73 僕は華ちゃんを護るんだ!(勇者王ガオガイガー)
「勇者王ガオガイガー」は、1997年放映のロボットアニメです。
「勇者エクスカイザー」から始まった勇者シリーズ(タカラがスポンサーになっていたシリーズ)の8作目にして最終作となった作品です。
ある日、突如、宇宙から飛来した物体は、打ち上げたロケットを破壊したものの、どこからか飛来したライオン型の巨大メカの迎撃によって墜落し、日本のどこかに潜伏した。
地球側では、外宇宙からの知的生命体による干渉と判断し、物体をEI-01(Extra-Intelligence-01)と命名して対策を開始した。
EI-01との戦闘で作動しなくなったメカライオン=ギャレオンからもたらされた技術とデータを基に、墜とされたロケットのアストロノーツだった獅子王凱をサイボーグにし、ギャレオンが変形した人型ロボ:ガイガーを核とする巨大ロボ=ガオガイガーの建造や、GGGの結成など、来たるべきEI-01の再出現に備えていた。
そして2年後、出現した巨大ロボ(EI-02)を迎撃したガオガイガーがEI-02の核を潰そうとした時、緑色に光る羽の生えた人物が核を人間に戻した。
というところから始まる物語です。
ギャレオンからもたらされた情報は、ところどころ欠落しているため、なかなか真相が解明できない中、散発的に出現するゾンダーロボや、人型の幹部:ゾンダリアンと戦うGGGと、緑に光る、謎の力を持つ少年:天海護が描かれました。
ロボットものとして考えると、主人公はガオガイガーと一体化する凱なのですが、作品として考えると、護が主人公です。
タカラの勇者シリーズでは、「勇者特急マイトガイン」「勇者指令ダグオン」を除いて“機械生命体と、彼に関わることになった少年”の交流を描く作品です。
「ガオガイガー」では、一見そのように見立てておいて、実は護が自らの出生の秘密を知って、1人の人間として成長する物語となっています。
EI-01の正体は、パスダーという、機界31元種の先遣隊であり、4体のゾンダリアンを使ってゾンダーメタルプラントを作るという目的を持っていました。
機界31元種は、外宇宙にある三重連太陽系に住んでいた宇宙人が作り出した“人間のストレスを除去する”ためのプログラムでしたが、暴走し、人間のストレスを強化して滅ぼしてしまう存在となりました。
その時、たまたまゾンダーに対抗する力を先天的に持った子供が生まれ、彼の父カインはそのエネルギーを機械的に再現できる装置:Gストーンを作り出します。
カインは、Gストーンを利用したメカライオン:ギャレオンを作って自分の記憶と意識を移植し、息子を連れて星を脱出、地球に辿り着きます。そして、地球で出会った夫婦に息子を託して31元種との戦いに赴きます。
託された子は「護」と名付けられ、天海夫妻の子として育てられることになりました。
GGGによって、特殊な力を持つことを把握された護は、GGGの特別隊員として迎えられることとなりました。
ゾンダーの出現を察知し、ゾンダー核を人間に戻すことができる──不思議な力に戸惑う護でしたが、自分が察知しないとゾンダーロボが街をめちゃめちゃにしてしまうという現実を目の当たりにして、街を、友達を、家族を守るため、戦いに積極的に参加していくようになるのです。
「ガオガイガー」は、非常にシリアスかつリアルな世界観と、スーパーロボ系の豪快かつ熱血な展開が綺麗に融合した作品です。
元々、タカラの勇者シリーズは、リアル寄りのスーパーロボットものが多いのですが、「ガオガイガー」は、特にその傾向が強いです。
理由の1つが、序盤、“ガオガイガーでしかゾンダーロボを倒せない”と明確にしていたことが挙げられます。
勇者シリーズには、代々、主役ロボ以外にも仲間のロボットが複数いて、それぞれがかなりの戦闘能力を持ち、敵を倒すこともありました。
ですが、「ガオガイガー」序盤に登場するサポートメカの氷竜、炎竜(合体して超竜神)、諜報担当のボルフォッグは、ゾンダーロボを倒せません。
ゾンダーロボからゾンダー核を抜き出せるのがガオガイガーのヘルアンドヘブンだけだったからです。
そうしないと、核になった人間が死んでしまうので。
「ガオガイガー」は、ゾンダーロボが次々と現れて駆除で手一杯な中、少しずつ問題を解決するという手法をとっています。
突如現れたゾンダーロボに、破壊でいっぱいいっぱいだった1、2話では、ゾンダーロボの爆発で周囲に被害がでました。
そこで登場するのがディバイディングドライバーという、周囲の空間を曲げて何もない戦場を作り出すアイテムです。
氷竜・炎竜が合体して完成する巨大ロボ:超竜神は、出力こそガオガイガーを上回るものの、攻撃力はほとんどありません。
ゾンダーロボはバリアを常に張っており、一定以上の破壊力を持たない武器は全く通じないのです。当初、バリアを破れるのはガオガイガーだけ(後にボルフォッグのメルティングサイレンも)で、右前腕を撃ち出すブロークンマグナムでバリアを破ってヘルアンドヘブンで核を抜き取るという戦い方でした。
そして、爆発等のエネルギーを消去できるイレイザーヘッドを扱えるのは超竜神だけ、という具合に、周囲はガオガイガーのサポートに徹するのです。
そして、ガオガイガーや凱に多大なダメージを与えるヘルアンドヘブンを使わなくてすむよう、新必殺武器:ゴルディオンハンマーが開発されます。ゴルディオンハンマーは、あらゆるものを光エネルギーに変換するツールです。しかし、ゴルディオンハンマーもまたエネルギーの余波だけでガオガイガーがダメージを受けるという諸刃の剣でした。
そして、余波をガオガイガー本体に及ぼさないよう、右の前腕を巨大なパーツに換装するためのツールロボット:ゴルディマーグが登場します。
これでガオガイガーの強化はほぼ完了します。その後は、宇宙空間で活動できるようエンジンを強化したものの、他の勇者シリーズのように超巨大合体はしませんでした。
氷竜・炎竜は合体して超竜神に、風龍・雷龍は合体して撃龍神になります。
撃龍神は、「唸れ疾風!轟け雷光!」の掛け声で双頭龍という攻撃技を使い、ゾンダー核を引き抜くことができます。
この合体はそれぞれが左半身・右半身になるのですが、構造的に同じものなので、おもちゃ的には氷竜・雷龍の組み合わせでも合体できます。
そして、本作では、作中でも実際に取替合体をやっているのです。木星が持つ神秘の力による奇跡として。
氷竜・雷龍で幻竜神、風龍・炎竜で強龍神です。
この合体により、「吹けよ氷雪!轟け雷光!サンダーブリザード!」、「唸れ疾風!燃えよ灼熱!バーニングハリケーン!」と、技もバージョンアップし、併せることで「マキシマム頭龍」と更に強力になります。
これは熱かった。
このように本作では、毎回のように新ロボや新アイテムが登場し、次回予告で「これが勝利の鍵だ!」とチラ見せするのです。
故・小林清志さんのナレーションが熱かった。
さて、天海護です。
彼は、赤ん坊の頃にギャレオンから天海夫妻に託され、彼らの子として育てられました。
ごく普通の小学生でしたが、ゾンダー核を人間に戻す“浄解”、凱のGストーンを活性化させて機械部品への免疫反応を消し去る“アジャスト”などの特殊能力の数々でGGGの特別隊員となりました。両親にも内緒です。
護は、一度、ゾンダーの反応を感知しながらも遠足にかまけて報告しなかったことがありましたが、その際、自分が通報していれば破壊されなかったかもしれない街を目の当たりにしたことで、自分の能力がどれほど重要であるかを思い知り、以後、常にゾンダーへの対応を優先するようになります。
その後、31元種には護の浄解が通じなかったことからもう自分は必要ないのではないかと落ち込んだりもしましたが、これまで培ってきたGGGとの信頼に後押しされて立ち直ります。
そして、自分が三重連太陽系で生まれた宇宙人であることを知り、カインの残したペンダントによって元種にも対応できるようになり、再び前線で活躍するようになります。
最強7元種との戦いで、幼なじみの初野華に、緑に光っている姿を見られた護は、以後、華に距離を置かれてしまいます。自分が普通の人間ではないことを知られ、天海夫妻の子でないことを知り、華に距離を取られたことに戸惑う護でしたが、育ての父から「人はそれぞれ自分にとって大切なものがある。それを護れる人間になってほしい、そう願って父さんはお前に“護”という名前を付けたんだよ」と言われます。
そして、ゾンダーロボに囚われた華を見て、「宇宙人なんて嫌いって言われても構わない。僕は、僕は華ちゃんを守るんだ!」と飛び立つのです。
華を救い出し、「見てのとおり、僕は宇宙人なんだ」と告白する護。
それに対する華の言葉は
「宇宙人さん、本物の護君はどこに行っちゃったの?」
でした。華は、護が元々宇宙人だったと聞いて「よかった」と言います。華にとっては、目の前にいるのが自分の幼なじみの護本人でさえあればよかったのです。
最終回、ギャレオンと一緒に三重連太陽系に旅立ったり、続編のOVAでなんやかんやあったことには思うところがありますが、テレビ番組としては、とても良質だったなぁと思います。




