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70 ドラマは敵方中心に(電撃戦隊チェンジマン)

 1985年放映の「電撃戦隊チェンジマン」は、鷹羽が大好きな作品です。

 当時で言うスーパー戦隊シリーズ7作品目、今は9作品目で、諸々のノウハウが揃ってきていた時期でもあります。

 チェンジマンは、アースフォースを浴びて力を手に入れた戦士であり、職業軍人でもあります。

 アースフォースは、地球が危機に陥った時、地球自身が自らを守るために発する力で、チェンジマンは、チェンジブレスによってその力を引き出して戦います。

 チェンジブレス自体は、電撃戦隊長官である伊吹が開発したもので、アースフォースのエネルギーを利用したチェンジスーツを現出します。

 前作「超電子バイオマン」で、“レギュラーの怪人が登場する”というのを狙って失敗(レギュラー化した割にキャラがイマイチ立たなかったこと、巨大ロボ怪人はレギュラーじゃなかったこと)を踏まえ、“毎回別の怪人が登場し、倒されると巨大化する”という「電子戦隊デンジマン」「太陽戦隊サンバルカン」のフォーマットに戻しました。

 新機軸として採用されたのが、“敵は宇宙人の混成部隊である”ということ。

 これまでは敵組織で作られていた怪人を、敵組織(大星団ゴズマ)が配下にしている“元々いた宇宙人兵士”にしたことで、組織的な統一感を外すことが出来、怪人のデザインやモチーフが自由になりました。

 同時に、“怪人の過去(バックボーン)を物語にできる”というオマケがついたのです。

 毎回ではありませんでしたが、怪人(宇宙獣士)の出自それ自体を作劇に取り入れられるようになったのです。

 組織が作る怪人ではできないタイプの作劇でした。


 例えば、かつてゴズマに敗れた星の戦士が宇宙獣士に改造されてしまったアトランタ星人のタロー。

 アトランタ星には、地球と同じように“星が危機に陥った時、星自体が生み出す奇跡の力”アトランタフォースがありました。

 それでも敗れ、その星の住人は、他星侵略の尖兵にされてしまったのです。

 そう、大星団ゴズマは、“侵略された者が新たな侵略者になる”という集団なのです。

 宇宙各地で、同時進行で侵略が行われており、地球はその1つでしかありません。たまたま目に付いた星の1つでしかないのです。


 地球に来ている遠征軍のメンバーは、

  ギルーク司令──ギラス星の元総指揮官

  副官ブーバ───出自不明の元宇宙海賊

  副官シーマ───アマンガ星の王女

  航海士ゲーター─ナビ星人で、強制出稼ぎ

  ギョダーイ───ギョダーイ星の原生生物。巨大化要員

となっています。

 このうち、ブーバとギョダーイ以外は、母星を人質に取られての従軍です。

 ギョダーイは、牛並の知能で、巨大化光線を放つ能力のために乱獲され、絶滅寸前の種族です。

 こういった関係で、物語には、時々“かつてゴズマに滅ぼされた星の関係者”が登場するのです。

 物語序盤で追加登場したアハメスは、アマゾ星の女王で、かつてギルークと同盟を組んでゴズマに対抗するも敗れ、行方不明になっていました。

 宇宙を彷徨いながらゴズマに対抗するための戦力を集めてきたものの、どうやっても勝てる見通しが立たず、やむなくゴズマの軍門に降ることにしたのです。

 アハメスは、集めていた配下をチェンジマンにぶつけては失ったため、ギルークを排除して遠征軍指令の後釜に座ろうと考えます。

 リゲル星人のナナ(以前の作戦で地球に連れてこられたまま放置されていた)が放つリゲルオーラを、争奪戦の末奪いパワーアップしたアハメスは、チェンジマンとの直接対決に敗れたギルークに代わって遠征軍の司令官となります。

 幽霊となったゴーストギルークがナナから搾り取ったリゲルオーラでスーパーギルークとなって復活するなど、敵方のドラマが目立った作品でもありました。

 リゲルオーラというのは、リゲル星人が成長期(ローティーンからハイティーンに一気に成長する際)に発するエネルギーで、これを浴びた者は強い超能力を得ることができるというものです。


 ナナは、元々は、ゴズマによってギョダーイ強化のために地球に連れてこられ、栄養剤を作らされていましたが、作戦の失敗と共に行方不明となっていました。

 その後、親切な一家に拾われて娘として育てられていましたが、この急成長のために家に帰れなくなり、再び姿をくらまします。

 次に登場した時は、都内の女子高校に通っていました。

 生活費は新聞配達などで賄っていたようです。多分、奨学金も。

 戸籍とかどうしたんだとか言っちゃダメです。この辺は、時代ですね。

 ナナはギルークによって無理矢理二度目のリゲルオーラを搾り取られた後、また姿を隠しましたが、偶然、ゲーターの妻のゾーリーと出会います。

 ゾーリーは、父に会おうと家を飛び出した息子ワラジーを追って地球に来ていたのです。

 ゾーリーは産気づいており、ナナが「あなた、ゲーターと同じナビ星人ね」と言ったため、ゲーターへの「赤ちゃんが生まれる」という伝言を頼まれるのです。

 折しもゲーターは、作戦行動のため地球に降りていました。

 ゲーターは、ナナから、子供が生まれること、ゾーリーのいる場所が作戦で破壊される予定の地区であることを知り、悩んだ末に「ワイは赤ちゃんを抱きたいんや!」とゴズマを裏切り、作戦を潰しました。

 以後、ナナとゲーター親子はチェンジマンに保護されます。

 ゲーターは、初めての“ゴズマを裏切ったのに始末されなかった存在”になりました。


 一方、シーマは、作戦のために宇宙獣士にされる(結局分離できましたが)などの憂き目に遭い、危機感を抱いていました。

 そして、ゲーターの裏切りに揺れたシーマは、アマンガ星人と対消滅する性質を持つ宇宙獣士を使った作戦に投入されることになりました。この宇宙獣士は、アマンガ星侵略の際に大量投入された仇敵でもありました。

 自分を殺すことを前提とした作戦でチェンジマンを倒そうとする作戦にショックを受けるシーマ。

 結局、シーマはブーバが体を張って庇ったことで助かり、以後、ゴズマを離れチェンジマン側に付きました。


 ブーバは、ゴズマの首領:星王バズーへの恐怖からゴズマに従っていましたが、宇宙獣士にされかけ、かつての仲間と再会したことで、“何者にも縛られない海賊魂”を思い出していました。

 憎からず思っていたシーマの危機に際し、シーマを殺し(たように見せ)て作戦を失敗させ、チェンジドラゴンとの一騎討ちの末、敗れました。

 勝てば、その功績をもってシーマを助命し、負ければ死をもってけじめを付けつつシーマをチェンジマンに引き渡せる…そういうつもりだったのでしょう。




 番組終盤は、幹部達が次々と宇宙獣士にされていきます。

 ブーバは宇宙獣士にされかけるも逃れ、シーマは一旦宇宙獣士にされたもののチェンジマンのお陰で分離できました。

 そして、アハメスもまた宇宙獣士にされましたが、執念から自力で分離しました。しかし、アマゾ星再興の夢を絶たれたことで絶望し、チェンジマンの基地を破壊しながら炎の中に消えました。

 ギルークも、自ら宇宙獣士になるも倒れ、遠征軍は消滅しました。




 「チェンジマン」は、スーパー戦隊シリーズで初めて大河ドラマ的要素が成功した作品です。

 もう少し具体的に言うと、“1年を通して、散りばめられた設定が後で活かされた”ということです。

 特撮ヒーローものには、“その時限りのゲストキャラ”というのが数多くいます。

 死んで退場なら当然ですが、生き残っても、二度と登場しないことがほとんどです。

 下手すると、存在したこと自体、本編中で二度と語られません。

 「チェンジマン」では、ゲストキャラを使い捨てにせず、何人も再登場させているのです。

 その筆頭が、前述のナナです。

 ナナは、天才的な頭脳を持つリゲル星人の少女(7~8歳)で、地球に攫われてきて、地球人を父と誤認させられてギョダーイの強化方法を研究させられていました。

 この時、ギョダーイの知能が牛並であることが言及されたり、ゲーターと面識を持ったりしています。

 また、この頃、車に轢かれそうになったところをチェンジドラゴン=(つるぎ)飛竜(ひりゅう)に助けられ、恋心を抱いています。

 ナナは、騙されていたことに気付いて逃亡し、行方不明になりました。

 終盤、前述の経緯でチェンジマンに保護されましたが、あくまで非戦闘員です。ところが、剣の役に立ちたいという恋心から、銃を手に戦闘に参加するようになりました。

 同じような境遇のギョダーイには同情もしているようで、最終回では、爆発する遠征軍の宇宙船(ゴズマード)で「ギョダーイも助けてあげて!」と言っています。

 ラスト、宇宙に旅立つメンバーに入っていますが、剣との別れの場面も用意されていたそうです。もっとも、尺が足りずカットされたそうですが。


 ゲストキャラからレギュラー、それも割とヒロイン枠っぽいところまでいったキャラって、当時は珍しかったです。




 世界観の広さもちょっと特筆ものです。

 チェンジマンの冠である「電撃戦隊」は、作品世界における防衛軍=地球守備隊日本支部に組織された特殊部隊で、100人規模の組織だったりします。

 チェンジマンは、電撃戦隊の中核をなす実戦部隊であり、他にも整備班や、戦士団と呼ばれる戦闘員が何人もいます。

 戦士団は、チェンジマンの5人より先に地獄の訓練に耐え抜いたものの、アースフォースを浴びることができなかった兵士達です。

 実は、チェンジマン選抜のための訓練は過去に数回行われており、その参加者は、全員変身アイテム(チェンジブレス)を装備した状態でした。

 1話での地獄の訓練シーンを見ると、十数人の参加者全員がチェンジブレスをしています。

 つまりたまたま5人生き残った状態でアースフォースが放出されただけで、6人生き残っていればチェンジマンは6人になっていたかもしれないのです。

 元々この訓練は、アースフォースを浴びる資格者を探すためのもので、アースフォースが放出されたら受け止める準備はなされていたのでした。




 もう1つ、意外なところにドラマが転がっています。

 ギョダーイです。

 ギョダーイは、作品的には、シリーズ初の“巨大化のためにいるキャラ”でした。

 ギョダーイの目から出る光線を浴びたものが巨大化する、という能力です。

 ギョダーイは、宇宙獣士が敗れると地球に送られ、巨大化光線を放ちます。

 この光線は、ギョダーイの体力を大きく消耗させるため、ゴズマはナナを使って強化しようとしたわけです。

 そして、ギョダーイが仲間を求めて地球を彷徨うというエピソードがありました。

 この時、チェンジマンは初めてギョダーイを間近で見て、“ギョダーイもゴズマの犠牲者だ”と認識しました。

 そのため、チェンジマンは、“ギョダーイを殺して巨大化を阻止しよう”とは考えないのです。

 チェンジマンもナナもギョダーイを可哀想な存在と認識しているからこそ、最終回、ゴズマードの爆発から助けたりしたわけです。

 ギルークが変じた宇宙獣士ギラスが倒された時、もう巨大化を指示する者がいなかったにも関わらず、ギョダーイは巨大化光線を浴びせました。

 どちらかというとチェンジマン寄りの立場のギョダーイにしては、おかしな行動です。

 そこで、鷹羽は考えました。

 “ギョダーイは、1年にわたって必殺武器(パワーバズーカ)発射の後で巨大化光線を放っていたため、条件反射になっているのではないか”と。

 そして、最終回。

 ゴズマスター内部に閉じ込められたチェンジマンは、「ギョダーイに合図して巨大化光線を撃ってもらおう!」と、パワーバズーカを天井に向けて放ったのです。

 外でチェンジマンを心配していた仲間達の脇で、突然ギョダーイは穴に向かい巨大化光線を放ちました。

 光線は、中で壊れていた小型宇宙艇(メモリードール)を巨大化させ、チェンジマンは脱出口を得たのです。

 視聴した印象から仮説を立て、それが当たった時の喜びは、筆舌に尽くせません。

 こういう喜びを求めて、鷹羽は物語を追っています。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 大河的となると、毎週見逃せないですね。 ちょっと大きくなった子ども向けだったのかな?
[一言] 今更ですが、もう一度最初からじっくり見たいものです
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