64 俺の名を言ってみろ!(広瀬匠)
広瀬匠という役者さんがいます。
特撮ヒーローものに多く出演していますが、そのほとんどが、というかほぼ全てが悪役です。
最初に出ているのが、というか、鷹羽が認識したのが、「電撃戦隊チェンジマン」45話「虹色の少女アイラ」です。
地球守備隊の隊員として基地の警備に当たっているという役どころでした。
宇宙人アイラがバリケードを跳び越えていくのを見て驚くだけの出番です。
当時の戦隊ものは、後半になると、翌年の出演者(のうち1人くらい)が顔出しするのが伝統でした。
多分、試しに出演させて空気を感じてもらうというような意味合いだったのだと思います。
「チェンジマン」のこのエピソードでは、アイラ役を勤めた中村容子さんが翌年の「超新星フラッシュマン」のイエローフラッシュ・サラを演じています。
広瀬さんも「フラッシュマン」で、敵幹部の1人:レー・ワンダを演じていました。
ワンダは、顔は出ているものの白塗りで、後は全身着ぐるみでした。
中盤でパワーアップして妖獣士ワンダーラに強化変身できるようになりましたが、その際に顔を高速で左右に振っていたのが印象的でしたね。よく気持ち悪くならないなぁ。
「フラッシュマン」では、怪人がやられると、巨大化させるためにクラーゲンというキャラを呼び出すのですが、ワンダの「クラーゲ~~~ン!」という絶叫が好きでした。
1年空けて、「超獣戦隊ライブマン」では、敵幹部の1人:Dr.ケンプ(如月剣史)を演じました。
今回は、化粧こそしているものの普通に顔出しでしたが、やはり美獣変身して美獣ケンプになります。
美獣ケンプは、やっぱり顔だけ出ている着ぐるみキャラでした。
ケンプは、美獣ではライブマンに太刀打ちできなくなったことから、強化して恐獣ケンプに変身するようになります。
恐獣ケンプも顔出し着ぐるみキャラですが、化粧がちょっとすごいことになっています。
恐獣ケンプの時は、声は低めにして、凄みを出していました。
ケンプは自意識の強いキャラで、
「こういう知性を感じさせないセリフは好きではないが……くたばれ!」
とか、
「こういう知性を感じさせないセリフは言いたくないが……馬鹿は死ななきゃ治らねえようだなあ!」
とか、すっごい楽しそうでした。
さすがに顔出しが多かったので、戦隊ものはしばらくお休みして、メタルヒーローものの「特警ウインスペクター」や「特救指令ソルブレイン」に、インテリヤクザっぽい役で出ています。
普通に顔出して背広着てました。
で、1991年の「鳥人戦隊ジェットマン」(後述)を経て、1993年の「五星戦隊ダイレンジャー」で、リュウレンジャー・亮のライバル的場陣として出演しました。
コイントスして、コインが落ちてくる前に相手を殺し、コインを掴むという殺し屋で、敵の手で呪いを掛けられ(?)、魔拳士ジンに変身するようになりました。
更に、餓狼鬼の卵を植え付けられて怪物になりかけていることを悟り、亮に「(俺が怪物になったら))お前の手でトドメを刺してくれ。弱点はここだ」と頼んだりもしました。
なんとか餓狼鬼を分離した後、亮と生身で「拳士として」決着をつけて。
トドメの一撃を寸止めした亮に「甘いな。覚えておけ。拳士は、時に非情であることも必要だ」「俺は俺でいたい。これ以上お前といると俺は俺でなくなってしまう」「亮、すっかり世話になっちまったな。ありがとう」と言い残し、去って行きました。
そして、これが今生の別れとなりました。
陣は、その足で、自分に餓狼鬼の卵を植え付けた敵幹部に落とし前を付けに行きます。
大量の戦闘員を前に、コインをトスして躍りかかり、──鳴り響く銃撃音のあと、拾う者なく落ちているコインの画像で幕が下りました。
その後、指導者・嘉挧の裏切りに落ち込む亮の前に(幻影となって)姿を現し、「嘉挧がいたからお前がいたのではない。嘉挧がいて、お前もいた。そういうことだ」と励ましました。
戦隊シリーズへの出演は、これで終わりだったと記憶しています。
その後、「超光戦士シャンゼリオン」の敵幹部 :闇将軍ザンダーの人間態:片桐一樹として出演したのを最後に、特撮ものには出ていないと思います。
ザンダーへの変身も、「ダーク・バースト!」のかけ声で顔がひしゃげ(高圧の空気で歪め)ていたりと、体を張っています。
そして、特撮は終わりですが、声優として、タカラの勇者シリーズ「勇者指令ダグオン」に、剣星人ライアン役で出演しています。
「ダグオン」は、宇宙警察の一員として、宇宙の犯罪者と戦う地球人のお話ですが、ライアンは故郷である剣星を滅ぼした宇宙人を探しているうちに地球に辿り着き、やがてダグオンの仲間として共に戦うようになるキャラです。
ちょっと気難しいところのある奴で、主人公:炎から(断られるだろうと思いつつ)「俺たちと一緒に戦わないか?」と言われて「俺はかまわんが」と返したので驚かれてましたっけ。
剣に変形(生物だから変身?)することができ、炎が融合合体したファイヤーダグオンやパワーダグオンの武器として戦いました。なんかスケールが合っていませんが、ある程度伸縮できるらしいです。
鷹羽は、パワーダグオンが使うパワーライオソードが好きで、自作「ごつい魔法士とひょろい剣士」でレイルが使う“鉄をも切り裂く魔法剣”は、これが元ネタです。
余談ですが、炎達をダグオンにスカウトしたブレイブ星人の声を演じたのは、「ライブマン」で敵首領:大教授ビアスを演じていた中田穰治さんで、「ダグオン」のドラマCDの中で、中田さんと広瀬さんによる「ライブマン」ネタのコントがあったそうです。
広瀬さんは、目と歯の綺麗な方で、自らアクションもこなします。
ワンダに抜擢されたのには、そういう事情もあるのかもしれません。
また、中田さんは「フラッシュマン」でも幹部の1人サー・カウラーを演じており、広瀬さんとは親交があったそうです。
「ダグオン」で共演したのが偶然だったのか狙ってのことだったのかはわかりません。
CDはともかく、本編では共演はなかったので、偶然だとは思いますが。声優の仕事に誘われたくらいはあったかもしれませんね。
さて、先ほど飛ばした「ジェットマン」ですが。
広瀬さんは、「ジェットマン」では敵幹部:トランザを演じました。
元々いた4幹部の1人:トランが、敵味方双方から子供扱いされたことに怒り、怒りのエネルギーで急成長を遂げた、という設定でした。
トランザはキザな男で、レッド:竜より剣の腕が上で、ブラック:凱より女にもて、イエロー:雷太より大食いという“なんか競うところ間違ってない?”というキャラです。
トラン同様、右前腕にはまっているメタルトランサーという機械を操作して様々な超能力を発揮します。
ジェットマンの敵組織は、首領が行方不明の状態で、4幹部が“ジェットマンを倒した者が首領になる” というゲームをしていました。
ところがトランザは、圧倒的な戦闘能力で3幹部を圧倒し、自ら「帝王」を名乗って首領の座に就きます。
異を唱え反逆した(抵抗しただけともいう)ラディゲを叩きのめして追放し、ジェットマンのうち4人を捕らえ、残ったレッドも追い詰めました。
ところがそこに、謎の男(実はラディゲ)が加勢したため、形勢が逆転します。
ラディゲの方も、1人では勝ち目がないので、正体を隠してレッドに共闘を持ちかけたのです。
ラディゲの出現に焦ったトランザは一撃食らってしまい、メタルトランサーが誤作動して捕らえた4人を解放してしまいます。
ジェットマンの必殺武器:ファイヤーバズーカで吹き飛ばされ、大ダメージを負ったトランザ(ジェットマンは倒したか確認しないで帰っちゃったのだ)をラディゲが追い詰めます。
ラディゲは、メタルトランサーを操作できないよう、トランザの左手の甲に剣を突き立てました。
トランザの超能力は、メタルトランサーを左手で操作することによって発揮されるので、左手を拘束してしまえば、右手は放置でいいのです。
この辺、クレバーですね。
こうして、戦闘能力では作中最強と言えるトランザは、ラディゲに敗れ退場となります。
トランザに向かって「俺の名を言ってみろ」と、かつてトランザに叩きのめされた時に言われたセリフを言い、「なぁにぃ? ラディゲだとぉ?」と「様」をつけろと要求したラディゲは、実に楽しそうでした。
結局、トランザは人格崩壊し、身元不明の人間として精神病院に入ることになりました。
この47話「帝王トランザの栄光」は、トラウマ回として有名らしいです。
鷹羽は、すっごく好きですけどね。
広瀬さんが演じる悪役は、“プライドも能力も高いけれど、いまいち薄っぺらいが故に負ける”という感じがあって、鷹羽はそこが好きなのです。
特にDr.ケンプは、可愛かったなぁ。
結局、最後の最後に「俺もやり直したい」と言って滅んだけれど、レッド:勇介は親友と認識していて、数年後、「百獣戦隊ガオレンジャー」のOVA「百獣戦隊ガオレンジャーVSスーパー戦隊」で、ケンプの墓を踏みつけた敵に「その足をどけろ」と怒る勇介はよかった♡
今では一線から引いてしまった広瀬さんですが、もう一度悪役を見たいなぁ。




