40 メジャーだけどマイナー(ウルトラマン・アルティメットルミナス)
ウルトラマンの着ぐるみには、大きく分けて3種類あります。
このこと自体は、ウルトラマン好きには常識レベルの問題ですが、残念ながら一般常識のレベルには至っていません。
一応復習しておくと、A、B、Cの3タイプあって、1~13話までがA、14~29話までがB、30~39話までがCです。
Aタイプの顔はラテックス製で、演じた古谷敏さんの顔から取ったライフマスクに肉付けして作ったそうです。マスクの中で、古谷さんが口を開けるとウルトラマンの口が閉じ、古谷さんが口を閉じるとウルトラマンの口が開く、というギミックがありました。これは、ウルトラマンが口から熱線を吐くという初期設定があったためです。
このため、Aタイプのマスクは、表面がガサガサしていて、頬にたるみがあります。
口の開閉ギミックは結局使われませんでしたが、この機構のせいで、顎の重さで頬のたるみが伸びることになり、段々と口が半開きになってしまいました。
首から下を見ると、体にはほとんど詰め物がなく、スレンダーです。模様は赤というより朱色です。
Aタイプのボディは、後に、ザラブ星人が化けた偽ウルトラマンや、最終回のゾフィに流用されました。
Bタイプは、Aタイプの傷みが激しかったことから用意されました。
マスクはプラスチック系の材質で作られており、口元の幅が狭いのが特徴です。
Aタイプと同じ型から作られた、とされていますが、かなり見た目が違っているため、ここで言う“型”とは、ライフマスクのことではないか、という説があります。
マスクと同時にボディも新調され、肩や胸に詰め物がされて、かなりマッシブな体型になっています。爪先が上に反っているのが特徴です。
Bタイプのボディは模様がだいぶ赤っぽくなりました。これは、ウエットスーツをアメリカ製の赤いものに変えたためで、Aタイプが銀も朱色も塗っていたのに対し、Bタイプでは銀だけを塗り、赤い部分はウエットスーツそのものの色だそうです。
かなり脆い材質だったようで、すぐ駄目になったとか。28話「人間標本5・6」で、ウルトラマンがダダの銃で人間大にされますが、ウルトラマンが屋上で転んでいるシーンを見ると、左肘の辺りが大きく裂けているのがわかります。
そういった事情からか、Cタイプのマスクが登場します。Cタイプのボディでは、爪先は反っていません。もっとも、初登場である30話では、顔はCタイプですが、ボディはBタイプを使っているらしく、爪先が反っています。
Cタイプは完全新造と言われていますが、ライフマスクを作り直したという話は聞いたことがないので、前述のBタイプの“型というのはライフマスク”説が正しいかわからないんですよねぇ。
Cタイプのマスクは、普通の人が「ウルトラマン」と言われた時に思い浮かべる顔です。
ニュースなどでウルトラマンの映像を出そうとする時によく使われる“スペシウム光線ポーズのウエストショット”は、このCタイプです。
ちなみに、今、古谷さんがスペシウム光線のポーズをとると、どちらの手も指がかなり反っていますが、少なくとも番組中盤くらいまでは、スペシウム光線の時は右手の指は反っておらず、むしろ内側にやや曲がっています。
さて。
前述のとおり、マスクの使用期間の内訳は、Aが13話、Bが16話、Cが10話となっています。Cの使用期間が一番短いです。
けれど、前述のとおり、“ウルトラマンの顔”と言った時に、一般的に思い浮かべるのはCタイプの顔なのです。
いくつか理由がありますが、一番大きいのは、“Cタイプの顔がその後の標準になったから”というものでしょう。
「帰ってきたウルトラマン」における新マンの顔は、Cタイプの型から作ったものに、目をツリ目気味に付けたものです。そのため、よく見るとマスク全体の印象は異なりますが、口元の形状は同じなので、パッと見はCタイプの顔に見えます。
「ウルトラマンA」「ウルトラマンT」「ウルトラマンレオ」に登場するゾフィー、ウルトラマン、新マンの顔も、ウルトラの父の顔も、全部Cタイプが基です。
当然、あらゆるムックに掲載されるウルトラマンの顔は、ほとんどCタイプということになりますから、印象の強さが段違いなのです。
実際のところ、イラスト化された時や、放送当時のソフビ人形などは、ABCどれにも似ていません。記号的に“ウルトラマンだ”と認識されているだけのことです。
「ウルトラマン」本放送当時のスチール写真として出回っているもので、枚数的に一番多いのは、おそらくAタイプでしょう。撮影初期のメイキング写真などもありますから、今でも見ることは多いはずです。
ただし、一番多く見かけるスチール写真は、前述のCタイプのスペシウム光線ポーズのはず。
ニュースやバラエティなどでウルトラマンを紹介する際に1枚写真を表示するとしたら、ほぼこれ一択です。ウルトラマンだけで写っていますし、ウエストショットで大写しですから。
Aタイプは、円谷英二監督と一緒に写っているスチール写真が有名ですが、ヒストリカルな話題や円谷系の話題でなければ、テレビに映ることはあまりないでしょう。
こうして、“ウルトラマンといえばCタイプの顔”という世間的な認識が生まれました。
逆に、割を食ったのがBタイプです。
本編中での使用期間が一番長いにもかかわらず、最初でも最後でもなかったために、あまり表に出ません。
また、Aタイプのように一目で違うとわかるようなものでもない分、目立ちません。
使用期間内にだけ登場する人気怪獣がゴモラくらいしかいないのもマイナスに働いていますね。よく載っているテレポートの写真はBタイプですが、下半身がまだ現れていないことに目が行ってしまうので、顔なんか誰も見ていないのです。
デザイナーである成田亨さんが最終的に“ウルトラマンの顔”としたのはCタイプですから致し方ないのかもしれません。でも、鷹羽は、Bタイプの精悍な顔が好きなんですよねぇ。
まぁ、そんなわけで、造形ものでもウルトラマンはCタイプが多いです。Aタイプは、あのガサガサ具合の再現が難しい面もあるでしょうね。
劇場版「ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟」では、ウルトラマンの顔がAタイプを意識したものになっていますが、プラ系の硬い素材だったせいか、痘痕顔で気持ち悪かったです。やっぱりAタイプは、あの時代のあれだから許せるんでしょうね。
ちなみに、鷹羽が友人に「どうせならBタイプにしてくれればよかったのに」と言ったところ、「それだとパッと見に区別つかないじゃん」とあっさり潰されました。むぅん。
さて、そんなわけで、Bタイプは商品化に恵まれません。
ガレージキット系なら、Bタイプもいっぱい出ていますが、マスプロ製品だとあまりないのです。
プライズ系では、見たことがありません。
鷹羽が知っている限りだと、Bタイプの最初の商品化は、第19回で取り上げた、1983年発売のバンダイ・リアルホビーシリーズ「ウルトラマン」です。多分、次…だったと思いますが、同じくバンダイから、「The 特撮コレクション」というプラモデルシリーズが発売されており、その中にウルトラマンもラインナップされています。これもBタイプでした。ジェットビートルが付属してましたね。昔の製品ですから、デキは微妙でしたが、パッケージのイラストは間違いなくBタイプでした。
その後は、2001年頃に出た「ウルトラの星計画」シリーズに、ラインナップされました。
既にティガ、ウルトラマンCタイプが発売されていましたが、限定版として、パッケージが黒一色で発売されました。どういうわけか、その後、一般発売もされました。限定版と一般版の違いは、限定版では黒いパッケージで付属品が三角ビートルだったのが、一般版では、写真パッケージとなり、付属品がCタイプと同じジェットビートルになったことくらいです。
ちなみに、ウルトラの星計画のCタイプとBタイプでは、中の可動人形は同じですが、スーツの体型も模様も違っています。
食玩のハイパーウルトラマンシリーズでは、珍しくABC3タイプがそれぞれ発売されました。
そこからまたずっと時代が下って、2016年、バンダイがガシャポンで「アルティメットルミナス」シリーズをスタートさせました。
これは、固定ポーズのウルトラマンフィギュアの中に、ルミナスユニットという小型のLED発光ユニットを入れることで、目とカラータイマーが光るというものです。
最初のラインナップは、ウルトラマンBタイプ(スペシウム光線ポーズ)とウルトラマンティガマルチタイプ(ファイティングポーズ)でした。この手の商品で、Bタイプから始まったことに、鷹羽は驚きました。
シリーズは順調に回を重ね、主立ったウルトラマンは網羅され、第13弾で3周目に入り、ティガのスカイタイプが発売されたことで、ティガはマルチ・パワー・スカイと3タイプ揃いました。
ウルトラマンも、Cタイプが2周目で発売され、第14弾でAタイプが加わりました。
しかも、第14弾のAタイプはファイティングポーズとスペシウム光線ポーズの2種類があって、スペシウム光線ポーズはカラータイマーが赤く光るようです(点滅はしない)。
ショックなことに、第15弾では、Cタイプのスペシウム光線ポーズも加わるそうで。前のCタイプはファイティングポーズでしたから、これでAとCはファイティングポーズとスペシウム光線ポーズが揃うことになります。
Bタイプは、最初にスペシウム光線ポーズが出ただけで、ファイティングポーズはありません。
せっかく最初にBタイプがラインナップされたのに、あっさり抜かれてしまいました。シリーズでファイティングポーズが出ていないのはBタイプだけです。なんて不遇な…。
左から、A、B、Cタイプ
ウルトラマンという、群を抜いて有名なシリーズの中でも超有名なキャラだというのに、この不遇っぷりって、どうなってるんでしょう?




