34 脇役が綴る大河ストーリー(ホリイ・マサミ)
平成ウルトラマンの第1作「ウルトラマンティガ」は、主人公ダイゴ役として、V6の長野博さんが出演しました。
当初、その情報を知った時には、“ウルトラにジャニーズ!? 真面目にやる気あんの!?”と怒ったものですが、始まってみれば好演されていて、杞憂に終わりました。
ただ、やはり本業の方が忙しいのか、出番はあまり多くなく、“新1号編の本郷みたいだなぁ”と思いました。本郷猛役の藤岡さんが忙しく、“一文字隼人がピンチになると滝が助けに来る、滝がピンチになると本郷が助けに来る”と言われたりするんですよね。本郷の出番が少ない分、滝が活躍するわけです
同様に、「ティガ」では、ダイゴの出番が少ない分、GUTSのほかのメンバーの描写が掘り下げられることになりました。
また、平成ウルトラでは、制作された時期の関係で、ストーリーに継続性があります。物語の縦糸というか、年間通して全体の物語が進んでいくという傾向もありました。
例えば、ダイゴとレナの恋物語が回を追うごとに進んでいって、ラストで結実したように。
そして、非常に感慨深いことに、脇キャラも恋物語が進んでいったのです。
それが、GUTSのホリイ隊員です。
ホリイは、小太りの関西弁キャラで、発明家としての側面を持つ科学者隊員です。一部で“平成のイデ”とも呼ばれているようですね。
ホリイの物語は、11話「闇へのレクイエム」から始まります。
この話では、ホリイの大学時代の友人サナダ・リョウスケとイジュウイン・サヤカが登場します。
サヤカは、ホリイのかつての想い人であり、リョウスケに遠慮してホリイが想いを隠した、という関係でした。
リョウスケは、生物の肉体を大幅に強化するエボリュウ細胞の研究をしていて、自らの体を使って実験してしまいます。
周囲の期待とプレッシャーに押しつぶされ、成果を求めた結果でした。
けれど、エボリュウ細胞には、大量の電気エネルギーを吸収し続けないと生きられないこと、理性を失うこと、という大きな欠陥がありました。
理性を失い、怪獣エボリュウとなって暴れるリョウスケに、サヤカは叫びます。
「ホリイくんは、足も短いし、太ってるし、つまんないギャグ言うし、欠点だらけの人間よ。
でも、欠点だらけでも、みんなから愛されてる」
と。目の前でいきなり「足短いし!」とか言われて「え!?」って顔でサヤカを見るホリイが楽しいシーンです。
結局、リョウスケは、エボリュウとして散ることになりました。
リョウスケを失ったサヤカは、後に再登場することになります。
そして、22話「霧が来る」では、エザキ・ミチルとの出会いが描かれます。
連絡が取れなくなった山奥の研究施設の調査に向かったホリイが出会ったミチルは、4話「サ・ヨ・ナ・ラ地球」で怪獣リガトロンに飲み込まれて死んだエザキ博士の娘でした。
幼い頃から父と確執があり、かつて父がいた研究室で自殺するつもりでやってきたミチルは、ホリイと共に怪獣マグニアの寄生体から逃げるうち、ホリイの“絶対に諦めない”という心の強さに惹かれ、事件終結後、ホリイにキスして去りました。
その後、ミチルはホリイとお付き合いするようになっていて、47話「闇にさようなら」で再登場します。
ただし、ミチルは、デートでお好み焼き屋に連れて行かれて“もっといいところに連れていって”と不満を漏らし、さらに、毎回デート中にGUTSからの呼び出しを受けたホリイに置いていかれることに、自分を大事にしてくれていないのかと怒りと焦りを感じています。ミチルの中では、ホリイはとってもかっこいい人なので。
デートを放り出すたび、ホリイは「これがわしの仕事や」と言っているのですが、ミチルは“仕事とあたし、どっちが大切なの?”という不満を持っているのです。
そんなことが重なり、ミチルがホリイの気持ちに不安を感じてきた頃、ホリイが、ミチルの職場である宇宙開発センターにやってきました。
「この前の埋め合わせに来てくれたの?」と甘えてみても、「もちろん仕事や」と答えつつ、知り合いらしい美人と連れ立って歩くホリイに危機感を募らせるミチル。
ホリイは、今回の事件にエボリュウ細胞が関わっているのではないかと疑い、調べに来たのでした。そして、サヤカもまた、リョウスケが死に至る原因となったエボリュウ細胞について調べていたのです。
そんな中、研究所を怪獣メタモルガが襲います。メタモルガは、エボリュウ細胞を移植された猿が変化したもので、復讐に来たのです。
サヤカの動向を気にしていたミチルは、研究資料を持って避難するサヤカを手伝おうとしたため、一緒に書庫に閉じ込められてしまいます。
怨嗟の思念をまき散らしながら進むメタモルガを阻むため戦うティガ。
閉じ込められた2人を救い出すため、ドアを焼き切ろうとするホリイ。
このままではホリイも危ないと、逃げるよう言うミチルに、ホリイは
「だが、逃げ出すわけにはいかん。
これが、わしの仕事や」
と答え、作業を続けました。
ミチルは、ホリイが「わしの仕事や」という言葉に、文字どおり命を懸けていたことを知ったのです。
ちなみに、このエピソードはダブルヒロインになっていて、サヤカの方にも決着が描かれています。
サヤカは、脱出途中で崩れた天井に巻き込まれてホリイとミチルが意識を失った後、メタモルガを後ろから羽交い締めして進行を止めるエボリュウ(=リョウスケ)の亡霊を見たのです。
エボリュウの亡霊は、サヤカにしか見えませんでした。もしかしたらティガには見えていたかもしれませんが、突然動きの止まったメタモルガを見て、ムナカタは「どうしたんだ?」と驚いています。
エボリュウの亡霊が現れた理由が、サヤカを救うためだったのか、エボリュウ細胞による悲劇を止めるためだったのか、それはわかりませんが、メタモルガを止めただけでエボリュウの亡霊は消えました。
このエピソードでホリイとミチルは結婚しており、EDの画像は2人の結婚式になっています。
そして時は流れ、「ウルトラマンダイナ」35、36話「滅びの微笑」にホリイ一家が登場します。
「ティガ」の時代からは7年が経っており、2人の間には長男ツグム、長女ミライが生まれています。
このお話では、六甲に仕事で来ているホリイが休みを取って妻子を呼んだところ、シンジョウの乗った宇宙船が行方不明になったために休暇返上したという状況になります。
一流ホテルに泊まることになったにもかかわらず、夕食がお好み焼き屋だったことに文句を言う子供2人。
「お母ちゃんは綺麗やのに、お父ちゃんはかっこ悪い。なんで結婚したん?」というミライの無邪気な比較が涙を誘います。
ですが、それに対してミチルは
「お父ちゃんは素敵な人よ。そのうち2人にもきっとわかるわ」
と答えているのが、これまでの付き合いを踏まえていていいなぁと思えますね。
その後、ホリイがミチルに詫びの電話を入れた際も、「これがわしの仕事や、でしょ」と返していて、夫の仕事に対する理解を見せています。
ジオモスとの戦いに、強化改造済みのガッツウイングを用意し、保管していたGUTSの隊員服を着込んでシンジョウと共に出撃するホリイ。
ホリイのガッツウイングは、ジオモスが自己進化したネオジオモスを、スーパーGUTSのガッツイーグルと、西アジア支部から応援に呼ばれたムナカタのガッツウイングEX-J、ダイナと協力して倒しました。
凱旋してきたスーパーGUTS隊員と並ぶ元GUTS隊員──その中にホリイの姿を見たツグムとミライは、「お父ちゃんや! 僕のお父ちゃんや!」「最高やー♪」と叫びます。
一度はダイナが敗れたほどの怪獣を倒したメンバーの中に父がいる…それは、幼い2人にとって、かっこ悪い父が“強くてかっこいい父”になった瞬間でした。
2作品を通して描かれたホリイの物語は、こうして完成したのです。
「ウルトラマンティガ」
1996年放映。「ウルトラマン80」終了以来15年ぶりのテレビシリーズとなった。
それまでの世界観を完全にリセットし、近未来の、TPCという国連の延長のような組織によって世界が統合された時代を舞台としている。
超古代文明時代の地球人を守護していた光の戦士は、戦うための体を地球に残して宇宙へと帰っていった。
光の戦士の遺伝子を受け継いでいたダイゴは、ウルトラマンの体を手に入れてしまい、人知れず戦うことになった。
ウルトラマンティガという名前は、超古代文明当時の名前だが、GUTSで呼び名を付けようとした際に、ダイゴが“ティガの地の巨人”という意味合いのフリをして名付けたため、GUTSにおいてもその名で呼ばれることになる。
ティガは、青系統の色が入り、タイプチェンジする初めてのウルトラマンである。
模様が紫と赤で、スピード・パワーのバランスの取れたマルチタイプ、模様が紫のみでスピードに優れるが非力なスカイタイプ、模様が赤のみでパワーは強いがスピードに欠けるパワータイプの3種類を、状況に応じて使い分ける。
世に数あるタイプチェンジの中で、全体としての模様は変わらず、模様の色配分だけが変わるというのはティガだけである。
ティガは、抜け殻の体にダイゴの精神が入り込んだ形であるため、ティガの意識といったものは存在しない。ただし、初めて変身した際にもタイプチェンジしていることなどから、何ができるのかはなんとなくわかるらしい。
初めての変身を解いた後に残ったスパークレンスは、ダイゴの肉体を光に変換するシステムであり、マサキは「光遺伝子コンバーター」と呼んでいた。
最終決戦において、スパークレンスは石化して崩れ去っている。
マサキが残した光遺伝子コンバーターのデータは、後に“人間を光エネルギーに変換するシステム”に応用されているものと思われる。
「ウルトラマンダイナ」
1997年放映。「ウルトラマンティガ」の時代から7年後、人類が外宇宙進出を視野に入れ始めたネオフロンティア時代を舞台とした物語。
人類の宇宙進出を快く思わないスフィアとの戦いを縦糸としており、1話と最終章のほか数話で、スフィアが敵となっている。
火星でのスフィアとの戦闘で撃墜されたアスカが謎の光に包まれてウルトラマンダイナに変身できるようになったもので、ダイナがどういう存在であるかは、番組中ついに明かされなかった。
アスカが慢心した時に変身不能になったこと、ツグムが拾ったリーフラッシャーが「ダイナ」という言葉に反応して温かくなったことなどから、なんらかの自意識を持っていると思われるが、ダイナがアスカと会話するようなシーンはなく、名前もスーパーGUTSで付けただけで、本来の名前があるのかも不明。ティガのように石像からの復活でもなく、火星に出現していることから、超古代の光の戦士とも考えにくい。結果として、ウルトラマンシリーズ初の“正体不明の巨人”ということになった。
最終回、スフィアに光線を打ち込んだ後、発生したブラックホールに引き込まれて消えたため、生死不明で終わった。
注:あくまで番組内での描写を元にした考察であり、後に他の映画で、とか、小説で、などの情報は考慮していません。
ダイナも3タイプにタイプチェンジするが、ティガとは異なり、外見も能力も大きく変わる。
基本形態であるフラッシュタイプ、肉弾戦型で光線技を1つしか持たないストロングタイプ、各種超能力を使うミラクルタイプの3タイプになる。ダイナは、ティガがパワーからスカイなど自在に変化できるのと異なり、1回の変身でストロングタイプかミラクルタイプのどちらかにしかチェンジできない。ただし、タイプチェンジ後、フラッシュタイプに戻ることは可能。
「ダイナ」は「ティガ」の直接の続編であり、GUTSの元隊員は全員“ティガがダイゴだった”ことを知っている。
ティガの石像やイーヴィルティガの存在(人間が石像に宿ってウルトラマンになれること)、エボリュウ細胞、外宇宙を目指せるエンジン:マキシマオーバードライブなど、「ティガ」から引き継いだ設定は多い。
エボリュウ細胞
「ティガ」11話「闇へのレクイエム」、47話「闇にさようなら」、「ダイナ」39話「青春の光と影」に登場。
隕石から採取された細胞で、生物の能力を高めるが、やがて怪獣化させてしまう。エボリュウ細胞を移植された生物は、生存のために大量の電気エネルギーを必要とする。
リョウスケの死後も研究が続けられたが、「闇にさようなら」の一件で廃棄されたはずだった。
だが、実は廃棄されずに保管されており、「ダイナ」において悪用されることになる。
「霧が来る」
来るのは霧。麒麟ではない。というか、鷹羽は今年の大河ドラマのタイトルを聞くたびにこの話を思い出す。
マグニアの寄生体は水を避けるためミチルは1人生き延びており、調査に訪れたホリイ・ダイゴに救われた。どこまでも追ってくる寄生体に絶望したミチルは、父の最期のことを話しつつ励ましてくれたホリイに惹かれることになる。
なお、本編中でミチルが言っている“スーパーに主人公と恋人が閉じ込められて怪物に襲われるが、ラストは2人で希望に向かって歩き出す”映画というのは、1979年封切りの映画「ゾンビ」のことと思われる。
「滅びの微笑」
「ダイナ」35、36話の前後編。ホリイが終始メインで動き、シンジョウ、ムナカタといった元GUTS隊員がスーパーGUTS隊員を食ってしまっている回。
同時に、「ウルトラマン」の「怪獣殿下」のオマージュとなっており、神戸・大阪を舞台に
・前編でウルトラマンが怪獣に勝てず、変身アイテムを落とす
・子供がアイテムを拾って変身者に渡す
・怪獣に発信器を埋め込むも逃げられる
といった展開が共通している。
登場する怪獣ジオモス、ネオジオモスのバリアは、クラーコフから吸収したネオマキシマエネルギーで構成されているため、同等の反エネルギーをぶつければ破れる。ガッツイーグル、ガッツウイングだけではエネルギー量が足りないところ、応援要請により駆けつけたムナカタのガッツウイングEX-Jによって十分なものとなった。
この当時、「ダイナ」のEDは「ウルトラ・ハイ」になっていたが、前編では前期ED「君だけを守りたい」が流れる。また、後編では「ティガ」のED「Brave love,Tiga」のインストゥルメンタルバージョンが流れ、しかも画像はホリイ一家の団欒風景という、正にホリイ主役のお話だった。
なお、「ダイナ」が「ティガ」の7年後である以上、ツグムは7歳以下でしかあり得ないのだが、10歳くらいに見える。
ティガの石像
超古代文明時代の地球人を守っていた光の巨人が、地球人を見捨てて宇宙に帰っていった際に残した抜け殻。
“ティガの地”(と呼ばれる現在の東北地方)に3体隠されていた。
怪獣ゴルザとメルバによって2体が破壊され、最後の1体にダイゴが一体化したのがティガである。
ダイゴがティガになれたのは、彼が光の巨人の遺伝子を受け継ぐ者の1人だったから。
後に、熊本でも1体が発見され、光の巨人の遺伝子を受け継ぐマサキが一体化したが、力に振り回されて理性を失い、イーヴィルティガとなった。
経緯は秘匿されたものと思われるが、破壊された石像の破片については研究が続けられており、ゴンドウ参謀の手により、人が操る兵器としてのウルトラマン:テラノイドへと結実していく。
ゴンドウ参謀
TPCきってのタカ派幹部。
ウルトラマンの助けがないと怪獣や侵略者を倒せない現状を憂い、超大型戦艦プロメテウスや人造ウルトラマン:テラノイドの制作指揮を執っている。ついでに言うと、どちらも宇宙人に乗っ取られて裏目に出ている。
独善的で、常に憎まれ役として登場するが、彼なりに“人間の力による地球防衛”を模索しているだけであり、その根底には地球を守りたいという熱い想いがある。
最終3部作では、アスカから光エネルギーを奪って起動させたテラノイドがスフィアに乗っ取られて怪獣ゼルガノイドとなり、ダイナがエネルギー不足に苦しむ中、自らの体を光エネルギーに変え、ダイナにエネルギーを与えて死んだ。




