22 白き地図人“風巻く光”を示す(マップス)その1
今回は、みわかず様のリクエストです。
あまりに情報量が多いので、最低限の知識と二度のOVA化の話題に絞りました。
なお、手元にコミックスがない状態で書いたので、細かい台詞が違っているところがあるかもしれません。それと、わかりやすくするために敢えて一部省略した台詞もあります。
ご了承ください。
「マップス」という漫画があります。
1985年に創刊した「SFアニメディア」という雑誌の創刊号から連載されました。「SFアニメディア」は後に「コミックNORA」に変わり、連載は約10年にわたって続きました。
銀河の存亡を巡る戦いという滅茶苦茶大きく広げた風呂敷を、きっちり畳んだ作品で、個人的には、SF漫画の金字塔だと思っています。
当初読み切りとして書かれた第1話の内容はこうです。
地球に住む普通の高校生:十鬼島ゲンは、ある日、ガールフレンドの君塚星見と共に、天使のような形の宇宙船に攫われた。
宇宙船リプミラ号の中にいた女宇宙海賊はカリオンと名乗る。ゲンは伝説の「さまよえる星人」の末裔であり、ゲンがいることで“風巻く光”は姿を現すという。
リプミラ号を追ってきたニュウ・エイブとの戦いでリプミラ号がボロボロになっていく中、カリオンはゲンに真実を語る。彼女の本当の名はリプミラ。リプミラ号の頭脳体だ。カリオンは、既に亡い彼女の主だった。リプミラは、カリオンの「“風巻く光”を探せ」という命令に従って動いていたのだった。「いつ終わってもいい旅だった」と言って敗北を受け入れようとしたリプミラだったが、辛くも勝利して秘宝を手にした。
だが、秘宝とは、さまよえる星人の旅の軌跡とも言える星図でしかなかった。リプミラは、伝承の意味が「白き地図人“風巻く光”を示す」、つまり、“風巻く光”とはゲン本人のことだったと気付き、ゲンの船として生きることを決意した。
「マップス」は、元々若干コメディ寄りの作品で、ここに登場しているニュウ・エイブは、シルエットが超人ロックで、顔がぐるぐるめだまのイタズラ書きのような超能力者です。しかも、所属している組織は「秘密結社スペースパトロール」。公的な司法機関ではなく、宇宙征服を企む秘密結社だったりします。
後に円卓防衛戦に乱入したとき、「スペースパトロール!? あのどちらの勢力にも属していない秘密結社か!」とか驚かれて、コマの外に「初めてこの漫画読んだ人はどう思うやら」とか書かれていました。
ちなみに、ニュウ・エイブの名前はニューウェーブから来ているわけですが、奥さんの名前はニュウ・スソクホウさんといいます。ニュース速報ですね。「Dr.スランプ」の摘詰角田野廷遊豪さんを思い出します。
この1話では、リプミラは、銀河に伝わる伝承
「時凍てつき大地に間ある時、白き地図人 "風まく光" を示す」
に従って地球にやってきました。
前半は“時間が止まって地球が真っ二つに割れる”ということなのですが、後半の解釈がキモになっています。
リプミラは、“地図人が、秘宝「風巻く光」を示す”と理解し、ゲンのことを地図人と呼んでいます。実際、星図のありかはゲンの全身のほくろの位置を解析して見付けました。
ですが、この解釈は誤りで、本当は“何にも染まっていない「風巻く光」という人が見付かる”という伝承だったのです。
4話「その名はダイナック」において、全編通しての宿敵となる伝承族の幼体ガタリオンと対峙したゲンは、自分が伝承に謳われた勇者“風巻く光”であると知ります。ここからゆっくりと勇者ダイナックの物語が進行していくことになります。
ただし、このエピソードでは、ゲンは幽閉されていた多くの星の要人を救い、「ゲンです、十鬼島ゲン。今のところは」と名乗っています。
この4話で、マスコットキャラのツキメ(実は惑星ジャンバの王子:ミンにょろ・にゅぐ・かーみゃこす)が加わり、ゲン側のキャラは一応勢揃いです。ゲンは、この後数話にわたって星間戦争を止めたりと活躍したため、噂が一人歩きし、“海賊船リプミラ号を乗りこなした宇宙商人ゲン・トーキジャマと、それに従う怪獣使い、高重力怪獣、超能力者”というなんだか凄い集団と思われていました。
1話で、リプミラ号の本体中心部にあった全長300メートルの天然ダイヤの柱は、戦いの中で囮として放出し、回収されていません。
つまり、その後、リプミラ号は内部に巨大な空洞を持っているんですね。
後に、その空洞には、元々星の涙という武器が収納されていたことが明かされます。星の涙は、長く伸ばした水滴型の槍で、一撃で惑星を破壊できる威力を持つリプミラ号最大の武器でした。1話の段階で、そんなネタ考えているわけがなく、後で“そういや空洞があった。武器が入ってたことにしよう”とかって考えたんでしょうね。
この作品、というか作者のすごいところは、当初何の気なしに出したキャラや設定が、後で伏線として機能している点なんですね。
さて、リプミラについては色々と説明がいるでしょう。
「マップス」の世界では、多くの宇宙船で、メインコンピュータをアンドロイドとして独立させています。金属の骨格を生体細胞で覆ったそのアンドロイドは“ビメイダー”と呼ばれ、脳波(のような電波)で船体を遠隔操作できます。
この「ビメイダー」…「be mader」という名称は作者の造語で、自然発生人と区別される存在として描かれることが多いです。
「マップス」世界では、“その方が使い勝手がいいから人型をしているだけの機械人形”と蔑んでいる人もいたり。ビメイダーの死は、単に“道具が壊れた”レベルで扱われています。このことも、後の伏線として作用します。
リプミラは“リープタイプ”と呼ばれる“進化する”機体です。
船体が壊れると、頭脳体が自分の中の設計図を元に、周囲の元素から船体を再生しますが、その際、独自の改良を加えることが可能で、戦闘で大破した場合、受けた攻撃を分析して自分の武器として取り込んだり、それに対抗する防衛装置を組み込んだりといったこともできるのです。
頭脳体の肉体が破壊されても、頭部のコア(電子頭脳本体)が無事なら、船体に内蔵された頭脳体再生装置で一瞬にして修復できます。コアが破壊された場合、船体の持つ設計図によって頭脳体を再構築しますが、記憶は継承できずに失われ、子供の姿で再生されて一からのスタートとなります(船体の設計図は承継される)。
この性質によって、リープタイプは頭脳体と船体が同時に破壊されない限り、完全な死はないということになるのです。もっとも、記憶が受け継がれない以上、それは別人でしかないのですが。
当初、リプミラは、自分をカリオンが造った船だと思っています。「リープタイプ」という呼び名が出るのは、同系統の船:五人の幽霊船が現れてからです。
リプラドウ、リプダイン、リプレイン、リプシアン、リプリムの5隻は、それぞれ頭脳体がラドウ、ダイン、レイン、シアン、リムとなっています。なぜリプミラだけが「ミラ」じゃないのか? いえいえ、「ミラー」だったんです。カリオンが、ミラーの死後に再生した頭脳体を「リプミラ」と呼ぶようにしたのです。
カリオンは、卓越した予知能力を持っていて(それゆえ伝承族の協力者としてスカウトされた)、伝承族が後に行うことを知ってしまい、恋人だったミラーと、仲間のランザックとその恋人レインと、二手に分かれて逃げました。
ミラーの追っ手にはシアンとリムが、レインの追っ手にはラドウとダインがそれぞれ赴きます。ミラーは、星の涙を使ってシアン・リムを撃破するもミラー自身も深手を負って死亡。カリオンが手動でリプミラ号を操作し、逃亡に成功しました。後に、再生された頭脳体を「リプミラ」と名付け、(予知した)自らの死を乗り越えられるよう、優しかったミラーとは違う荒々しい海賊として育てました。
一方、ランザックを殺しレインを捕らえたラドウとダインは、ミラーを探したものの、発見できたのは宙を漂う星の涙だけで、シアンもリムも行方不明。ラドウは、レインの意思を封じ、星の涙をリプレイン号に収納させて引き上げます。
これも後に明かされることですが、リープタイプは、銀河を影から支配している伝承族によって、20万年前に作られた船でした。目的は、銀河に生命の種を振りまくこと。独自進化する特性は、どんな環境の星域でも活動できるようにと付けられたものでした。…表向きは。
実は、リープタイプを作った伝承族は、伝承族の族長である神帝ブゥアーに反逆するための武器とするつもりだったのです。
10万機作られたリープタイプは、たった1隻の武器を作るためのカモフラージュでした。
その計画はバレてしまい、反逆を企てた者達は処刑されました。そして、10万機のリープタイプも、手足として使うための6隻(六人の幽霊船)以外は処分されたのです。この辺りの事情も、後でどんでん返しが待っています。
上で述べた、当初何の気なしに出したキャラや設定が、後で伏線として機能している例をもう1つ挙げましょう。
幽霊船の1人ダインは、色以外はリプミラそっくりです。2プレイヤーキャラのようです。
当初、リプミラに化けてゲンに近付きましたが、あっという間に見抜かれてしまいました。でも、ダインがリプミラそっくりなのは、リープタイプの頭脳体を作るとき、外見情報をランダムで決めた結果、たまたまそっくりになっただけだったという情報が後に出てきます。「リプミラの偽物ってわけじゃないんだろ?」というゲンの言葉に激しく動揺するダイン。ダインが求めていたのは、“リプミラのそっくりさん”でない自分を見てくれる者でした。ラドウは、ダインをコマとして使うために、そのコンプレックスを上手く刺激していたのです。ゲンという“既にリプミラのものである”理解者を得てしまったことで、ダインは精神のバランスを崩し、円卓決戦の際、ラドウに反逆して勝利のきっかけとなるのです。
おそらく、ダインの設定段階では、こんなキャラになる予定ではなかったはずです。リプミラに化けやすいキャラとして外見を作っただけだったでしょうに、後々無理なく理由付けをしてくれました。
こういうのが多いんですよ、この作品。
状況説明ができたので、そろそろ本題にいきましょう。
「マップス」は、2回OVA化されています。
なにしろ長いお話である上に、常にいくつもの勢力の行動が同時進行していますから、アニメ化しようと思った時にはどこを切り取るか難しいですよね。
例えば前述の「その名はダイナック」を含めてアニメ化するとしましょう。
そうすると、勇者伝説に触れてしまいます。ということは、伝承族とはなんぞや、その目的は? という話になりますね。
それやると、延々続いちゃうんですよ。かといって、変なところで区切ったり、伝承族の目的を変えると、ショボくなっちゃいます。「戦いは続く」で終わると、ジャンプの打切マンガみたいです。余韻が残る形で「戦いは続く」をやるのは、結構難しいんです。
「マップス」の場合、映像化して面白そうな話というのは、大体がダイナック伝説絡みです。つまり、映像化したら面白そうなネタなのに、実際したらショボくなる原因になってしまう。アンビバレンツです。
未完結の長編漫画をテレビアニメ化するときと同じような悩みですね。ギャグやコメディならいいですけど、ストーリー性が強いお話ほどやりづらくなります。
どこでどうやって終わらせるか。今時の、適当なところで終わらせてまたシーズン2をやる、というのもアリですが、いずれにしても一旦締めるには、それなりのエピソードが必要ですから、シリーズ構成が大変です。
期間としては同じでも、1年続く番組と、半年×2でやるのとでは、方法論が違います。
半年ごとに終わらせるには、やはり第1部最終回が必要なわけで。
いい例が「ガンダムOO」や「鉄血のオルフェンズ」です。
第1期のラストをそれなりに盛り上げるため、レギュラーキャラを殺したり、主人公に重大な傷を負わせたりしています。第2期では、それが足枷になってなんだかすっきりしない流れになったり。
「マップス」で、後に引かなそうな話で面白そうなのをピックアップすると、1~3話と5話「トラベラーの報酬」、7話「歌う流星」くらいなんですね。
見事に序盤ばっかり。
1話「地図は白かった」は前述のとおり。2話「P.S.地上より永遠に」は、リプミラとの地球での日々と、宇宙への旅立ち。
3話「天使の報復」では、カリオンの仇である伝承族ギルディオを倒します。ここで初めて伝承族が登場します。そして、決して倒せない相手ではないことも証明されます。
5話「トラベラーの報酬」では、当面の宿敵となる死の商人ガッハ・カラカラが登場します。
惑星イスナと惑星ベニュアスの星間戦争を防ぐためにベニュアスから大使として派遣されたジャルナ王女を殺そうとするガッハと、成り行きからジャルナを守るゲン、という構図です。
結局、ジャルナは無事イスナに辿り着き、ガッハは「これ以上やると、赤字になるからな」と引き下がるのです。
ラストでは、ゲンがジャルナから礼を言われ、「俺なら、死にたくなくてやってただけだから」と照れ隠ししています。
ジャルナは、この後二度とゲンと会うことはありませんでしたが、ゲンの力を心から信じる存在として、作中に何度か登場します。
ちょうどゲンが、ダード・ライ・ラグンに攫われたリプミラを助けようと奮闘している頃、「どうせまたどこかで女の子を助けてます。私の時だって、そう。私を助けようと一生懸命になってくれただけ。戦争なんか、ついでに止まっちゃっただけ」と述懐しています。
この話は、ガッハの退場が中途半端ではあるものの、ジャルナがその後のストーリーに関わらないので、アニメ化向きなのです。実際、二度目のOVAでは、このエピソードが映像化されています。
一方、8話以降では、アニメ化に向くエピソードがありません。それは、8話から始まる生贄砲のエピソード以降、ゲンがダイナックとして立ち回り始めるせいです。
生贄砲のエピソードでは、ゲンが“さまよえる星人”の力でガタリオンの幻覚を無効化して撃退します。
勇者ダイナックを謳った伝承のひとつ「風は翼に乗り翼は風に乗る かの地 4枚の地表を持つ星にて 苦しみの刃 翼を割ることあれば注意せよ 風は光をもってその証を天になすであろう」の実現でした。
生贄砲とは、生物を殺し、その断末魔の苦しみをESP波として取り出して増幅し、破壊エネルギーとして発射する武器です。
“断末魔の苦しみ”という生物全てに共通する感情を使うことで、あらゆる生物を弾とすることができるという画期的な兵器です。ネズミくらいの小さな動物で、リプミラ号を大破させるほどの破壊力を生むのです。
このエピソードでは、生贄砲でリプミラ号を撃ち落としたガッハとゲンの生贄砲を巡る戦いに、調査に来ていた惑星ドドーのザザーンが絡んでリプミラと協力関係になり、更にガタリオンが介入し、大規模な幻影を使って生贄砲でガッハ達自身を撃たせようとしたところ、ゲンが幻影を打ち破り事なきを得る、というエピソードです。
1つのエピソードとして見ると、後に重要キャラになるザザーンの登場と、伝承族の幻覚がゲンに効かないという情報、ガッハが所持していたもう1枚の星図、生贄砲のシステムなど、後に繋がっていく重要な伏線が目白押しです。
特に、ゲンは、この一件で“勇者ダイナック”と期待されていくことになります。ドドーでは「我らが英雄ザザーンを救ったのは、幾多の星を救った大英雄だった」ともてはやされることになりました。
1回目のアニメ化(1987年)では、原作1話のラストを少し変えてそのまま宇宙に出て行く形にしました。単発ものだったこともあって、無難なデキだったと思います。
主題歌「天使は眠らない」を歌っているのは、「ドラゴンボール」ED「ロマンティックあげるよ」や「エスパー魔美」OP「テレポーテーション~恋の未確認~」の橋本潮さん。
「天使は眠らない」というタイトルからは、「マップス」原作の最終話のサブタイトル「暁に天使は眠らずに・・・・・・」との関連が仄見えますね。
2回目のアニメ化(1994年)は、4話構成になりました。
なんと、主題歌「風は翼に乗る 翼は風に乗る」は、原作者自らの作詞です。つーか、伝承そのまんまやん(^^)
キャラクターデザインは原作とは全く似ておらず、友人は「リプミラのコスプレした姉ちゃんが出てるビデオ」とか言ってました。
内容は、
ACT1「宇宙翔ける天使」は、原作1話をベースにそのまま宇宙へ
ACT2「トラベラーの報酬」は、上記のとおり原作5話「トラベラーの報酬」
ACT3「六人の幽霊船」ACT4「伝説の復活」は、原作11~34話から、六人の幽霊船のダイジェスト
となっています。
で、このACT3、4が問題なんですよ。
原作では、六人の幽霊船編は、途中にダードとの一悶着やガッハとの決着を挟みつつ円卓編直前まで続きます。
膨大な情報量とドラマです。その間に、ゲンはリングロドの爆発に巻き込まれて行方不明になったり。
これをね、前後編で何とかしようと思うのは、無謀なんですよ。
案の定、内容はめためたになってしまいました。
細かいところは省きますが、一番唖然としたのは、シアンの言動でした。
当初、リプミラに「造られし者なら、造りし者に従え!」とか言っていたのに、ラストでは、「ラドウたちに正義はない!」とか言ってリプミラに味方します。
言ってること矛盾してるやん!
原作では、シアンとリムは、ミラー追撃で行方不明になった後、ずっと放置されてきて、割と最近探し出されました。
そのせいもあって、シアンは、ラドウの居丈高で腹に一物ありげな態度に不信感を募らせており、ザザーンにわざと負けてみせることでラドウの本性を見極めようとしました。結果、自分達をコマとして利用しようとするラドウに反旗を翻すことになるのです。
そこに至るドラマ(ゲンと一緒に行方不明になったリムについて何か隠している)などを描かないから、めためたになるわけで。
うん、仕方がない面はあるけど、かなりがっくりしましたね。
ネタ的に無理があるんです。残念ながら。
でもね。鷹羽は、このOVAを認めないわけにはいかないのです。
あの主題歌があるから。
「世界の全てと競う それだけのこと きっとできるさ空の腕の中」
とか
「そして運命が行く手を阻んでも 己信じ奴は微笑む」
とか。
はっきり言っちゃうと、このOVAのための歌詞としては合ってません。
鷹羽は、これを原作のためにある歌詞だと思ってます。
ゲンは、ダイナックとして立つと決めたことで、一時期、宇宙海賊として指名手配を掛けられました。
そして、「海賊と呼びたけりゃ呼ぶがいい。だが獲物はでかいぞ。この銀河の全てを手にすると決めたんだから」と呟いて旅立ちました。
前述のジャルナ王女の述懐は、ゲンが指名手配されていた時期に、惑星イスナのササンドラ主席との会話の中で出たものです。
その際、ササンドラは、「銀河に自分の立場を持たない者が必要なのだ」と言っています。守るべき国を持つ者は、国益を優先するが故に銀河を守る旗手とはなり得ない、と。それができるのが、ゲンだと思うが、信じ切れない、と。
ゲンを信じるというジャルナに「君は強いな。私とて実際に見ているはずなのだがな、彼の力を」と言い、それに返すかたちでジャルナの述懐があったのです。
ジャルナは、こうも言っています。「大丈夫、ゲンなら、最後には、ちゃんとかっこつけてくれますから」と。
ザザーンは、トゥルーラドウを追って円卓に向かうリプミラ号を見送り、「ゲン、奇跡を見せろ。語るのではなく、実際に起こせ。それが何にも勝る力になる」と呟き、その場にいる全ての者に「円卓に“輪”がかかることも! ましてや破壊されることもあり得ない! なぜなら、ダイナックがその船と共に円卓に降りたからだ!」と宣言しました。
実際、ゲンは、円卓を守りきり、勇者ダイナックとして全銀河から認められることになりました。
個人的には、この主題歌を作ってくれただけで、OVAの存在を認めちゃいます。
「マップス」については、ダイナック伝説の秘密や、ダードのことなど、語りたいことが山ほどあるので、いずれまた書きたいと思います。
ですので、今回はここまで。
超人ロック
聖悠紀の漫画。
永遠を生きる超能力者ロックの活躍を描く。
40年くらい前は、超能力者といえば、ロックかバビル2世だった。
Dr.スランプ
1980年から週刊少年ジャンプに連載された鳥山明原作のマンガ。
タイトルに反して、主人公は博士である則巻千兵衛ではなく千兵衛が作ったアンドロイド:則巻アラレの方。そのため、アニメ化された際はタイトルを「ドクター・スランプ アラレちゃん」とした。
当時の担当編集者:鳥嶋氏を「ドクター・マシリト」という悪役にして登場させたのは有名。
摘詰角田野廷遊豪
千兵衛のご近所さんの摘さん一家の奥さん。夫はつん・つくつん、娘がつん・つるりん、息子がつん・つるてん。たぶん、奥さんが一番出番が少なかったと思う。
「ツンツンツノダのT.U.号」は、ツノダ自転車のCMソング。テーユー号はサイクリング車のシリーズで、自転車のくせにウインカーランプがあるなど、当時画期的にかっこよかった。
リプミラ・グァイス
ミラーの死後、再生された頭脳体。カリオンは、自分がリプミラに撃ち殺される未来を見ていたため、そのショックに耐えられるよう海賊として教育した。
伝承族ギルディオの念動力で体を操られ、カリオンを自分の銃で撃ち殺したリプミラは、カリオンが残した「“風巻く光”を探せ」という命令に従い、ようやく見付けた“風巻く光”を新たな主とした。
後に、十の魔物の1人として名乗りを挙げる。
ゲンが風で、リプミラが翼。気合いを入れるとき、「吹くぜ」「乗った」と言葉を交わす。
リプミラ号
純白の船体。翼を広げた天使型の宇宙船。
周囲からは、ダイナックの持ち船と認識されている。
星の涙を発射する際は、船体の中心から左右に割れる。
星の涙
リプミラ号が数千年かけて手に入れた武器。いつ頃どこでどうやって手に入れたのかは不明。
数百年前、リプシアンらの追撃を逃れるために使用した後放置され、ラドウが回収してリプレインに収納・使用していた。
縦に伸ばした雫型の結晶体で、一撃で惑星を破壊する破壊力がある。が、レインから入手した後リプラドウを破壊するために使った1回以外、まともに威力を発揮したことがない。
円卓防衛戦において、円卓への道を作るべく発射した後、行方不明になった。実は、星の涙をリプミラ号が装備していた期間は、本編の3分の1に満たない。
エナジー・フォールダウン
船から頭脳体にエネルギーを供給し、頭脳体サイズで船のエネルギー総量と同じだけの出力を持たせる技。
元々はダードの技だが、一度見れば真似できるらしく、リプミラやダインも使える。
リプミラがトゥルーラドウ、ジェンドラドウを倒したほか、ダードもこれでクローンラドウ1体を倒しており、本作最大の必殺技と言える。
ダイナック
銀河を束ね孵すといわれる伝説の勇者。伝承族の言葉で、「十・鬼・島宇宙」を意味する。
いくつもの伝承に謳われているが、本編中に出てくるのは4つ。
今回の文中で触れているのは、そのうち3つ。
「時凍てつき大地に間ある時、白き地図人 "風まく光" を示す」
「風は翼に乗り翼は風に乗る かの地 4枚の地表を持つ星にて 苦しみの刃 翼を割ることあれば注意せよ 風は光をもってその証を天になすであろう」
「静止し月の背見つめる青き円卓に3枚の星図揃う時 風に呼ばれし十の魔物七つの軍団集う すなわち地図たち」
3つめのものが物語のメインとなる。“青き円卓”に、ダイナックを助ける10人の力ある者が集まる(うち7人が大軍団を率いる)という意味。もちろん、円卓とは地球のこと。
惑星リングロドから生還して以降、ゲンは、自分がダイナックであると自称するようになった。
だが、この伝承には、重大な秘密が隠されている。
君塚星見
ゲンのガールフレンドで、なりゆきから共に宇宙へと旅立つことになった。
十の魔物の1人で、人質担当。地球に残っているため、ゲンが負ければ確実に死ぬ。
エピローグでは、行方不明だったゲンとリプミラが星見を迎えに来て3人で旅立った(誰も姿は見ていない)ところで終わる。
ニュウ・エイブ
秘密結社スペースパトロールの一員で、1話でリプミラ号を襲ったものの返り討ちに遭い、2話でリプミラ号の乗員となった。
超人ロックと同じ髪型で、超能力者だが、ESP波が特殊なので検知されないという特徴がある。リプミラ号が大破したときなどの脱出装置要員。
「私には、銀河の運命と戦おうとする友がいる。彼と共にあるために、私は力が必要なのだ」ということで、試練を乗り越えスペースパトロールの提督となった。
十の魔物の1人となり、第7軍を率いる。
要するに、最終決戦時にリプミラ号に乗らずにすむように偉くなったはずなのだが、結局リプミラを守って生身で戦うハメになった。「私ゃ、最終決戦の時にここにいたくなくて提督になったんですけどねぇ」とは、その時の弁。
全力を出せば、クローンラドウ3人を蹴散らして追撃を振り切ることができるほどの実力者ではある。
伝承族
銀河を裏から支配する宇宙人。惑星サイズの人間の頭部のような姿。
実は、伝承族という種族は存在せず、“伝承族の遺伝子”を注入された生物が変化したもの。これにより、“銀河系外の敵対種族と戦う”という目的意識を持つようになる。
当初は、元の生物の姿をしているが、年月が経って“三齢”と呼ばれる段階になると、脱皮して巨大な顔になる。
強大な念動力などを持つ。巨大故、脳内電流が流れるのにも時間が掛かるため、通常は、予知した未来に従ってあらかじめ行動を決めて動く。そのため、予測外の行動を取られると対応できないという弱点を持つ。
神帝ブゥアー
伝承族のトップ。巨大な胎児のような姿をしている。
数十億年掛けて、銀河生贄砲計画を進めてきた。リープタイプによって銀河に人間を増やしたのも、その一環。銀河にヒューマノイドタイプの宇宙人が多いのも、こういった作業の結果である。
銀河障壁
銀河全体を覆う巨大な見えない壁。
センサーには反応するが、目には見えない。どういう理屈かはわからないが、生物でも機械でも、およそ知性を持つものは通り抜けることができない。無理に通り抜けると発狂する。
誰も銀河系から脱出できないよう張られたものと思われる。
“さまよえる星人”の末裔であるゲンだけが通り抜けることができる。
ガッハ・カラカラ
ケイ素生物であるカミオ星人で、リプミラを目の敵にしていた。儲け話を何度も潰されてきたためというのが主な理由だが、実は、リープタイプが伝承族の手先だと知っていたことも理由の1つ。
カミオ星人は、石から進化した生物で、頑丈だがマントルの対流レベルで動きが遅いため、あちこちの星の人間に攫われて加速装置と制御装置を付けて改造され、兵士として売られていた。この辺りには、カミオ星人が伝承族にとって都合が悪い存在であるため、伝承族が情報操作をしていたという事情がある。おそらく、生贄砲の弾として役に立たない(反応が鈍すぎて断末魔のエネルギーを発する前に死んでしまう)せいだろう。
とある戦場で、制御装置が壊れたことで自我を取り戻したガッハは、武器商人となって金を稼いでカミオ星人を買い戻すと共に、死の商人として、自分達を道具として使ってきた者達への復讐をしてきた。
カミオ星人もビメイダーも同じ命だとするゲンの言葉を綺麗事と断じていたが、
宇宙ステーション内で星見とガッハ、ロジュルが落下しそうな時、ゲンがまず星見を助け上げるのを見て
「土壇場で仲間を取ったな。それでいい。お前の手は傷ついてる。どちらか選ぶなら、誰だってそうするさ。お前も所詮人間だってことだ。これが、俺のささやかな復讐だ」
と落ちていったが、さらにゲンは飛び降りてきて、落ちていくガッハとロジュルを両手で掴み、パイプに噛みついてぶら下がった。
「バカか!? そんなんでカミオ星人2人支えきれるわけねぇだろうが! 首が引っこ抜けるぞ!」
結局、ゲンはガッハ達を放り投げて助け、自らは落ちていった(結局リプミラが間に合って救われた)。
ゲンが身を捨てて自分を救ったことに「根性の入ったバカにゃ勝てねえや」と和解し、ガッハは持っていた星図を渡して去っていく。
この星図は、かつて“カミオ星人なら銀河障壁を越えられるかもしれない”という実験でガッハの父が送り出された際、砕け散った死体となって帰ってきた父の遺体が持っていたもの。ガッハは生贄砲で、星図から割り出した伝承族の本拠地を撃つつもりだった。
後に、十の魔物の1人として第3軍を率いる。
最終決戦時、序盤で大ダメージを食らって士気が下がった銀河連合軍に「銀河ってなぁ何だ! 半径10万光年の空間か? 星か? そんなもん、やられたって痛いとは思わねえ! 痛えと思う奴が銀河なんだ! この戦いはな、最低最悪の殲滅戦だ! 戦いが終わった時、息してる奴が1人でもいりゃ俺達の勝ちだ!」と檄を飛ばして戦線を維持した。
リプシアン号
銀色の船体。全身が次元屈折を利用した反射板になっており、大抵のエネルギー兵器は反射できる。頭脳体のシアンは、ラドウに見付けられる前は騎士をしていたため、かなりの堅物。
リプリム号
黄緑色の船体。通常時のエンジンとは別に、“次元振動エンジン”というあらゆる衝撃をエネルギーに変換できる超大出力のエンジンを積んでいる。ただし、動かすと負荷に船体が耐えられず、数分で崩壊する。
また、武器にも盾にもなるディメンジョンウォールは、ラドウのビームすら数撃耐える強度を持つ。
「自慢じゃないが、まっすぐ飛ぶ武器なんざひとつも持っちゃいないじぇい!」
リプレイン号
青い半透明の船体。液体金属を特殊な力場で固定して作られているため、あらゆる攻撃を透過させることができる。その特性を利用し、星の涙を収納していた。
レインが改造し、頭脳体が死んだときに自壊するようになっていたため、レインの死と共に崩れさった。
リプダイン号
赤銅色の船体。攻撃力に特化した船体で、戦闘能力はリプミラ号を遥かに凌ぐ。が、ダード号には全く歯が立たなかった。ダインが別行動を取っている隙に、ラドウの指令で動くように作り替えられていた。
リプラドウ号
黒い船体。実はラドウがダミーとして作ったもので、本来の船体ではない。
リプシアンの装甲をも貫く黒いビームを放つ。
ラドウ
20万年前の記憶を持つ六人の幽霊船のリーダー格。
実は、10万機のリープタイプは、ラドウを作るためのカムフラージュとして作られた。処分を免れた6機の中に本命が残ったわけである。
その正体は、生体細胞に伝承族の遺伝子を使ったビメイダーだった。コアは機械なので、伝承族の遺伝子の洗脳機能は働かず、強力な念動力を使える。また、質量が小さいので、反応速度が通常の伝承族とは段違いに早い。
ラドウ自身は、カリオンに好意を持っていたフシがあり、カリオンが逃げる際、パートナーにミラーを選んだことで、リプミラを憎んでいる。
ミラー逃走後、伝承族からは放置されていたようで、その間にガタリオンに見出され、手駒となったらしい。ラドウにとって、“ラドウを欲した”ガタリオンは、主とするに相応しい存在だったのだろう。
円卓戦において倒された際、地球上に1万以上のクローンラドウを生み出した。バックアップされていた記憶を受け継いだ1体は、ジェンドラドウと呼ばれる。
トゥルーラドウ号
白い船体。ラドウの本来の船体で、本体は普通サイズだが、翼が異常に大きく、全幅3kmと巨大。リプミラ号の頭部をはめるつもりなので、頭部を持たない(首チョンパ状態)。
翼端から、惑星を輪切りにできるほどのビームの“輪”を放つ。
ダード・ライ・ラグン
240年前、リプミラがライ族に捕獲され解析された際、“自己進化する船”という効率の悪い強化方法を気に入ったライ族の手によって、リプミラの番の船として作られた。宇宙船同士で子を産み、更に子が自己進化させようという計画だった。そのため、男性型になっている。
ライ族は、マッドサイエンティストの集団で、龍型の宇宙人。
ダードは、自分にライ族の自我を持たせながら人型に作ったことを憎み、後にライ族を全滅させている。感覚としては、地球人の自我を持っているのに姿がリザードマンというくらい自分が醜く見える。
当初の船体はリプミラ号に小さな竜が抱きついているようなデザインだったが、船体だけでも龍型にしたかったようで、自己進化の過程で、シルエットはリープタイプのまま、頭部の形状を龍に変えている。また、翼上部を軸に船体を前後に開くと、巨大な龍の口になり、敵を噛み砕くことができる。さらに、開いた船体にはリプミラ号を収容するための空間がある(収納すると、リプミラを抱き締めているような感覚らしい)。
ダードについては、語り始めるとそれだけで1本書けてしまうので、また後日。
いずれ、ダードのお話と、ダイナック伝説のお話も書きたいと思います。
めちゃめちゃエネルギー使うので、しばらく先になりますが。




