67 あんなパンチでのびるとか、甘い甘い(ゴワッパー5 ゴーダム)
1976年放映の「ゴワッパー5 ゴーダム」というロボットアニメがあります。
タツノコプロ初のロボットアニメです。
ストーリーは、こんな感じ。
とある海辺の団地に住むわんぱく5人組「ゴワッパー5」は、今回の冒険として、沖合にある渦に囲まれた奇顔島への上陸に挑んだ。
なんとか上陸した5人は、島が巨大ロボ:ゴーダムの基地であることを知る。
かつて、地底魔人の侵略に警鐘を鳴らすも信用されなかった大洗博士は、独力で奇顔島を基地に作り替え、巨大ロボ:ゴーダムを建造した。
そして、死後、自らの記憶と知識をゴーダムのメインコンピュータにコピーし、島の周囲に人工渦を作って、渦を越えて島に乗り込んでくる勇気と行動力のある者を待っていた。
ゴワッパー5は、ゴーダムを託され、地底魔人との戦いに挑む。
「ゴーダム」は、ロボットアニメですが、「マジンガーZ」のようなロボット同士の戦いがメインのストーリーではなく、同じタツノコの「科学忍者隊ガッチャマン」のような、等身大キャラの活躍の延長としてのロボット戦だったように思います。
「マジンガーZ」との違いは、“敵が攻めてくるか、こちらが出ていくか”というところでしょうか。
能動的に事件を追う分、自然、キャラが活躍することになるのでしょう。
ゴワッパー5のメンバーは、
岬 洋子 中3 リーダーにして紅一点
津波 豪 小6 熱血漢
亀山大吉 小4 気は優しくて力持ち
小石川五右エ門 小2 ヒョロヒョロの頭脳派
河口のり助 園児 子供
と、「ガッチャマン」で打ち立てた黄金律の5人組を敢えて崩しています。
特に洋子は、ロボットアニメで初めての女性リーダーです。
肉弾戦能力も豪と一二を争うほどで、リーダーシップや大局観は豪以上。
「ゴーダム」は、事実上、洋子と豪のダブル主人公制(やや豪メイン)ですが、男と並び立つ女性主人公というのは、ロボットアニメでは非常に珍しいです。
「ガッチャマン」のゴッドフェニックスがG1号~G5号という個人メカの合体である(5機合体した状態でないと武器が使えない)のに対して、ゴーダムは単体でメカとして完成しており、小型メカ5機はあくまで収納しているだけ。
加えて、五右エ門が実質ゴーダムの留守番役となっているため、ほかの4人の小型メカとゴーダムが連携して戦うだとか、五右エ門がゴーダムで巨大メカを抑えている間にほかの4人が別作戦を遂行するだとかの幅ができています。
この点で、ゴッドフェニックスの留守番である竜があまり活躍できないのと対照的に、五右エ門にはそれなりの見せ場があるのです。
更に、ゴーダムは、無変形、無合体、コクピットブロックの分離もなし、という非常に珍しい巨大ロボでした。
珍しいというか、人が乗って操縦する主役ロボとしては初だったはず。
おもちゃを売るためのロボットアニメで、ウリとなるギミックがないというのは、すごいことです。
ちなみに、この条件に当てはまるロボットアニメは非常に少なく、ゴーダムの後は「太陽の牙ダグラム」登場まで唯一でした。
とにかく商品化の核となるギミックを持たないわけなので、どうしたって数が少なくなるのです。
パッと思いつくところでは、
「装甲騎兵ボトムズ」(スコープドッグの降着ポーズは変形とは言わない)
「蒼き流星SPTレイズナー」
「機動警察パトレイバー」
くらいでしょうか。
エヴァンゲリオンだって、エントリープラグが抜けますからね。
ゴッドマジンガーは操縦とは言い切れませんし。
ああ、あと、ガンダムMk-Ⅱは、主役ロボじゃないので、念のため。
「ゴーダム」の商品展開としては、エイプレーンなどの小型メカ、それに載せられる洋子達の可動人形、磁石で手足をくっつけているゴーダムといったものでした。
実は、「ゴーダム」は番組としてはシリーズが違いますが、おもちゃとしては「鋼鉄ジーグ」(当時まだ放映中)に続く「マグネモ」シリーズの第2弾なのです。
「ジーグ」の後番組の「マグネロボ ガ・キーン」は、「ゴーダム」の半年後に始まり、「マグネモ」シリーズとしては第3弾、「マグネロボ」シリーズとしては第2弾という、複雑な立ち位置になっています。
とはいえ、やはりギミックのないロボットが売れるわけもなく、中盤から、ゴーダムはテコ入れで合体機構を持つことになります。
ちょうど「マグネモ」シリーズとして、手足が磁石ジョイントになっていますから、手足のジョイントに外付けパーツを付けるという方式でした。
豪快だったのが、外付けパーツを“ゴーダムの体内で製造する”という設定でした。
ゴーダムは、手足を残して「ブラストオフ」し、ボディ内の工場でその時々に合った合体用パーツをいくつかに分割して造って射出し、分割パーツが合体した外付けパーツと合体することでゴーダムドラゴンなどの強化形態になります。
ブラストオフの際は、脇腹から股関節までを残して分離するので、厳密には商品と分割が違うのですが、商品と同じだと両腕が落っこちてしまいますから、ここはやむを得ないかと思うところですね。
さて。
「ゴーダム」の特徴は、“普通のわんぱく坊主が世界を守るために戦う”点です。
ゴーダムは、基本、誰でも動かせます。
「勇者ライディーン」や「UFOロボ グレンダイザー」のように血筋で縛られていませんし、「マジンガーZ」のような“おじいちゃんのロボット”でもありません。
「グレートマジンガー」のように“そのために育成された”わけでも、「超電磁ロボ コン・バトラーV」のように“素質を見いだされて集められた”わけでもありません。
形としては、“この渦を乗り越えてきた者に託す”というテストに合格したというところでしょうか。
ゴワッパー5は、同じ団地に住んでいる子供達による、遊びの一環として冒険を追い求めているグループであり、元々「ゴワッパー5」を自称していました。
「5人の小童」です。
地底魔人の侵略から世界を守る戦いというのは冒険としていささか大仰ではありますが、子供の冒険心をくすぐるという点では、最高のネタでもあります。
メンバーに五右エ門のようなガリ勉ちっくなヒョロヒョロもいますが、彼もまた一緒に冒険を重ねてきたくらいには活発なのです。
彼らは組織に属していません。宿命にも縛られていません。
戦いが嫌なら、ゴワッパー5を抜ければいいだけ。何も失いません。
それでも、彼らは自ら選んだ冒険を続けます。
戦いの中、豪は友人知人を何人も殺されますが、それらは戦う意思を強化する方向に作用しました。
苦しい戦いも、自ら追い求めた冒険の一部。
だからこそ、最終回、戦いを終えた=冒険が終わった後、洋子は宣言します。
「新しい冒険に行くよ!」と。
彼らは、世界を守る者ではなく、ハラハラする冒険を楽しむ者達でした。
さて、前述のとおり、「ゴーダム」という番組は、洋子と豪のダブル主人公制です。
前期エンディングで、最初に洋子、最後に豪が映るのがその証拠でもあります。
ゴワッパー5というチームのリーダー、中心にいるのは洋子ですが、戦闘に関する限り豪が中心になる。
この傾向は、物語後半、メインコンピュータが破損して大洗博士が消えた後、顕著になります。
具体的には、戦闘時は豪が洋子に指示を出すようになるのです。
ゴーダムの基地は沖合にあるので、ゴワッパー5は海岸にある難破船の中に隠しておいた小型メカに乗って基地へと向かいます。
先ほどゴッドフェニックスを例に出しましたが、当初ゴーダムはメインコンピュータだけでも動かせたので、5人が全員出払っていても問題ありません。
この辺は、「科学忍者隊ガッチャマンⅡ」のニューゴッドフェニックスの方が近いかもしれませんね。
小型メカは
エイプレーン 洋子
ゲソマシーン 豪
タートルタンク 大吉
ヘリマリン 五右エ門
ヤドカリジープ のり助
で、ヘリマリン以外は海の生物から名前が付いています。
難破船から基地まで海中を移動する都合上、飛行機であるエイプレーンも含めて全機水中機動が可能です。
逆にヘリマリンは、名前に「ヘリ」と付いているものの、ヘリコプターではなく魚型の潜水艦で、海中専用機です。
そのため、移動にしか使われず、戦闘に参加したことはありません。
それでも五右エ門が足手まといかといえばそんなことはなく、最低限の戦闘能力はありますし、参謀・メカマンとして活躍もしています。
むしろ、後半の合体メカについては、五右エ門が機器の操作をしており、ゴーダムに残っての戦闘こそが五右エ門の仕事で、そのために小型メカでの戦闘には参加していないとも言えるでしょう。
さて、17話「怒れ!タートルタンク」は、こんなお話です。
何者かにタンカーが襲われる事件が起き、大洗博士がゴワッパー5に非常呼出をかけたが、大吉は親が一緒にいたため動けず遅刻した。
また、タートルタンクでの単独パトロール中、うっかり監視を緩めたため、タンカーを守れなかった。
このことから、洋子は大吉を担当から外そうとするが、大洗博士は引き続き大吉にパトロールを任せる。
タンカーを襲っていたのは、地底魔人の操るメカ恐竜で、タンカーが積んでいる原油を使って漁場汚染を企んでいた。
メカ恐竜発見との大吉の連絡を受け出撃しようとするゴワッパー5。だが、豪は大吉に手柄を立てさせるため、洋子の腹を殴って気絶させ、「悪いな、しばらくここで寝ててくれよ」と男達だけで出撃した。
難破船の中から「男の友情ね、あたいにだってわかるわよ」と出撃するゴーダムを見送る洋子。実は、洋子は、豪の気持ちを汲んで気絶したフリをしていたのだった。
メカ恐竜内部に捕らえられていた大吉をゲソマシーンで救出した豪。
逃げ遅れたタートルタンクを狙うメカ恐竜の尾を、駆けつけたエイプレーンが破壊する。
難を逃れた大吉は、メカ恐竜の体内に突入する。
メカ恐竜を破壊すれば体内の原油に引火するため、ゴーダムは反撃できない。
その時、タートルタンクがメカ恐竜に穴を開け、原油を排出させた。
原油を失ったメカ恐竜は、ゴーダムに破壊された。
こんな感じです。
リアルタイムで見た鷹羽は、気絶したフリをして豪達を行かせてやった洋子の漢気にシビれました。
その後、颯爽と助けに来たエイプレーンの勇姿にも。
きっと、ピンチになったら助けに入るつもりで離れて後をついてきていたのでしょう。ピンチにならなければ、こっそり戻って気絶したフリの続きかな?
元々紅一点リーダーである洋子は好きでしたが、これで決定的に好きになりました。
腹ばいで操縦するエイプレーンに憧れて、ソファに寝そべってエイプレーンごっこしたりもしましたね。
正直、この回で大吉のことは全く印象になく、“ほか3人のうちの誰か”くらいしか覚えていませんでした。
大きくなって見てみると、結構ツッコミどころのあるお話ではあります。
これを言っちゃうと身も蓋もないのですが、大吉の意地による行動って、何の役にも立ってないんですよね。
結果だけ見れば、タートルタンクがメカ恐竜の原油を流出させたことでゴーダムに勝機が訪れました。
でも、そもそもタートルタンクがメカ恐竜の中に突入していなければ、ゴーダムは距離を取って攻撃できてたわけで。
豪にしても、ノープランで洋子抜きの出撃をしていますが、それで負けたら元も子もないんですよね。
実際、洋子が駆けつけなかったら、タートルタンクはやられてたわけで。
確かに大吉は頑張ったけど、頑張らなくても、というか頑張らない方が楽に勝てた気がします。
ただ、まぁ、そういう無粋なことを言わなければ、このエピソードは、豪の友情と洋子のリーダーとしての優しさが前面に出た佳作です。
タンカーを守れなかった大吉を詰り、自分が行くという洋子に、大洗博士は“一度任せた以上、最後まで大吉に任せる”と、理想の上司みたいなことを言って諭します。
洋子と大洗博士、どちらが正しいとも言えないところです。コクピットに入り込んだカニを捕まえるのに夢中でメカ恐竜の接近を見逃した大吉に任せるのは、甚だ不安ですが。
まぁ、洋子がパトロールに行ったところで、エイプレーン単独でメカ恐竜に勝てるとも思えないので、誰が行っても同じと言えば同じでしょう。
それでも、大吉に手柄を立てさせようと、洋子抜きで戦いに挑む豪の漢気もそれなりに評価できます。
一応、サブタイトルからもわかるとおり、この回は大吉主役の回なんですけど、鷹羽の印象では洋子が主役でした。
今でもそう思います。
洋子の人間としての懐の深さが出ていたと思うのです。
洋子自身は、大吉に任せることに終始反対していました。
これは、遅刻した大吉に対する苛立ちまぎれという面もあったでしょうから、冷静な判断とはいえません。
それなのに大洗博士が大吉に任せたことに対しての不満もあって、必要以上にキツく当たっていたふしもあります。
でも、一方で、大吉に手柄を立てさせようとする豪達の友情や意地について理解を示してもいるんですよね。
敢えて自分抜きで出撃させてやったり、それで取り返しの付かないことにならないようフォローに回ったり。
そういった面でリーダーとしての矜持は持ちつつ、ちゃんと仲間の気持ちも大切にしてあげているという、洋子の芯の強さが出ていました。
これが、最終回の「新しい冒険に行くよ!」に繋がるのです。




