54 隊長、命令を!(伝説の勇者ダ・ガーン)
1991年放映のアニメ「伝説の勇者ダ・ガーン」は、鷹羽にとって色々と思い出深い作品です。
第一に、鷹羽が初めて全話追いかけたタカラの勇者シリーズであること。
以前にどこかで書きましたが、鷹羽は合体システムが気に入らないという理由で、「勇者エクスカイザー」は追いかけていませんでした。
嫌い、というほどではなく、敵であるガイスターの雑魚連中のお宝認定のマヌケさは好きで、時々見ていたんですけどね。
続く「太陽の勇者ファイバード」も見てました。これも合体システム(合体と同時にアーマーを加えて「武装合体」と言っちゃうところ)が気に入らなかったのでした。ダイノガイストは好きだったんだけどなぁ。
それはともかく、ところどころ見ていた「ファイバード」に続いての「ダ・ガーン」です。
ダ・ガーンは、エクスカイザーと同じく車から小型ロボに変形し、声も同じ速水奨さん。
前2作同様、ロボット生命体と少年との交流を描きますが、大きく違ったのは、少年である星史に、ダ・ガーンらに対する指揮権があることです。
ダ・ガーンは、車から小型ロボ:ダ・ガーンに変形して戦うところまでは自分の判断でできますが、巨大合体してダ・ガーンXになるためには、星史からの合体命令を必要とするのです。
勇者ロボ達は、星史が持つダイレクターという通信機のようなものに内蔵されたオーリンというアイテムに支配されており、“星史がオーリンを介して命令”しないと、巨大合体できません。
これは、「エクスカイザー」や「ファイバード」にはなかったもので、少年をロボット戦に積極的に介入させるための新機軸だったと思われます。
「合体せよ!」「了解!」という合体シークエンスが入るのはこの作品からになります。
ちなみに、星史がダイレクターを落とし、落とし物として拾われたために、ダ・ガーンに合体命令を出すことができなくなったことがありました。
その時、星史は、ダイレクターに声を届かせるため、クラスのみんなを先導して「頑張れダ・ガーン♪ 負けるなダ・ガーン♪ 合体して戦えダ・ガーン♪ 地球合体ダ・ガーンX♪」と応援の態で合体命令を出すという笑えることをやっていました。超わざとらしい(^^)
ちなみに、「地球合体」というのは、合体ロボ商品についていた冠で、本編中ではここでしか使っていなかったと記憶しています。
途中から登場する敵方の変形ロボットで、セブンチェンジャーというのがいます。
自意識を持っているメカで、子安さんの声でしゃべります。立ち位置としては、敵方の遊撃隊的な実力者。その時々の敵の司令官と指揮系統が違うため、好き勝手に動けるのがキモです。
おもちゃは、トランスフォーマーシリーズのシックスショットの型を流用しています。同じ型を流用したロボとしては、「勇者警察ジェイデッカー」のシャドウ丸があります(ちなみにシャドウ丸の声は、立木文彦さんだったり)。
物語中盤、地球が謎の力を発生させるシーンがあり、その際、セブンチェンジャーの中にいた人が「遂に見付けた!」的なことを言っています。
これを見て、鷹羽が「アトランタ星のタローくんじゃない?」と言ったら、友人が「え、そのパターンなの、これ!?」と驚いていましたっけ。
アトランタ星のタローというのは、「電撃戦隊チェンジマン」に登場する宇宙人で、アトランタフォースという、チェンジマンのアースフォースによく似た“星が自らを守るために放出する力”を持つ戦士です。
アトランタ星は、アトランタフォースの戦士がゴズマと戦ったが敗れて侵略された星で、そこの戦士だったタローは、ゴズマの宇宙獣士として戦わされていたのです。
つまり、鷹羽は、セブンチェンジャーを“かつて敗れた星の勇者ロボ”、ヤンチャーを“その星の隊長”だろうと予測したわけです。結果として、その読みは当たりました。
敵方のキャラは、首領がオーボス(大ボスというネタ)、幹部がシアン、ビオレッツェ、レディーピンキー、デ・ブッチョ、レッドロンとなっていて、ブッチョとオーボス、セブンチェンジャー以外は色の名前になっています。
ダ・ガーンXは、パトカーから変形する小型ロボが、コアブロックよろしく変形し、上半身の飛行機、下半身の新幹線と合体して巨大ロボになるという、割とオーソドックスな巨大合体です。
ダ・ガーンXの胸には、地球を模したシンボルマークがあり、ここから破壊光線:ブレストアースバスターを放つことができます。
できるのですが、これ、ダ・ガーンXの全エネルギーをつぎ込む両刃の武器で、ゲッタードラゴンのシャインスパーク、ΖΖガンダムのハイメガキャノン同様、“使った後はまともに動けなくなる”最後の武器なのです。
ブレストアースバスターの初使用は、レッドロンとの戦いで、強力な敵ロボを倒した時でした。
「あいつを倒せる武器はないのか!?」
「あるが、それを使うと私は」
「いいからやれ! 命令だ!」
「了解! ブレストアースバスター!」
というようなやりとりがありました。細かいセリフはうろ覚えです。
で、この後、敵ロボは破壊したものの、エネルギー不足から、逃走する敵幹部の宇宙艇を追うことができず取り逃がしました。
まぁ、使わなければそもそも敵ロボを倒せなかったわけなので、判断としては妥当なんですが…。
問題なのは、ダ・ガーンがデメリットを言いかけていたのにそれを聞かないうちに使うよう命じたことでして。
鷹羽は、このシーンに「しかし、それを使うと私は死んでしまうのだ」と繋げて笑っていました。
鷹羽の世代だと、「仮面ライダーストロンガー」でのタックルのウルトラサイクロンとか、「サイボーグ009」での004が内蔵する原爆とか、“威力絶大だが死と引き換えの最後の武器”というのが念頭にあるので、案外シャレにならないのです。
ほかにも、“生涯で3回しか使えない”みたいな特殊な技も、世の中にはありますしね。
「ダ・ガーン」といえば、もう1つ好きなネタがありまして。
終盤、星史が父と共に敵に捕まるエピソードがあります。
オーボスの目的は“伝説の力”という、星が秘めている力を見付けることで、どうやら地球に“伝説の力”が眠っているらしいことがわかってきていました。
セブンチェンジャーの目的も“伝説の力”でオーボスを倒すことだったりするわけなのですが。
星史達がビオレッツェに囚われ、宇宙船に連れられていった時のこと。
あ、ビオレッツェはちょっとオネエ入ったキャラです。
ビ「あんた、ちょっといい男だからって、調子に乗ってると…」
父「ふ、いい男か。しかし、男に言われると尻がむずがゆくなるな」
ビ「なんですって!?」
父、ビオレッツェにVサインを向ける。
ビ「なんのつもり!?」
父「私が、この指と指を合わせた時、“伝説の力”が発動するのだ」
星(え、そうなの!?)
ビ「ハ、ハッタリに決まってるわ!」
父「ハッタリではない」
父、人差し指と中指を合わせる。
ビ「ひっ!?」
ビオレッツェがビビるが、何も起こらない。
ビ「やっぱりハッタリじゃない!」
父「ハッタリではない。冗談だ。
冗談もわからないとは、2V奴め」
父、両手でVサインを作ってチョキチョキする。
この流れで、父に惚れましたね。
食えないキャラだったビオレッツェを、完全に翻弄してます。
あと星史、え、そうなの!? じゃありません。
鷹羽は、何かというとVサインで人差し指と中指をくっつけてチョキチョキやりますが、100%誰も元ネタに気付きません。
ちなみに、「ダ・ガーン」の最終回では、“伝説の力”を得たダ・ガーンGXがオーボスを倒すわけですが、某友人が、父が指と指を合わせたシーンからそこに繋げるという編集をしたことがありました。
いやぁ、笑った笑った(^^)




