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42 夢見る戦士の誓い(科学戦隊ダイナマン)

 1983年放映の「科学戦隊ダイナマン」という作品は、鷹羽にとって、とても大きな意味を持ちます。

 それは、“これで特撮に帰ってきた”というものです。

 この作品と出会っていなかったら、鷹羽は特撮番組を見ない大人になっていたかもしれないからです。

 今の鷹羽の泥沼加減を知っている人なら、「まさかぁ」と笑うかもしれませんが、鷹羽はひところ、特撮番組を見ていない時期があったのです。

 それは、「宇宙刑事ギャバン」中盤から「科学戦隊ダイナマン」中盤までの約1年間です。

 理由としては、割と普通で、“学校の都合で見られなくなった”というものでした。

 家にビデオデッキがなかった当時、放送時間に家にいられないというのは、イコール“見られない”でした。

 驚く人がいるかもしれないので補足しておくと、家庭用ビデオデッキの普及率は1980年で5.1%、1985年で30%ほどだったそうです。

 鷹羽の実家にビデオデッキが入ったのは、1983年秋のことでした。


 関東圏に住んでいるとわかりにくいのが、放送時間帯の問題です。関東地方では「ギャバン」の放送時間は金曜夜7時半でしたが、新潟県では火曜夕方4時台の放送だったと記憶しています。

 これは、当時、新潟県に民放が3局しかなく、テレビ朝日系列の局がなかったことに起因します。

 よその系列局で放送する都合上、隙間時間に回され、夕方放送だったわけです。

 放送してくれただけよかったくらいですね。

 ちなみに、1980年までは民放は2局で、「仮面ライダーX」は、関東地方に比べて10週間ほど遅れて放送していました。

 これは、関東地方で8月24日放送の「見よ!Xライダーの大変身」を新潟県では11月3日に放送していたという記憶から計算したものです。




 もう1つ、鷹羽がアニメに主軸を置いていて、特撮への興味が弱くなっていたのも理由です。

 「太陽戦隊サンバルカン」でのレッド=バルイーグル交代劇でショックを受けて、以後、見ていた記憶が薄く、続く「大戦隊ゴーグルV」は見ていません。




 普通なら、このままアニメオタクになるかアニメからも身を引くかするはずだったと思うのですが、1983年秋に、テレ朝系列の地方局NT21(現UX)が開局し、その頃、家にビデオデッキが入ったことで、運命が変わりました。

 それまで他系列でやっていた「ダイナマン」「宇宙刑事シャリバン」が関東地方と同じ時間帯に移り、しかも録画しておけば家にいなくても見られるようになったのです。120分のビデオテープが1本2000円くらいしましたけど。

 ちなみに、放送が遅れていた分は、多分、盛大にすっ飛ばされたと思います。

 同時期放映の「聖戦士ダンバイン」は、試験放送期間中に毎日2話、週5日放送という力業で追いつきました。新主役メカ:ビルバインの登場はその集中放送時期に行われ、見損ねた人も多かったようです。




 もう1つ、鷹羽の背中を押した事情がありました。

 当時、コミックボンボンに出渕裕氏がコラムを連載していたのです。

 メカニコングが死神博士の肩叩きをしながら「ドクターフー」と呼びかけ、死神博士が「わしはショッカーの死神博士だ、間違えるなゴリラ男」と答えているイラストに心奪われ、以後、そのコラムを楽しみにしていたのです。そこに、「ダイナマン」の怪人であるメカシンカのイラストが載ったことで、“一度見てみよう”と思ったのでした。

 ちなみに、ドクターフーは東宝の映画「キングコングの逆襲」に登場する科学者、メカニコングはドクターフーが作ったロボットキングコングです。ドクターフーと死神博士、いずれも演じたのが天本英世さんだったことによるネタです。

 ミサイルザリガニやワープロアルマジロ、ドリルホースといったメカシンカのネーミングはデストロン怪人を彷彿とさせ、しかもデザインが格好いい! 鷹羽が見てみようと思うのも無理からぬことでした。

 そして、番組を見たのは新幹部ゼノビア登場の辺りからでしたが、もうハマりました。

 名乗りの時、背後で赤や青の爆発があったり、必殺技ニュースーパーダイナマイトでは、火の玉が飛んでいったり。

 そして、ダークナイトの登場。ん~、いいなぁ。

 挿絵(By みてみん)

 ダークナイトは、“着ぐるみであることを前提にデザインされたかっこよさ”を持っています。

 写真ではわかりにくいですが、ちゃんと右目がないんですよね。

 フィギュアーツで出ないかなぁ。

 飯田道郎さんの声もよかった。

 これに加えて「シャリバン」の最終回を見たことで、鷹羽は特撮に戻って来た挙げ句、スーツアクターになりたいと思って訓練を始め、後にヒーローショーのバイトをしたりするようになります。




 「ダイナマン」のストーリーは、こうです。

 遙か昔、地球に落ちた隕石に付着していたタンパク質が地底で進化を遂げ、知的生命体:有尾人となった。彼らはジャシンカ帝国を打ち立て、地上征服に乗り出す。

 一方、有尾人の存在を知った夢野博士は、ダイナスーツその他の装備を開発し、夢追う若き科学者を集めてダイナマンを結成、ジャシンカに対抗する。




 ジャシンカでは、尻尾の数が多いことがステータスであり、9本尻尾の帝王アトンが名実ともに最高位です。

 そして、7本のカー将軍、5本のメギド王子、4本の王女キメラ(アトンの姪)といった幹部の下、1本の戦闘員:シッポ兵 、怪人たる進化獣で構成されます。

 この進化獣、○○シンカという名で、動植物の名を冠していて、ショッカーの怪人みたいなんですよね。それが中盤、メカシンカにパワーアップします。動植物と各種機械とを融合させて作られたメカシンカは、デストロン怪人みたいな“メカ+動物”になります。




 前述の理由から、鷹羽は本放送では中盤以降しか見ていません。

 メギドは、1話でレッドに尻尾を1本切り落とされており、復讐を果たしたら再生を受けるつもりでいました。

 そのため、尻尾が4本となり、キメラと同格になっています。

 メギドは性格的にヤンチャ系で詰めが甘いため、負けが込むことになります。

 その後、戦力拡充のため、かつて反逆して千年洞窟に幽閉されていたゼノビアが復権、入れ替わるようにしてメギドは尻尾を全て切り落とされ、千年洞窟に幽閉されました。

 その後、第3勢力としてダークナイトが登場します。視聴者には最初からバレていましたが、正体はメギドです。

 そして、有尾人の尻尾を後天的に増やすことのできるレトロ遺伝子を巡り、ラストのドラマが動きます。


 “10本尻尾”という、有尾人にとっての夢が実現する可能性が出てきたからです。

 もはやジャシンカは、地上侵略などそっちのけでレトロ遺伝子獲得を目指します。

 夢野博士こそ、レトロ遺伝子の発見者だったのです。レトロ遺伝子を狙うジャシンカに婚約者を殺された博士は、ジャシンカの存在を知り、対抗するためにダイナマンを結成したのでした。

 ゼノビアはダークナイトと結んでジャシンカを裏切り、カー将軍を陥れ、夢野博士を誘拐し催眠術で操ってレトロ遺伝子を作らせます。

 そして、カー将軍は、アトンに忠誠を尽くして討ち死にし、ゼノビアは10本尻尾を達成したものの、尻尾を増やした反動で死亡します。

 ダークナイト=メギドは、後天的に10本尻尾になった者は死ぬという古文書を見付けており、自分の尻尾を切ったゼノビアへの復讐のため、レトロ遺伝子獲得に協力していたのでした。


 この辺の展開はツッコミどころ満載なのですが、終盤、ジャシンカは侵略のためではなく“10本尻尾”という夢の実現のためにレトロ遺伝子を求めます。

 結果的に、夢野博士が狙われたことで、ダイナマンとの敵対関係は続きましたが、それにしても、ゼノビアも、用済みになった夢野博士を殺そうとはしていません。


 そもそも有尾人にとって、10本尻尾は“前人未踏の憧れ”であり、それ自体は人間にとっても別段悪いことではないのです。

 言ってみれば、背が伸びる薬が欲しいみたいなもので。

 ジャシンカにとって、金積んで手に入るなら、いくらでも払うみたいなもんです。

 ジャシンカの夢を、夢の戦士ダイナマンが阻むという、すごい展開なんですよね。




 結局、ゼノビアが死んだ後、ダークナイトはアトンを一騎打ちの末破ったことで認められ、若き帝王メギドとしてキメラを娶り、ジャシンカ帝国を受け継ぎます。


 まぁ、その後、ダイナマンとの最終決戦に敗れてメギドもキメラも死んでしまうのですが。

 出渕氏が、自身の画集の中で、“ダイナマンと和睦し、地底へと帰るジャシンカ帝国初代神聖帝王メギドと女王キメラ”というのを描いていまして。

 尻尾に拘ることをやめ、父を超えて帝王となったメギドには、地上侵略などやめて有尾人による豊かな地底帝国建設を目指す未来があってもよかったのかなぁ、と思います。

 6年後の「高速戦隊ターボレンジャー」では、はぐれ暴魔ヤミマルとキリカのように、生き残って平和な生を歩む敵キャラも登場するわけで、“悪の組織の首領が代替わりし、和解して終わる”というエンディングがあったっていいんじゃないかなぁ、と思うのです。




 有尾人にとって10本尻尾とは、“100mを5秒で走る”というような奇跡の力です。

 アトンは、“地上侵略をなし遂げた時に10本尻尾になれると思っていた”と言っています。つまり、前人未踏の功績を挙げれば10本尻尾になれるだろうと考え、地上を侵略していたわけです。

 手段と目的がごっちゃになっています。

 これをレトロ遺伝子騒ぎに当てはめてみると、

  “夢の100m5秒をなすためには、ドーピングが必要だ”

  “ドーピングして100mを5秒で走れば、死ぬ”

  “ドーピングなどに頼らず、自分を鍛えて少しでも早くなることこそが大切なのだ”

となります。


 メギドは、ゼノビアでさえ脱出に数年を要した千年洞窟から、わずか数日で脱出しました。

 そして、自分を鍛え、アトンと正面から戦って倒すほどの力を身に付けました。

 それを評価され、アトンから帝王の座を引き継ぐことになったのです。

 つまり、この時点で、メギド=ジャシンカに、地上侵略の必要はなくなっています。

 なんなら、ここでメギドからダイナマンに対し、“尻尾を切られた恨みは水に流す。ジャシンカはもう地上を狙わない。今後は地底で栄えていくから、休戦しよう”と持ちかけてもいいくらいです。




 もちろん、特撮ヒーローものとしての縛りがありますから、そうはなりませんでした。

 メギドとキメラは、ダイナマンと戦い、揃って討ち死にしたのです。

 傷を負ったメギドは、キメラに1人で落ち延びるよう言いますが、キメラは夫となったメギドに殉じる道を選びます。

 まだ、敵組織の幹部がヒーローと和解して生き残れる時代ではなかったのですね。

 それは、2年後の「電撃戦隊チェンジマン」において、副官シーマ、航海士ゲーターがチェンジマン側に寝返ってゴズマと敵対することで果たされました。

 あと数年遅ければ、ジャシンカも和睦していたかもしれません。

宇宙刑事ギャバン

 1982年放映の東映特撮ヒーローもので、俗に言う“メタルヒーローシリーズ”の1作目。

 バード星の宇宙刑事ボイサーと日本人一条寺民子の間に生まれた一条寺(れつ)が地球担当の宇宙刑事として赴任し、行方不明の父を探しつつ宇宙犯罪組織マクーと戦う物語。

 烈は混血であり、ギャバンはバード星での本名である。一条寺ギャバン烈とでもいおうか。ちなみにバード星にはファミリーネームはないようだ。

 烈を演じた大葉健二氏は、「人造人間キカイダー」でトランポリンアクションを担当していたJAC(現JAE)の古株で、「バトルフィーバーJ」のバトルケニア:曙四郎や「電子戦隊デンジマン」のデンジブルー:青梅大五郎を演じていた。

 「蒸着!」のキーワードによる瞬間変身、「宇宙刑事ギャバンは僅か0.05秒で蒸着を完了する。ではそのプロセスをもう一度見てみよう」というナレーションによる変身シーンのバンク、メッキされたコンバットスーツ、ゴーグルの奥で光る目など多くの新機軸を生んだ。




宇宙刑事シャリバン

 1983年放映の宇宙刑事シリーズ2作目。

 ギャバンに代わり地球担当となった伊賀(でん):シャリバンと宇宙犯罪組織マドーの戦いを描く。

 電は「ギャバン」終盤に登場し、重傷を負って治療のためバード星に送られ、最終回に宇宙刑事となって赴任してきた。

 「赤射!」のキーワードで、赤いコンバットスーツを装着する。装着に擁する時間は1ミリ秒(0.001秒)と大きく短縮された。

 中盤、電がかつてマドーに滅ぼされたイガ星の末裔であることが判明し、イガ星再興の物語へとシフトしていく。




出渕裕

 元々はメカデザイナー。その後、脚本やら監督やらやっており、「宇宙戦艦ヤマト2019」では総監督を務めている。

 「闘将ダイモス」の敵ロボットのデザインからスタートし、多くのロボットアニメでやられメカをデザインしてきた。

 漫画家ゆうきまさみと親交があり、「機動警察パトレイバー」の企画では大活躍したらしい。

 νガンダムやサザビーのデザインをした人、と言うと通りがいいだろうか。

 「科学戦隊ダイナマン」「超電子バイオマン」「電撃戦隊チェンジマン」「超新星フラッシュマン」と、4年間にわたりスーパー戦隊シリーズの敵デザイン等を手がけた。個人的には、あの辺のデザインが大好きで、一番好きなのはサタンメガスの“天使と悪魔の顔”。

 天本英世氏が好きなようで、「バイオマン」の敵首領ドクターマンは、天本氏が演じる前提でデザインしたとか。

 ゆうきまさみの漫画「究極超人あ~る」のドラマアルバムでは、天本氏をモデルにしたキャラ:毒島(ぶすじま)の声を演じて「ワシの改造人間をいじめるんじゃない!」とモノマネをしている。ただし、似ていなかった。




天本英世

 俳優、故人。

 「仮面ライダー」の死神博士と言えば、30代以上で知らない人はいないのではないかと思われる。

 

 「宇宙鉄人キョーダイン」の海堂博士、「小さなスーパーマン ガンバロン」のワルワル博士、「星雲仮面マシンマン」のプロフェッサーKなど、善悪問わず博士役が多い。




聖戦士ダンバイン

 1983年放映の富野アニメ。

 異世界バイストンウェルに召喚されたショウ・ザマがオーラバトラー・ダンバインを駆って騒乱に飲み込まれていく物語。

 当初は異世界におけるロボットバトルだったが、後半は地球が舞台となった。

 人の生命力:オーラ(ちから)によって動くオーラバトラーという特殊な設定だったため、“人の精神力で出力が上がる”現象や、戦闘中に敵味方が通信会話する演出が使われ、その後の作品にも踏襲された。わかりやすい例を挙げると、「ガンダム」ではそれぞれコクピットで独り言を言っていたのが「Ζガンダム」では敵味方が戦いながら会話している。

 「ダンバイン」以前は、敵味方が通信しながら戦うということはほぼなかったのである。



飯田道郎

 「宇宙刑事ギャバン」のハンターキラー(役)、「電撃戦隊チェンジマン」のシーマ(声)、「超人機メタルダー」のメタルダー(声)を演じた人。「メタルダー」では剣流星の吹き替えをやっていた時期もある。

 ちょっと高めのハスキーボイスが色っぽい。

 ちなみにシーマは女性だったり。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 天本英世さん 潮健児とならんで子供の時からのアンチヒーローでした [気になる点] 新潟県は確かUHFが普及するまで NHKと民放の3Chだった気がする [一言] 女子高生がネコ耳に改造され…
[一言] 初めまして。毎回楽しく懐かしく読ませて頂いております。 〉尻尾に拘ることをやめ、父を超えて帝王となったメギドには、地上侵略などやめて有尾人による豊かな地底帝国建設を目指す未来があっても…
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