラブに連れて行ってもろて、別れてかい汽車に乗って・・・
「しかしこんトンネルは長かねぇ」
坂本乗った汽車は青函トンネルを走っていた。