32 矛盾と伏線の消化(宇宙鉄人キョーダイン)
シナリオの矛盾とか伏線の未回収とかっていうのは、テレビシリーズや連載漫画ではそれなりに頻発するものではあります。
テレビ番組は、視聴率という巨大な敵の前に、路線変更を強いられることも少なくなく、スポンサーからの指示という強力な攻撃に涙を呑むことも多々あります。
そんな中でも、精一杯意地を張って、無理矢理伏線回収するようなこともあります。
「宇宙鉄人キョーダイン」という特撮ヒーローものがあります。
キョーダインはロボットヒーローであり、葉山讓治・竜治の人格・記憶をコピーしてはいるものの、人間に変身する機能はなく、顔面のシャッターを開くと画面があって、そこにそれぞれ讓治・竜治の映像を映すことができるに留まっていました。東映特撮では非常に珍しい“等身大の完全仮面劇”です。
そして、キョーダインは葉山博士から「花摘みの歌」というものを預かってきていました。この歌には、ダダ星からの侵略を防ぐための秘密が隠されており、この歌が何の鍵になっているのか、歌を解明できるという海堂博士を探すことが物語の重要な縦糸になるはずでした。
ところが、どういう事情か知りませんが、15話にして花摘みの歌の謎は解かれ、発見されたX物質を利用した武器が作られてしまいます。しかも、その武器はすぐ通用しなくなり、海堂博士も記憶を失って退場してしまいました。
しかも、15話以降、キョーダインはサイバグラフィーという“実体を持った立体映像”を作ることで、讓治・竜治の姿を作ってそこに人格を移せるようになってしまったのです。サイバグラフィーの讓治は「スカイゼルー!」と叫んで抜け殻のスカイゼルのボディを射出させ、「インダー・スカイゼル!」のかけ声でスカイゼルのボディに戻ることができました。もちろん、竜治の方も「スカイゼル」が「グランゼル」になるだけで、一緒です。こうして、仮面劇は終わりを告げ、変身ヒーローものになってしまいました。あきれたことに、サイバグラフィーの讓治が寒さで熱を出すなどというエピソードまであります。
ですが、スタッフは頑張りました。
物語終盤、強敵ブラックナイトとの戦いで、キョーダインはサイバグラフィーを作れなくなり、再び仮面劇に戻ったのです。
そして、最終回では、花摘みの歌のメロディーにダダ星の王:アルファタ・ダダーリンの自我を甦らせる力があることが解明されます。アルファタ・ダダーリンは、400年前に死に、その脳がダダ星の侵略コンピューターに組み込まれていました。侵略を求めていなかった王は、ダダ星ロボット軍団を滅ぼし、地球は救われるのです。
ちなみに、アルファタ・ダダーリンの脳はダダ星にあるので、地球に花摘みの歌を送っても、本来何の役にも立たないのですが。
たぶん、スタッフは、花摘みの歌を途中で放り出したことを悔やんでおり、何らかの形で花摘みの歌を切り札にしたかったのでしょう。
また、最終回では、本物の讓治・竜治が帰ってくるため、身代わりロボットとしてのスカイゼル・グランゼルはもう自分達の役目は終わったからと、ガブリンに特攻して自爆しています。これも、“本物の兄ではない”という初期の設定を活かしていますね。
路線変更は様々な要因で起こるものですが、多くは視聴率もしくは売上不振によるテコ入れですね。
テコ入れしたからといって、うまくいくとは限らないのがまたなんとも悲しいところですが。
「超人機メタルダー」では、1話から、敵:ネロス帝国のいわゆる“怪人”を30体以上登場させました。
いかにも大組織といった体裁にして、さらに組織内での人間?関係や軋轢をもネタにしたわけです。
「メタルダー」では、商品展開の主軸として、身長5cmくらいの可動フィギュアをラインナップしました。頭が横に、手が前後に回るのと、足の付け根と膝が曲がる程度のチャチなものです。ミクロマンを見習えと。
ここに、悪の組織ゆえの人間関係の悪さ──有り体に言えば足の引っ張り合いがほとんど──が加わり、売れ行きはひどいものでした。
そのため、ハードだった物語が、メタルダー側にコメディリリーフの北八荒を加え、メタルダーが人を殺せない──ヨロイ軍団員は殺せないため、トドメは刺さない──という設定を消してしまいました。
これで、前半のハードで重いドラマは消え失せ、中途半端に軽い展開になってしまいました。
“ネロス帝国大運動会”とか言われた時は頭を抱えましたが、CSで「メタルダー」を見た息子は、この話が大好きだったりしたので、子供に対するアピールは確かに上がったのでしょう。今では特撮を見なくなってしまった息子も、ネロス帝国の歌を聴くと喜びます。
こういった路線変更があった場合、よくあるのが伏線の未消化や消滅です。
というか、話の流れが変わってしまった以上、消化のしようがない、という羽目になるのが本当のところでしょう。
先に挙げた花摘みの歌なんかは、それでも頑張った方なのです。
アニメでもそういうのはあって、「勇者ライディーン」では、前半の敵幹部:プリンス・シャーキンが、主人公:ひびき洸の兄だという裏設定があったにもかかわらず、路線変更により単なる敵幹部として葬られました。
この辺は、ですね。敵に石化された洸の父が満月の光を浴びた部分だけ元に戻り、その間、ライディーンの同じ場所が動かなくなるという謎が提示されてあったり、テレパスな仲間がいたりしたのを、まとめて国外にお出かけさせちゃったりしたわけです。
以前にも書きましたが、「時空戦士スピルバン」では、敵組織:ワーラーに捕らえられていたスピルバンの姉ヘレンが、ヘルバイラという戦士に洗脳・改造され、お互い姉弟と知らないまま戦う、というドラマがありました。
ところが、同時期に放送していた「機動戦士ガンダムZZ」では、主人公ジュドーが、敵にさらわれた妹リィナを助けるべく戦うというストーリー、「超新星フラッシュマン」では、フラッシュマン5人とも幼い頃に別れ別れにされた両親を捜し求めるストーリーだったことから、スポンサーから整理を命じられ、メインの縦糸が家族捜しである「フラッシュマン」以外は、家族捜しはさせないことになりました。
そのため、リィナは事故死して退場(実は生きていて最終回に登場)し、ヘレンは再改造されて人間に戻ってスピルバンの仲間になり…、と、大きく予定が狂ってしまったのです。
鶴の一声って、本当にひどい。
ただ、そういう外的要因ヌキでも、路線変更というのはあり得ます。
そして、つじつまが合わないどころか、合わせる気がないことも。
鷹羽的にひどいと思う例を3つ挙げます。
1つは、漫画「ファイブスター物語」(永野護:著)です。
これは、アニメ「重戦機エルガイム」の放送終了時に角川から出たムックに、「エルガイム」でキャラデザ・メカデザを務めた永野氏が年表を書いたのが発端です。
元々永野氏は、「エルガイム」において、“過去に作られ、どこかに埋もれているロボットの方が、今のものより遙かに高性能である”という裏設定を作っていました。
後半の主役メカ:エルガイムMk-Ⅱの頭部は、発掘された過去の高性能ヘビーメタルのものだという裏設定なんかもありました。
そういった裏設定の部分を基に、舞台となったペンタゴナワールドの歴史を年表にしてムックに載せたところ、多分人気を博したのでしょう、それを基に新たに漫画を描くことになったんですね。
そうしてできたのが「ファイブスター物語」です。
手塚治虫氏の「火の鳥」みたいに、いろいろな時代を舞台に、その時代で起きる事件をスポット的に描く、というやり方をしたかったようですね。
その中では、「エルガイム」のような時代も存在することを、最初に年表として発表していました。というか、「エルガイム」で作った年表を基に、敵ボス:オルドナ・ポセイダルを基にしたキャラ:アマテラスを主役に据えた物語として再編したのですから、当たり前ですが。
その時代では、「エルガイム」の主人公ダバ・マイロードそっくりなコーラス6世が、ヒロインの1人:ファンネリア・アムそっくりな少女と出会い、主役メカ:エルガイムそっくりなジュノーンを探す物語になっていました。あ、ちなみに、その時代ではアマテラスは身を隠しており、敵は、アマテラスの影武者であるユーパンドラ・ライムです。倒される役ですから、アマテラスを使いたくなかったわけですね。
作者である永野氏は、「ファイブスター物語」を始めた際、「これはおとぎ話なんだから、何でもありです。主人公は本物の神様です。年表が唯一の縛りなんです」などと公言していました。
実際、かなり思いつきで、発表済みの部分を変更しています。
例えば、1巻の、クローソーとコーラス3世の出会いのシーン。
コーラス3世は、自分より早くスパッドを投げたソープの正体をアマテラスと見破りますが、その理由を「私より早くスパッドを投げられる者は星団に2人しかいない」と言っていますが、この台詞は、後に「何人もいない」に変えられています。
これは、当初、星団で1・2を争う騎士としてアマテラスとログナーが設定されていて、コーラス3世は彼らを指して「2人しか」と言っているわけですが、後に、同じ時代に黒騎士やら剣聖ダグラス・カイエンやらスパークやら、どう見てもコーラス3世より強い騎士を並べてしまったものだから、変更しないとコーラス3世が自惚れ屋の誇大妄想狂になってしまうのです。
まぁ、強さなんて相対的なものですし、“絶対的強者”なんて定義も難しいんですけどね。
“天位”なんていうわかりやすい指標まで作っちゃうと、“天位”を持っていない騎士は大したことないような感じになっちゃいますし。
アマテラスが率いるミラージュ騎士団の正式名称はF.E.M.Cで、“ファー・イースト・ミラージュ・コーア”とされていましたが、後に“ファースト・イースター・~”と変更されました。どうやら、誰かに「ファーイーストって極東、つまりド田舎って意味だよ」と言われて慌てて直したようです。
ロボットを示すモーターヘッドの綴りも、途中で変えられていますね。
この作者は、あまり深く考えずに動いて、後悔するタイプのようです。
まぁ、こんな変更は可愛いもので。
いつの間にか、年表は、いろいろなものが書き足されたり、書き換えられたりしていたのです。
例えば、“魔導大戦”は、最初の年表にはありません。おそらく、途中で出したダグラス・カイエンの最期を描きたいとか、そんな感じで増やしたのではないかと思います。
これらは、作者の中で“こういうのが描きたい”という部分が膨らんだ結果だろうと思います。
思いますが。
「唯一の縛りは年表だけ」と公言しておきながら、その年表を自在に書き換えられるのでは、意味がありません。
こういう部分、気にならない人は気にならないのでしょうが、鷹羽は駄目です。そんなわけで、途中から読むのをやめてしまいました。
2つ目の例は、「るろうに剣心」(和月伸宏:著)です。
今、ジャンプSQに連載されていますが、これ、元々は週刊少年ジャンプに連載されていました。
そして、剣心が無茶な戦いの末に体を壊し、トレードマークの逆刃刀を明神弥彦に譲って終わりました。
かつての宿敵であった斉藤一との決着は着けられないまま、“拙者達の前から永遠に姿を消した”と剣心の独白が入っています。
また、コミックス等に書かれた裏話的な部分として、弥彦と燕の間に生まれた息子と、剣心の息子:剣路との間で、逆刃刀の承継争いになる、という未来が語られていました。実際、読切「弥彦の逆刃刀」では、本編終了数年後を舞台に、成長した弥彦が逆刃刀を振るう姿が描かれてもいます。
ところが。
ジャンプSQで連載されるに当たり、逆刃刀は剣心の手に戻り、弥彦はレギュラーから消え、斉藤一は剣心と行動を共にするようになりました。
その上、十本刀の生き残り達や左之助まで再登場…。
連載終了時の余韻は全て滅茶苦茶になってしまいました。
商業作品ですから、そういうこともあるのでしょうが、作者が「こうなります」と明言したことは、読者との約束じゃありませんか?
それを、時間が経ったとはいえ、こうもあっさり反故にされると悲しいです。
せめて、新しいキャラで世界観を築いてくれていたら、まだ許せたかもしれなかったのに。
3つ目は、「さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち」です。
ヤマトの乗組員が次々と死んでいって、最後は森雪の死体を抱いた古代進がヤマトで超巨大戦艦に突っ込んでいくというラストは衝撃でした。
そして、エンディングテロップの最後に、「もうヤマトは作りません」という趣旨の文章が出たのです。これが感動に拍車を掛けました。
そりゃあ、ヤマトがなくなっちゃったんだもの、そうなるよね、とも思いますが、ヒーローものには、主人公が敵に特攻して相討ちになって終わる展開もそれなりにあり、“自分の身を犠牲に世界を救う”という決着には馴染みがあり、素直に納得したのです。
感動した鷹羽は、映画館の中で涙ぐんだほどです。
ところが、興行成績が良かったせいか、2ヶ月後には、テレビで「宇宙戦艦ヤマト2」が始まりました。
あの感動を返せ!
ひところは、際限なく次作が作られることを「末はヤマトかガンダムか」などと揶揄されたほどです。
「宇宙鉄人キョーダイン」
1976年放映。
ダダ星に攫われた葉山博士と2人の息子:讓治と竜治。
博士は、ダダ星の侵略から三男:健治と地球を守るため、息子2人の人格と記憶をコピーした身代わりロボットのスカイゼルとグランゼルを地球に送った。
1年前に放映された「アクマイザー3」と同じく、当初は“変身しないヒーロー”として描かれたが、途中で変身ヒーローに路線変更している。
ちなみに、東映特撮で主人公が変身しない等身大ヒーローというと、「ロボット刑事」と「特捜ロボ ジャンパーソン」くらいしか思いつかない。よそだと「ダイヤモンドアイ」があるか。
名前のとおり、スカイゼルは飛行機、グランゼルは車をモチーフにしており、スカイゼルの顔の脇には翼、胸にはエアインテークの意匠が、グランゼルの顔の脇にはタイヤ、胸には排気マフラーの意匠が、それぞれ施されている。
当初は、人間形態にはなれないが飛行機などに変形するのがウリで、スカイゼルはスカイミサイル、スカイジェット、グランゼルはグランカー、グランミサイルに変形することが出来、巨大メカに変形した敵ロボと巨大戦を行うのがフォーマットだった。だが、特撮の手間などの問題もあってか、途中からはほとんど変形しなくなる。
グランカーは、実物大で本当に走れるプロップが制作されているため、グランカーでダダ兵士を蹴散らすシーンや、グランカーに乗っかるスカイゼル、といったシーンも存在している。
スカイゼル・グランゼルのスーツは、上腕と太股が銀色なのだが、着ぐるみだと、この部分がラバーのような材質で鈍い銀色のものと、ラメ入りのグレーのタイツの2種類がある。
ラバーの方だと、ツルリとしたスカイゼルの上腕に対し、グランゼルの上腕は伸縮用の蛇腹のような横ラインが入っている。
後に、「仮面ライダーフォーゼ」の劇場版に、キョーダインをモチーフにした敵として、スカイダイン、グランダインが登場している。こちらでは、スカイダインが妹だった。
なお、「花摘みの歌」は、
柿にカボチャはカンナかな
マンゴまつたけマンダリン
栗に…
ライラックには…
ダリアだいだい…
イチゴといちじく…
ブドウ…
椿…
といった具合に、同じ音から始まる植物が並び、それぞれの頭の音をつなげると「かまくらだいぶつ」となる。
きちんとタネが仕込んであることから、おそらく、本来は中盤以降に鎌倉の大仏で何かするはずが、前倒しにしてX物質を発見することになったと思われる。
「超人機メタルダー」
1987年放映。
第二次大戦中、日本軍が研究していた戦闘用ロボット:超人機計画。
戦後、死の商人として世界の裏側で蠢いていたゴッドネロスに対抗すべく、古賀博士は、ほぼ完成していた超人機メタルダーを目覚めさせた。
メタルダーは、普段は人間形態:剣流星としてとして行動し、感情が頂点に達するとメタルダーに瞬転する。
その際、変身コードはなく、「怒る!」と叫ぶ。
変身前後で声が違うという珍しい方式で、時期によっては、変身前から変身後の声でしゃべったりもしている。
当時としては珍しかった等身大ロボットヒーローで、片腕を切り落とし、落ちた腕を投げつけるシーンなどもあった。
デザインは、左半身が赤、右半身が青の非対称で、同じロボットヒーローであるキカイダーを意識したものになっている。
武器を持たず、必殺技は前腕に超重力エネルギーを集めて手刀で斬るレーザーアーム。
武器のおもちゃが出せなかったことも、販売不振の理由であろう。
「重戦機エルガイム」
1984年放映の富野アニメ。
架空の銀河:ペンタゴナワールドを舞台に、自作の巨大ロボエルガイムを駆るダバ・マイロードが、独裁者オルドナ・ポセイダルを倒すためレジスタンスを率いて戦う物語。
キャラデザ・メカデザを同じ人がやる、というなかなか意欲的な作品で、一風変わったメカデザインは賛否呼んだ。
可動骨格に装甲を着けるという発想や、全周囲モニターは、次作「機動戦士Zガンダム」に受け継がれた。
ミクロマン
タカラが1974年から展開していた、テレビ番組に依存しない人形シリーズ。「小さな巨人」を売り文句に、身長10cmの可動人形を販売した。
遙か宇宙の果ての星が滅亡の危機に陥った時、カプセルで脱出した宇宙人達。彼らのうち何人かが地球に辿り着き、第2の故郷とすべく、こっそりと自分たちの街を作り始める。彼らは、星を覆ったガスの影響で、身長10cmの小人になってしまった代わりに強力な身体能力を得ていた。彼らは、自分たちを「ミクロマン」と呼んだ。
一方、地球に辿り着いたものの、ヘドロなど汚染された環境に落下した宇宙人は、脳に異常を来してアクロイヤーとなり、新天地を我が物とすべく行動を開始した。
…という物語。
ミクロマンは、色違いの4体を一度に発売する形式で数を増やし、新たなミクロマンが発売されるたびに、同梱された説明書によって物語が進展した。乗り物などの周辺機器や基地も発売されていく。やがて、磁石で手足を接続するタイタン、宇宙旅行中だったために難を逃れ自力で縮小した身長8cmのフードマンなど、別系統の人形も発売されるようになった。
テレビCMでは、「力は機関車より強く…」という、スーパーマンのパクりのようなナレーションだった。
「勇者ライディーン」
1975年放映。日本サンライズ制作のロボットアニメ1号。
古代ムー帝国が作り上げた神秘のロボット:ライディーンと妖魔帝国の戦いを描く。ライディーンは、ムー帝国の末裔であるひびき洸だけが操縦できる。
ライディーンは、普段は全身金色の“素体”と呼ばれる状態で神面岩の中に封じられており、洸の「ライディーン!」の声で岩が開いて姿を見せる。額に洸がフェードインすることで、色が変わって動き出す。
洸がフェードインする際、バイクに乗ってジャンプするが、乗り捨てられたバイクがどうなるのかという疑問が寄せられ、途中から、バイクがライディーンの腰部に収納されるシーンが追加された。向こうに着地じゃ駄目だったんだろうか。
ゴッドバードという飛行形態に変形して敵を貫くゴッドバードアタックが必殺技。毎回同じ必殺技を使うロボットは、ライディーンが初である。
元々が神秘のロボットだったが、テレビ局がオカルト否定だったため、富野監督は途中で降板させられ、長浜監督にバトンタッチした。
本文中で出したプリンス・シャーキンは、サンライズ美形悪役の嚆矢であり、仮面の悪役の元祖でもある。
「宇宙戦艦ヤマト」
1974年放映のSFアニメの金字塔。
西暦2199年の地球は、ガミラス帝国の侵略を受けた。地表に多数の核ミサイルを受け、地球は地下にしか住めない死の星となる。地下にも徐々に放射能汚染が進み、地球滅亡が目前となった頃、遥か14万8000光年離れたイスカンダル星から、“放射能除去装置を取りに来い”というメッセージと、取りに行くために必要な波動エンジンの設計図が送られてきた。
地球は、戦艦大和の残骸に波動エンジンを搭載して宇宙戦艦ヤマトに改造し、ガミラスの基地を破壊しながらイスカンダルを目指す。
1年以内に帰らないと地球が滅亡するというタイムリミット付きの航海であり、毎回ラストに、ヤマトの後ろ姿を映しつつ「地球滅亡まであと311日」などとナレーションが入って緊迫感を煽るのが常だった。
日本に「ワープ」という概念を植え付けたのは、この作品だったと思われる。
本来は、イスカンダルからの帰路も描かれるはずだったが、視聴率の低迷により半年で打ち切られたため、1話で帰ってくることに。
切り札である波動砲も、移動の要であるワープも、多大なエネルギーを消費するため、簡単には使えないというのがミソ。
“ワープ前だから、武器が使えない”などの制約が戦闘を盛り上げた。
波動砲発射までのシークエンスには、異様な高揚感がある。「総員、対ショック、対閃光防御!」と言われると、心拍数が上がる人間は多い。
「さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち」
1978年公開の劇場映画。
テレビシリーズの物語の1年後を舞台に、白色彗星帝国との戦いを描く。
白色彗星の前に地球艦隊が全滅し、唯一残ったヤマトが決死の戦いを挑む。次々と犠牲を出しながら白色彗星を破壊したヤマトの前に、超巨大戦艦が迫る。古代は、森雪の死体を抱いたまま、満身創痍のヤマトで超巨大戦艦に特攻し、相討ちとなった。