38 合体ロボの憂鬱(各種合体ロボ)
合体ロボって何? と問われたら、どう答えますか?
この定義は、案外難しいです。
例えば、合体ロボを主役メカとするアニメの元祖が「ゲッターロボ」だということに異を唱える人は滅多にいないでしょう。
イーグル・ジャガー・ベアーの3機の飛行機が、イーグル→ジャガー→ベアーの順ならゲッター1、ジャガー→ベアー→イーグルならゲッター2、ベアー→イーグル→ジャガーならゲッター3と、組み合わせ次第で3つの形態になり、それぞれに応じた操縦者により能力を発揮するというものです。続編として「ゲッターロボG」が製作されるくらい人気を博しました。
ただ、いずれもおもちゃとして合体を再現はできなかったのも有名ですね。
合体ロボとして、おもちゃで再現することを目指したのが「超電磁ロボ コン・バトラーV」です。バトルジェット(頭部)、バトルクラッシャー(胸部、腕部)、バトルタンク(腹部、腰部)、バトルマリン(両足)、バトルクラフト(両足首)が合体して人型ロボになります。こちらも好評につき、同路線の「超電磁マシーン ボルテスV」が作られました。
この時点で、なんとなく“合体ロボは、それぞれ人が乗った飛行機とかが合体する”という認識が生まれたようです。
実は、「コンV」と同時期に「UFO戦士ダイアポロン」というロボットアニメがあり、アポロンヘッダー(頭部、腹部、腰部)、アポロントラングー(胸部、腕部)、アポロンレッガー(脚部)が3体合体(合身)します。
しかも、人が乗っているのはヘッダーだけで、トラングー、レッガーは自律型です。
後半になると、合体前にはトラングー、レッガーにも人が乗って操縦するようになりますが、やはり合体時には退出し、ヘッダーのみ有人となるのです。
まぁ、「ダイアポロン」という作品はマイナーですし、合体すると中で操縦者が巨大化して鎧を着ているようになるという、もうロボットの操縦とは言えない謎仕様の方が有名なので、この点を気にする人はいなかったんじゃないかと思います。
どうやら、“人が乗っていないメカが合体しても合体ロボと言える”ようです。
ちなみに、モノクロ版「鉄腕アトム」に、“宇宙船の各パーツが全部個別の自律型ロボットになっている”というロボット宇宙船が登場します。起動レバーもロボットで、そいつが欠けたせいで動かないというピンチが描かれました。パーツを自律型にするくらいなら、なくてもいいようにしとけよ、と。
「鋼鉄ジーグ」では、主人公の司馬宙はサイボーグで、ジーグの頭部に変身し、支援輸送機ビッグシューターから16分割して射出されたジーグパーツと合体することで、ジーグになります。磁流波エネルギーを利用した磁石関節で、腕をバズーカに換装したり、マッハドリルに換装したり、足の代わりに馬をくっつけてケンタウロス状態になったりしますが、これは“合体ロボ”とは呼ばれませんでした。
同系列の「マグネロボ ガ・キーン」や「超人戦隊バラタック」もそうです。
もっと言っちゃうと、「マジンガーZ」では、Z本体にパイルダーが合体して完成し、ジェットスクランダーと合体することで空を飛びます。
これって、どうして“合体ロボ”じゃないんでしょう?
ダイアポロンは、人が乗っていないトラングーとレッガーがいても“合体ロボ”でした。
ここには、“合体前のパーツそれぞれが独立して戦える”という暗黙の了解があったのだと考えられます。
人が乗っているかどうかではなく、“パーツ自体が戦えるものか”という部分が重要だったのです。
なるほど、「未来ロボ ダルタニアス」では、主人公楯剣人が乗る人型ロボ・アトラウス(頭部、肩部、上腕部)、ライオン型巨大サイボーグ・ベラリオス(胸部、腹部、腰部、大腿部)、柊弾児が乗る戦闘機ガンパー(前腕部、膝から下)と、全て単体で戦えます。
そうだったのか。
…とは、いきません。
「大空魔竜ガイキング」では、ガイキングは、無人の飛行機パート1(腕部、翼部)、パート2(腰から下)、サンシローの乗るパート3(頭部、胸部)が合体しますが、パート1、パート2、パート3、いずれも単体では行動しません。
発進すると、直ちに合体してガイキングになります。かといって、収納のために分離するのかというと、分離しなくても大空魔竜には余裕で収納できます。
じゃあなんで合体するのかと言えば、おもちゃのためです。
マジンガーZの商業的成功以来、ロボットのおもちゃとロボットアニメは切っても切れなくなりました。そこに一石を投じようとしたのが「新世紀エヴァンゲリオン」で、放送前に庵野氏は、「おもちゃを出せないロボットアニメを作った」というようなことをアニメ誌で語っていました。今ではプラモとか色々出てますが、エヴァンゲリオンのデザインは、おもちゃ向きではないです。
ともかく、おもちゃを出す都合上、ロボットアニメの主役ロボには、おもちゃで再現できる合体や変形が必須なのです。
そのため、大抵の主役ロボは、移動用に飛行機になったり、戦車になったり、コクピットブロックが分離して活動できたりするのです。
ただ、そのギミックを本編で活かせるかというと難しい場合もあって、「闘将ダイモス」では、巨大トレーラー・トランザーがダイモスに変形しますが、トランザーが活躍する場面はありません。
竜崎一矢ががコクピットとなる自動車トライパーでトランザーに乗り込むと、すぐにダイモスに変形するからです。トランザーの出番は、ジャスティーンのシークェンスだけです。全編通して、トランザーのまま活動したのは、最終回で敵基地の中心部めがけて疾走した時だけでした。
ガイキングの無駄合体は、そんな徒花の1つです。もっとも、ガイキングの場合は、マジンガーZや「ブロッカー軍団Ⅳマシーンブラスター」のような“コクピットブロックの合体”と言えなくもないので、難しいところですが。
なんでこんなことを書いているかというと、前々回「宇宙大帝ゴッドシグマ」について書いたから。
空雷王、海鳴王、陸震王の3体合体か、ビッグウイングも加えて4機合体かで、初めて議論されたんだよね、と思い出したんですよね。
同じような話題が出たのが、スーパー戦隊シリーズの「爆竜戦隊アバレンジャー」です。
後半登場のマックスリュウオーは、爆竜スティラコサウルスとダイノギャリーが合体したマックスオージャの手足に、バキケロナグルス(右腕)、アンキロベイルス(左腕)、ディメノコドン(右足)、パラサロッキル(左足)が合体したものですが、そもそもダイノギャリーの一部ともいえるのに独立した爆竜扱いされるランフォゴールドなどもくっついているため、“何体合体なのか”が話題となったのでした。
まぁ、言っちゃなんですけど、ランフォゴールドなんてただの槍なので、こんなん爆竜ですとか言われても困っちゃうんですけど。
武器を合体ロボのパーツとしてカウントするとなると、また話がややこしくなります。
例えば「勇者特急マイトガイン」のグレートマイトガイン・パーフェクトモードは、グレートマイトガインに、マイトガンナーという武器ロボットが合体したものです。マイトガンナーを手に持つこともできるので、パーフェクトモードの時は合体しているのは確実なのですが。
「忍者戦隊カクレンジャー」では、1号ロボ無敵将軍にツバサマルが合体すると、スーパー無敵将軍になります。これは、両肩を一旦分離してツバサマルの翼を挟み込んで両肩を再接続したもので、脇からツバサマルの翼が砲口として正面に向かっています。これが無敵キャノンという武器ですが、これは合体と言えますよね。
では、「百獣戦隊ガオレンジャー」のガオキングはどうでしょう?
ガオキングは、パワーアニマルが百獣合体で合体し、百獣武装で体のパーツを換装します。
右手のガオシャークをガオジュラフと換装すればガオキングスピアーという具合に、名前も変わります。
この百獣武装の中に、ガオキングソード&シールドというパターンがあります。
通常の百獣武装と違い、ガオキングから何も外さずにガオエレファントが変形した剣と盾を両手に持つ合体です。
手に持つだけなのに合体なの? という気もしますが、合体ロボ名がちゃんと変わるんですよね。
まして、劇場版にのみ登場のガオナイトは、最初からソード&シールドありきの6体合体です。
となると、単なる武器に見えても、別メカの合体扱いということでいいのかなぁ、と思えます。
ちなみに、ガオキングには、ガオキングスピアー&シールドという、左手に盾だけを装備するパターンまであったりして、もうわやくちゃです。このモードの時は、エレファントソードがどこかに落ちているわけですから。一応生命体扱いのガオエレファントが真っ二つになるだけでもびっくりなのに、その片方を放置しておくとか、もう何を言えばいいのか…。
こんな具合で、武装合体は、定義が難しいです。
中には、「轟轟戦隊ボウケンジャー」のダイボイジャーみたいに、元々1つの巨大車両メカが一旦5つに分割されて人型に合体するというパターンもあります。
パイロットこそ5人いて、メカにも5つナンバーが振られていますが、活動する時は常に1つのメカです。これって、合体? それとも分離変形?
「惑星ロボ ダンガードA」は、サテライザーが3つのメカに分離し、組み方を変えてダンガードAになります。3つのうち名前があるのはガードランチャー(ヘルメット)だけで、頭部・胸部・腕部になるメカ、腹部・腰部・脚部になるメカには名前がありません。
ガードランチャーがメインコクピット、下半身になるパーツの先端部にサブコクピットがあり、それぞれにパイロットが乗っています。変形の都合で一旦3つに分離しますが、すぐに合体するので、単独で動くことはありません。
ダンガードAの場合、ガードランチャーなしでも、サブコクピットでフルコントロールが利きますので、最悪2機合体状態でも完全な性能を発揮できるようです。なにしろガードランチャーには一切武装がないので。
ダンガードとは逆に、ほんのちょっとの違いでも、能力に大きな差が生じる場合もあります。
「超獣機神ダンクーガ」は、“兜かぶって下駄はいて終わり”と言われました。
イーグルファイター(頭部)、ランドクーガー(左足首)、ランドライガー(右足首)、ビッグモス(それ以外)という、非常にバランスの悪いパーツ構成だったからです。
パッと見では、頭部が違うくらいしか気付かないんじゃないかってくらいです。
けれど、一応合体したことがわかるくらいの変化はありますし、そもそも操縦者の人数だって違います。
では、ゴーディアンはどうでしょう?
「闘士ゴーディアン」では、主人公ダイゴが小型ロボ・プロテッサーの中に入り、それが中型ロボ・デリンガーに入り、更に大型ロボ・ガービンに入るという特殊な合体をします。
作中では、「合身」と呼ばれましたが、言ってみれば、パワードスーツの重ね着のようなものです。
ゴーディアンとガービンは、性能は違いますが、外見は全く同じです。
「六神合体ゴッドマーズ」では、ガイヤーはスフィンクスの胴体内に収納され、外からは見えません(当時の超合金では、ゴッドマーズのマスク部分からガイヤーの顔が見えますが)。ガイヤーを人型のコクピットメカと考えれば、バイファムのコクピットポッドと大して変わりません。外からは見えなくて、単体で移動・戦闘ができると言えば、同じ括りに入れられそうです。
もっとも、当時鷹羽は、ゴーディアンやゴッドマーズを合体ロボとして素直に受け入れていました。
おもちゃ的に、その収納がちゃんとしていたからです。
ゴッドシグマについては、三体合体+αと考えていました。
ゴーディアンと似て非なるものが、「勇者エクスカイザー」です。
実は鷹羽、「エクスカイザー」は、敵のマヌケさが好きで見ていたのですが、主役メカであるエクスカイザーの合体が好きではありませんでした。
車から変形したエクスカイザーは、キングローダーと合体してキングエクスカイザーになります。
この合体は、キングローダーが変形したキングエクスカイザーのボディに、エクスカイザーがすっぽり入ってしまうというものです。
アニメでは、収納されたエクスカイザーの顔がせり出してきてキングエクスカイザーの顔になります。その上で、口元をマスクパーツで覆うことで顔の変化をつけていました。本来、顔のサイズが合わないんですけどね。
おもちゃの方では、エクスカイザーを収納することでキングエクスカイザーの顔が出てくるというギミックがあったそうです。なかなかよくできています。
じゃあ、なんで鷹羽がキングエクスカイザーの合体が嫌いだったかというと、まずマスク部分のスケール感、それからキングエクスカイザーの胸のライオンの顔です。
エクスカイザーの胸にあるのと同じ顔がキングエクスカイザーの胸にもあるのです。
せっかく合体したのに、目立つ意匠をわざわざ残して変化に乏しいことが気に入りませんでした。
これは、ガービンがゴーディアンと外見一緒というのとは違います。鷹羽は、デリンガーとガービンのボディが同じデザインになっているように感じたのです。
今となっては、デザイン的な統一感を出すためにやっていたんだと納得もできます。
あの頃は若かった…。
収納合体といえば、やはり「地球戦隊ファイブマン」のマックスマグマも外せません。
1話から登場していた基地:マグマベースがスーパーファイブロボを収納しつつ巨大ロボになる! ほとんど腰までしかないような形ですが、一応人型っぽくなります。
マグマベース形態でもファイブロボの分離したメカを収納し、スロープで発進させるなどのプレイバリューもありました。
1990年当時で16,800円。バブルの生んだ徒花ですね。
今後も、色々と工夫を凝らした合体ロボが出てくることでしょう、
大まかな道筋は既にできていますから、あとは変化球で攻めるだけ。どんな無茶な変化球が来るか、怖いですねぇ。
ちなみに、ゲッターロボは、ゲッター1,ゲッター2、ゲッター3の重量がそれぞれ異なることで有名です。
合体したゲットマシン3機の重量を足すとゲッター3の重量になり、ゲッター1とゲッター2はそれより軽いのです。
その点について、“ゲッター1とゲッター2の時は反重力を使って重量軽減を行い、その分パワーが低下しているのではないか、ゲッター3は反重力にエネルギーを回さない分パワーがあるのだ”という推論を見たことがあります。
ゲッター1は反重力で空を飛ぶので、そういった機能がある可能性は十分あります。
問題になっているのは質量ではなく重量なので、合体メカの重量と合体後の重量が合わなくてもおかしくはない、と。なるほど。




