77 NEW HERO NEW LEGEND(仮面ライダークウガ)
今年で放映25周年を迎える「仮面ライダークウガ」、鷹羽も当時、燃えて見ていました。
TVシリーズとしては「仮面ライダーBLACK RX」以来11年ぶり、石ノ森章太郎氏逝去後初という、なかなかにメモリアルな作品でした。
以後、いわゆる「平成仮面ライダー」と呼ばれる長期シリーズとなり、大元の「昭和ライダー」を遙かに超える作品数となっています。
なにせストロンガーまでの7人ライダーは、番組数としてはたったの5作品ですし。
「RX」ラストで10人ライダーが登場したため地続きとなった昭和ライダーに対し、「クウガ」では、それまでの世界観を完全にリセットして新たな仮面ライダー像を確立しました。
人を殺すことをゲゲルと呼び、自らの力の誇示に使う古代人類グロンギと、かつてグロンギを封じた古代人類リントの戦士クウガの力を受け継ぐことになった五代雄介の戦いを描く物語です。
封印を解かれたグロンギが、封印の要であった戦士クウガの体から剥がし取った装飾物を腰に当てたことで、雄介はクウガの力を受け継いでしまったのです。
「仮面ライダークウガ」では、雄介が戦士の力の源であった霊石を体内に取り入れたことで、戦士と同じ姿に変身できるようになります。
アマダムは、雄介の神経に融合し、全身の神経網を変質させていきます。
作中、雄介の健康診断を行っている医師は、雄介がやがて人間でなくなる可能性を示して警鐘を鳴らしています。
とはいえ、クウガの力なくしてグロンギに対抗できないため、雄介は戦い続けざるを得ません。
この点、“自分の意思に反して人間でなくなる”という仮面ライダー的要素となっているわけです。
改造手術こそ受けていませんが、徐々に人間とかけ離れた存在になっていくという方向で恐怖をかき立てる設定です。
アマダムを摘出すると雄介の生命に関わる=死んでしまうわけで、本編中でも雄介の体が人間でなくなっていくことを心配する人が描かれていました。
平成以降のライダーには元々人間でない者もいますが、当初は普通の人間だった者が、人間でなくなることと引き換えに変身できるようになる、というのは、「クウガ」だけだったと思います。
「剣」や「鎧武」みたいに、変身してたら最終的に人間じゃなくなった、というパターンはありますけどね。
「クウガ」は、タイトルにこそ「仮面ライダー」と入っていますが、本編中では一切その呼称は使われません。
あくまで「戦士クウガ」です。
これもTVシリーズでは初でした。
この辺は、プロデューサーの高寺氏の趣味が前面に出たかたちです。
高寺氏は、マーチャンダイジングを軽視したり、ヒーローもののお約束的な部分をことさらに無視するという性癖があり、「クウガ」では、その影響が良くも悪くも随所に見られます。
クウガを“仮面ライダーというヒーロー”ではなく“未確認生命体の一体”として「未確認生命体4号」と呼んでいたことは、作品のリアリティを支えていました。
クウガの各フォーム名を本編中では使わず、ドラゴンフォームを「青のクウガ」と呼ぶといった“作中で提示された情報だけで進める”という拘りには是々非々ありましたが、鷹羽的には好感が持てました。
ただ、高寺氏の場合、どうもリアリティのためにそうしているわけではなく、商品展開を邪魔したいという意図を感じるのです。
変身ベルトが最重要商品である仮面ライダーシリーズにあって、変身ベルトが「アークル」という名で商品化されているというのに、敢えてその名を作中で使わず、「アマダム」としか呼ばない。
しかも、アマダムはベルトそのものではなく、ベルトの奥にある霊石なんですよね。
この辺りは、「仮面ライダーBLACK」において、商品名が「テレビパワー変身ベルト」で、ベルト本体に名前がなかったことと似ているかもしれません。
「BLACK」の場合、変身ベルト(本当はベルトじゃなくて細胞)には名前がなくて、赤い風車部(風車でもないけど)の奥に埋め込まれたキングストーンが変身のキーアイテムでした。
ベルトのバックルに見える部分は、キングストーンの力を放出するための器官であって、キングストーンそのものではありません。
クウガのベルトとアマダムもそんな関係です。
クウガの場合、ベルトはアマダムの力を制御するための人工物ですが。
物語としては、未確認生命体の行動目的やクウガの能力の解明などをしつつ、未確認生命体による殺人事件を阻止していく、という展開になります。
物語当初、謎の集団として扱われていたグロンギは、独自の言語を持っており、画面中で会話しているにもかかわらず何を話しているのかわからないという、ドラマとしては珍しい描写になっていました。
この点、番組開始前に、敵の言語には法則性を持たせてあるというアナウンスがあったため、鷹羽は「多分、子音を入れ替える系だろう」と予測していました。
会話が聞き取りにくいこともあって、法則性の解析は大変でした。
当時、ネットの世界では、「今日の番組中のグロンギ語訳」をアップしているところが沢山ありました。
ちなみに、リントの方にも独自の言語があります。
こちらは文字だけですが、表音文字と表意文字両方がありました。
番組中で解析されていたクウガの能力などの絵文字は、表意文字です。
漢字と同様、へんやつくりのような構成になっていて、なんとなく意味がわかるようになっているので、慣れると大体の意味はわかります。
番組冒頭の「部屋を明るくしてテレビから離れて見るように」という注意書きまでリント文字で書いてありましたね。
鷹羽は、凄まじき戦士の説明文を
心清き戦士、その力を振るい続け、鬼となりて邪悪を葬る時、汝の姿は邪悪となり、永遠に闇に消え去らん
と訳しました。
後に、公式で「心清き戦士、力を極めて戦い邪悪を葬る時、汝の身も邪悪に染まりて永劫の闇に消えん」となっていたので、まぁいい線いってたかな、と。
ちなみに、表音文字の方は、カタカナを加工したものです。
毎回本編ラストに出る3文字は、「つづく」と書いてあります。
シリーズ中盤、ゴのゲゲルになると、特定のルールに則って殺害対象を決めるようになります。
2話完結方式なので、前編で殺害シーンとヒントが提示され、後編でルールが解き明かされるという流れでした。
これは推理ものの要素となり、グロンギ語の解析が一段落した解析好きにはたまらない餌となりました。
鷹羽も、毎回ルールを推理するのを楽しみにしていましたね。
特にベミウの“ショパンの「革命」の楽譜に従って、場所と人数を決める”というルールは、気付いた時にゾクゾクしました。
これは、音階(ミの四分音符なら「み」から始まる名前のプールで4人)という、かなり複雑なルールでした。
次に狙われるのは「そ」で始まるプールで16人ということで、祖師谷のプールかな、と予想しました(ちなみに正解でした)。
ちょうど前編の放送があった日は夏のコミケで、鷹羽も参加した「クウガ」の同人誌でサークル参加していた友人に、このルールを伝えました。
多分、放送当日のコミケで、「今日のゲゲルのルールはこれ!」を表示していたサークルなんて、そうはなかっただろうと思います。
「クウガ」は、プロデューサーの意図もあって、戦闘シーンの最中に日常シーンをインサートして水を差すなどの問題もありますが、概ねフォームチェンジによる戦闘スタイルの変化を上手く描写していました。
このプロデューサーの拘りは、設定の矛盾を少なくしてくれましたが、マーチャンダイジング的には-に作用することも多かったです。
顕著なのが、各種フォームの名称が出ないこと。
マイティフォーム、ドラゴンフォームなどと、商品展開の必要上付いているフォーム名は、番組内では一切出てきません。
また、黒の金とダグバの戦いをアバンの2秒で終わらせたり、凄まじき戦士とダグバの最終決戦を盛大にすっ飛ばして終わったりと、ヒーローものにあるまじき展開で顰蹙も買いました。
一方で、設定の徹底も図られています。
緑には50秒、金には30秒という制限時間が課せられていましたが、その時間制限は、ずっと守られました。
ウルトラマンの3分、アイアンキングの1分、ストロンガーチャージアップの1分など、この手の時間制限というのは、守られないのが普通です。
鷹羽は、この手の設定があると、守られるかどうか確認しちゃうんですが、インサートとかそういうのを覗けば100%守られていました。
これは、ちょっと驚愕です。
終盤になると、青でジャンプして空中で赤になってキック、というような応用技も出ました。
フォームチェンジの使い方は、相当上手かったです。
能力別のフォームチェンジというのは、特色を持たせ、作中で活かすのが難しいです。
特に、先達があると、それと変化を付ける必要があるので、なお大変です。
強化以外でのフォームチェンジの嚆矢は、アニメ「夢戦士ウイングマン」のパワーチェイング、マッハチェイングです。
これは、黄色い模様(いつもの青いところが黄色くなるのではなく、黄色い模様が増える)のパワー特化、赤い模様のスピード特化に変化するというアニメオリジナルの設定ですが、デメリットがないためイマイチパッとしないまま捨てられました。
次は、「RX」のロボライダー、バイオライダーですが、動きがノロいという弱点のあるロボライダーはともかく、バイオライダーが万能過ぎてRX本体の必要性がなくなるという問題がありました。
個人的に、フォームチェンジを最も巧く使っていたのは「ウルトラマンティガ」だと思っています。
力が強く防御力も高いが動きが遅いパワー、スピードが速いが非力なスカイ、バランスの取れたマルチ、という同一線上の変化は、わかりやすいのです。
欠点は、同じことを後続番組でやれないこと。
続く「ウルトラマンダイナ」では、超能力のミラクル、力が強く光線技を使えないストロング、基本形のフラッシュと、やや極端に振ることになり、使い勝手が悪かったように思います。
「クウガ」では、「ティガ」のフォームチェンジをライダーに落とし込んで発展させたものと言えます。
ただ、「ティガ」と「クウガ」では、商品展開の都合や、ウルトラマンと仮面ライダーの違いから、大きな差異が生まれました。
「クウガ」の場合、フォームチェンジは、能力の変化による作劇より商品展開のための武器の違いという面が強いのです。
これは、変身アイテムと防衛チームの装備や戦闘機を中心とした商品展開だった当時のウルトラマンシリーズと、変身ベルト、バイク、武器を中心とした商品展開の仮面ライダーシリーズとの違いですね。
当時、ウルトラマンは武器を持っていませんでしたから、フォームチェンジの恩恵は、せいぜいソフビの商品数が増える(「ティガ」の場合は色違いなので型も流用できる)程度でした。
これが、「クウガ」では、まず“光る回る”変身ベルトに5色の電球を仕込んでフォームに応じたボタンで指定することで、“フォームごとに風車部の色が違う&変身音が違う”を表現しました。
本編中でも超変身するごとに変身音が鳴るという演出上の見せ場になりました。
話を商品展開に戻します。
クウガのフォームチェンジは、基本の赤、スピードとジャンプ力と棍の青、超感覚と銃の緑、防御力と剣の紫となっています。
ここに、それぞれのパワーアップモードの赤の金などが加わります。
実際、作中でも、防御力が欲しい時に紫になったり、ジャンプ力が欲しい時に青になったりもします。
ただ、ジャンプ力があるのに攻撃力はない青、という矛盾もあったりします。
これは、武器を持たせることとセットになっているせいです。
また、商品に装着変身という、素体人形に鎧を着けることで姿を変える人形を出すことで、フォームチェンジを商品化とリンクさせました。
フォームチェンジによる恩恵は、ウルトラマンよりライダーの方が大きかったのです。
続く「仮面ライダーアギト」は、「クウガ」の成功を受け、その続編として企画されましたが、プロデューサーが変更されたこともあってか内部的な反発(多分、新旧プロデューサー双方から)あり、“続編っぽいけど無関係”という謎の立ち位置になりました。
“G3が未確認生命体4号をモデルに作られた”なんて設定も、有名無実になりました。
そして、設定の破綻や場当たり的な盛り上げなどが横行しています。
すごい時は、9月最後の放送と10月最初の放送は設定上同じ日(というか次のシーン)なのに、登場人物の服が長袖に替わっていたりします。
これ、現実の「衣替え」を気にした結果だったりするわけですが、録画で見たら意味不明ですよね。
「仮面ライダークウガ」は、それまでアクションで引っ張ってきた“仮面ライダー”という作品を、物語と、謎への興味や細かい設定を活かす方向で作り直した別系統の作品になりました。
一方で、“仮面ライダーらしいバイクアクションを”と、クウガのバイクにはトライアル用のものを擬装し、トライアルの第一人者を招聘してアクションしてもらうという、敢えて実際にすごいアクションをする、という試みもしています。
未確認生命体の脅威から、小学校が保護者付きの集団登下校になったりとか、妙にリアルでしたね。
2話完結方式で、作中の1話が現実の2週間に相当することもあったりして、その分、作中時間が時々一気に3か月経ったりして現実時間に合わせていました。
良くも悪くもそういうクセの強い番組でした。
鷹羽は、今でも結構好きです。




