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9 私はエイジを…どっか~ん!(蒼き流星SPTレイズナー)

 1985年放送の「蒼き流星SPTレイズナー」というロボットアニメがありました。

 35話「グラドスの刻印」では、南米クスコの遺跡を調査に行った主人公エイジとヒロインのアンナが、敵方のカルラと共に遺跡内の一室に閉じ込められてしまいます。

 エイジは床を爆破して脱出口を作るため、アンナに銃を渡してカルラに邪魔されないよう頼みますが、カルラはアンナに人は殺せないと高を括り、エイジを殺そうとします。その時アンナの撃った銃弾が目の前をかすめ…。

 「ハッタリだ! お前に人を撃てるはずがない」

 「どうして撃てないと思うの? 私は撃てるわ。あなたを殺すことなんてなんでもない。だって、私は…」

 次の瞬間、エイジの仕掛けた爆薬が爆発した音で声がかき消され、アンナのモノローグでも「爆音でかき消された私の声はエイジには届かなかった」というようなことを言っているのですが…。


 実は、「レイズナー」では、オープニングの途中にその回のワンシーンをセリフ付きで挿入していました。

 そして、このエピソードではこのシーンが挿入されていて、「だって、私はエイジを愛しているのよ!」と、ちゃんとセリフが流れてるんですね。

 ちなみに、アンナはエイジに対する好意を隠しておらず、エイジも含めて仲間全員に気付かれていますが、「好き」とか「愛してる」とか言っているシーンは、全編通してここだけです。

 正に、幻の告白シーン!




 ちなみに「レイズナー」は、最終話の前話である37話の制作中に打切が決まったため、最終話の冒頭が37話と繋がっていません。

 具体的には、レイズナーの奥の手だった高速戦闘システム「V-MAX」を敵ロボのザカールも使えるようになり、レイズナーより高速の「V-MAXレッドパワー」によって撃墜されボロボロになったレイズナー…という大ピンチで終わった次が最終話になったのです。

 そこでは、なぜか半年くらい経っていて、パワーアップして復活した高機動型レイズナーが活躍します。

 一応、エネルギー消費の激しい「V-MAXレッドパワー」の使用でザカールが動けなくなった隙に脱出したという裏設定がありましたが、この辺は、ネットのなかった当時、アニメ誌で読んだ極一部の人しか知らなかったはず。

 この最終回へのミッシングリンクは、後に作られたOVA版である程度補完されました。

 本来は、レイズナーから高機動型を経てレイズナーMk.Ⅱに乗り換えるはずで、Mk.Ⅱのプラモデルも発売される予定だったのですが…。

 幻のレイズナーMk.Ⅱは、ゲーム「スーパーロボット大戦」シリーズなどで一応日の目を見ました。




 1987年放送の「超人機メタルダー」10話「超絶技!名曲ロボットのバイオリン攻撃」に、対メタルダーに特化したロボット:ラプソディが登場します。

 メタルダーの攻撃力を計算して全てはじき返せるようにした装甲を持ち、メタルダーがロボットでありながら音楽を愛する心を持つことを利用して音楽で戦意を失わせ、さらにはバイオリンを盾として使うという変則的な戦法です。

 バイオリンを出されて慌ててパンチを止めるメタルダーがラブリーでした。

 このエピソードでは、サラサーテ作曲「ツィゴイネルワイゼン」を演奏しつつ戦うラプソディが印象的で、ラプソディが放つ“音符が連なったビーム”も非常に美しかったです。

 “心”という、戦いに不要なものを持っているメタルダーが、「負けてたまるか」という“心”のエネルギーでスペック以上の破壊力を叩き出し、ラプソディの装甲を打ち砕いて勝つという展開になっています。

 で、これの何が幻かというと。

 昔のアニメ・特撮番組では、次回予告のラストに毎回同じセリフが入ることが多かったんです。

 「大空魔ガイキング」の「~にスタンバイ!」とか、「仮面ライダーBlack RX」の「ぶっちぎるぜ!」とかですね。

 「メタルダー」の次回予告は、ラストに「こいつはすごいぜ!」という決め台詞が入ります。

 それが、このエピソードだけは「君は、ロボットにしてロボットにあらず」なんですね。

 本来、戦闘用ロボットには不要なはずの心が、メタルダーにとっては重要な意味を持つ、と。

 しかも、この次回予告、放送時には流れてないんです。

 ほかの時間帯に、番組宣伝の予告が流れたりすることがありますが、そこでしか流れていない。

 幻の次回予告です。




 もう1つ、ちょっと特殊な例を。

 スーパー戦隊シリーズに「超獣戦隊ライブマン」というのがあります。

 昭和最後の戦隊で、1号ロボと2号ロボが初めてスーパー合体した戦隊でもあります。

 1号ロボであるライブロボの必殺技は、超獣剣によるスーパーライブクラッシュなのですが、中盤でライブロボは敗れ、超獣剣も折れてしまいます。

 そして、2号ロボであるライブボクサーが登場し、スーパーライブロボに合体できるようになりました。

 その後は、尺(ロボ戦に使える時間)によって、どれでトドメを刺すかが決まるようになったのです。

 ライブロボは、32話で超獣剣をパワーアップしましたが、怪人が巨大化し…ようとした瞬間、臨時ニュースで番組は中断されてしまいました。ニュースが終わった時には、本編終了。

 そのためロボ戦は放映されておらず、新必殺技ストロングクラッシュダウンを見ることは叶いませんでした。

 テレビ局に問い合わせしましたが、再放送はしないとのことで(関東地方では再放送してくれた)、幻に終わりました。

 結局、その後、もう1回だけライブロボがトドメを刺した回があったのですが。

 なお、鷹羽は、スカパーで「ライブマン」が放送された時にようやくカットされた部分を見ることができましたが、実に15年以上経っていました。


 涙を流さんばかりに喜ぶ鷹羽に、相方は言いました。

 「なんでそんなに執念深いの?」

 愛だよ、愛!

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