48 叫びの神谷(神谷明)
たこす様のリクエストです。
神谷明という声優さんがいます。40代以上のアニメ好きには、おなじみでしょう。若い方だと、数年前まで「名探偵コナン」の毛利小五郎をやっていたと言えばわかるでしょうか。
若い人だと、小五郎みたいなダミ声のイメージが強いかもしれませんが、神谷さんは元々どちらかというと澄んだ高めの声です。
神谷さんは、1970年代前半から、美少年役を多く演じてきた方です。バビル2世とか、「宇宙海賊キャプテンハーロック」の台羽正とか。
特に、ロボットアニメの主人公をいくつもやり、技名を叫んでいたので、「叫びの神谷」と呼ばれたりしていました。
ちょっと挙げるだけでも、「ゲッターロボ」「ゲッターロボG」の流竜馬、「勇者ライディーン」のひびき洸、「大空魔竜ガイキング」のツワブキ・サンシロー、「惑星ロボ ダンガードA」の一文字タクマ、「闘将ダイモス」の竜崎一矢、「合身戦隊メカンダーロボ」のジミー・オリオンなどなど。
まぁ、昔はロボットアニメといえば、技や武器の名前を叫びながら繰り出すのがお約束でした。が、その中にあって、「叫びの神谷」の叫びは一味違いました。
「ゲッター」での「ゲッタアァァァビイィィィィムッ!」や「シャアァイィィィンスパアァァァァク!」とか、「ライディーン」での「ゴォォォッドブレイカアァァ! ラアァァイッ!」とか。
叫ぶ長さや熱量が違います。
文字にすると同じように見えますが、「ゲッター」では高く澄んだ声で叫び、「ライディーン」では低く濁った声で叫んでいます。その分、「ライディーン」での叫びには重さを感じます。
神谷さんは、「ゲッター」と「ライディーン」では、叫びすぎて喉を痛めたとどこかで仰っていました。
技名の叫びは、普通だと「ロケットパンチ」が「ロケットパーンチ!」、「サンダーブレーク」が「サンダー、ブレーーーク!」みたいに後半を少し伸ばすものなのですが、叫びの神谷は違います。
「ザウルガイザー」を「ザウゥゥル、ガイザァ!」みたいに、前半も延ばし、しかもアクセントを前半に置きます。
また、武器や技の名前が長いのも結構ありまして、「メカンダーロボ」の「空中大型魚雷ジョーズ」は、とある雑誌で“ロボットアニメで最も長い武器名”と認定されていました(1985年時点)。これを「くうちゅうおおがたぎょらい、ジョォォズ!」と叫ぶわけですね。もっとも、単に「ジョーズ!」と言って発射していることもありましたが。
連チャンで叫ぶものもありまして、「オープン、サテライザー!チェンジダンガード、セットオン!」とか、「ジャスティーン!ダイモス、バトルターン!」とか、変形合体のシークエンスは流れが心地いいですよね。あ、もちろん全部伸ばして叫ぶんですよ。
必殺技を段階を踏んでというパターンもあって、「ゲッターロボG」での「ゲッターシャイン! シャインスパーク!」とか、「ライディーン」での「ゴッドバードチェンジ!照準セット!ゴッドバードアタック!」とか。照準セットの時は、透視した化石獣の心臓がどっくんどっくんいってたりします。
「ダイモス」では、「フリーザーストーム!ファイヤーブリザード!必殺烈風正拳突き!」なんてコンボが必殺技でした。敵のロボが、超弾性金属という柔軟性が高く硬い金属で覆われたため、それまでの“敵を暴風で上空に吹っ飛ばして、落ちてくるところをパンチする”技では貫けなくなったのです。それで、マイナス170度に急冷凍してから超高温の炎と風で上空に吹き飛ばしつつ金属を劣化させて柔軟性を失わせてからパンチするようになりました。
ストームにブリザード、嵐が好きですね。しかもファイヤーブリザードって、矛盾してませんか? でも、鷹羽は当時、夢中になって見てました。
ちなみに、「フリーザーストーーーム!ファイヤアァブリザアァァァァァドッ!必殺!烈風!せえけんづきぃぃ!」と叫びつつダイモスの拳が敵ロボの内部メカをずん!ずん!ずん!と砕きながら貫いていく画面は超燃えます。
そんな二枚目役が多かった神谷さんですが、ある時を境にコメディ寄りになります。
そのきっかけとなったのが、1981年から放映の「うる星やつら」でした。
主人公:諸星あたるのライバルである面堂終太郎は、基本的に二枚目でありながら、時折大きく崩れます。その頻度がそれまでの美形キャラより多いわけです。三枚目寄りの二枚目ですね。
そして、そのバランスが逆転したのが1983年から放映の「キン肉マン」でした。
普段は三枚目、でもいざとなると二枚目という二枚目寄りの三枚目であるキン肉マンを、神谷さんは、おちゃらけた時は高め、真面目な時は低め、という声の使い分けで演じました。どちらの場合も、やや濁った声で。ひびき洸の叫び声に近いでしょうか。
これ以降、神谷さんが演じるキャラは、三枚目と二枚目の両面を持つものが多くなっていきます。
「シティハンター」の冴羽獠なんかもキン肉マン寄りのキャラですね。声はキン肉マンより高めです。
また、「北斗の拳」の ケンシロウでは、「あたたた!」をブルース・リーの怪鳥音をイメージして裏声っぽい感じでやっていました。個人的には低い掛け声でやってほしかったなぁと思っていますが。
ちなみに、ダイモスの操縦方法がモーショントレース(操縦者の動きをトレースする)で、空手で戦うため、前述の雑誌で「世が世ならあたたた!と叫んでいたロボット」と言われたりしましたっけ。
その後、神谷さんは、OVA「破邪大星ダンガイオー」のロールを演じています。普段は気弱なのに、合体してメインパイロットになると突然ヒーロー然となるキャラでした。一応、かつて仲間に裏切られ殺されたトラウマから二重人格になったことが語られており、ヒーロー然とした方が本来の人格という話だったと思います。
必殺技は「サイキック・ウェーブ!」で相手の動きを止めた後に剣で切り裂く「サイキック・ザン」ですが、往年の叫びの輝きはありませんでした。
「ダンガイオー」は、3巻まで出て打ち切られた作品で、最後は相討ち気味に負けてダンガイオーも大破し、帰るべき母艦も修復できる博士も失い…という、もうちょっとなんとかならなかったのかというエンディングでした。
メカニックとしてのダンガイオーは、4機の宇宙戦闘機が合体するロボットですが、1機が分離して両前腕になります。その前腕は、ブーストナックルという技(要するにロケットパンチ)で飛んでいくのですが、当然パイロットが乗っていて、彼女が文句を言うんですね。対G性能が低いらしく、発射された際のGでパイロットがダメージを受けるという恐ろしい欠陥ロボでした。
いや、あれ、戦闘機だよね? 空間機動でダメージって、何の冗談!? 一発ネタにしても笑えないって!
神谷さんがやったロボットアニメのパイロットで、鷹羽が見た一番最後なのは、「ゲッターロボ號」の大道剴でしょうか。
「ゲッターロボ號」は、ゲッター1~ゲッター3の3機の戦闘機が合体して3形態のロボットになるわけですが、凱はゲッター剴(ゲッター3に相当する下半身がキャタピラのロボ)のパイロットです。
後半、ゲッター號は追加武装のGアームライザーと合体することで剣にも斧にもなるソードトマホークを使えるようになる(他形態では使えない)のですが、1回だけ、ソードトマホークのトマホーク部分だけを使って凱が「トマホークブーメラン!」を使っていたりします。
それを見た友人が、超燃えてましたっけ。




