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20 ガメラはレギオンを許さないから(ガメラ2 レギオン襲来)

 十条楓さまからのリクエストです。

 初めて映画館で映画を見たのがいつだったかは覚えていません。

 3歳くらいの頃、おそらくはリバイバルであろう「バンビ」を母と一緒に見たのが最初だったのではないかと思います。

 「ガメラ」も見た覚えがあります。

 「ガメラマーチ」が流れていたので、「ガメラ対大魔獣ジャイガー」あたりでしょうかね。

 あとは、1974年に3つ上の従兄達と一緒に「ゴジラ対メカゴジラ」を見に行きました。

 子供だけで映画館に行ったのは、これが最初です。

 翌年の「メカゴジラの逆襲」も同じ顔ぶれで見に行きましたね。サイボーグ桂の改造手術シーンで心臓がどっくんどっくんいってるのが印象的でした。

 その後、ゴジラ映画は長い休止期間に入りましたが、テレビでゴジラ映画が放映される時は大抵見ていました。

 レンタルビデオなんてない、というか、そもそも一般家庭にビデオデッキなんて普及していなかった時代です。




 1984年に、「ゴジラ」が復活しました。

 もちろん映画館に見に行きました。

 当時は入れ替えなどなかったので、2回連続で見たんですよ。

 「ゴジラ対ビオランテ」も「ゴジラVSモスラ」も映画館で見ました。が、見てガッカリするようになったのもこの頃です。

 「ゴジラVSキングギドラ」では、見ながら寝てしまい、自分がいかに“つまらない”と思いながら見ていたのかを思い知りました。

 映画として、もうどうしようもなくつまらなかったのです。

 「ゴジラVSメカゴジラ」を最後に、見に行くのをやめてしまいました。




 そして。

 1995年、「ガメラ 大怪獣空中決戦」に出会ったのです。

 一応、昭和の「ガメラ」シリーズもスカパーで見てはいました。タダで見られるなら、安っぽいエンタメ作品でも耐えられます。

 「大怪獣空中決戦」は、脚本が伊藤和典さんだったことで、かなり期待していました。なにせ「パトレイバーthe movie」の脚本を書いた人ですから。

 期待以上のデキでした。

 謎の失踪事件から始まる、新種の生物捕獲作戦、福岡ドームから飛び立つガメラの回転ジェット、ギャオスのために発生した株価全面安など、“もし怪獣が本当に現れたら”というリアルな描写と、ガメラ映画としてのお約束を、実に巧みに融合させていました。

 世界に1羽しかいないであろうギャオスを「トキよりも貴重」と称した役人(演:本田博太郎)に、主人公が「トキは人を食いませんよ」と返したのも絶妙でしたね。




 さて。

 「大怪獣空中決戦」は、鷹羽のみならず、陳腐化したゴジラ映画に飽き飽きしていた怪獣ファンに、諸手を挙げて歓迎されました。

 そして翌年、続編として登場したのが「ガメラ2 レギオン襲来」です。

 期待感はいやましますね。

 滅茶苦茶期待して見に行って。

 期待以上でした。

 内容としては、宇宙から飛来した怪獣:レギオンとの戦いです。

 レギオンは、1体の巨大レギオンと無数の小型レギオンからなる集団で、「草体」と呼ばれる宇宙植物と共生し、行き着いた星で増殖しては草体の射出で他の星に行き着く、という繁殖方法を採る宇宙生物です。その際、星の酸素濃度を凶悪に濃くするためその星の現住生物が生きられなくなり、また、草体の爆発で都市が壊滅する規模の破壊をもたらす、というはた迷惑な生き物たちです。

 ガメラは、地球の生態系を守るためにレギオンと戦うのです。人間のためではなく。ラスト、穂波と帯津の会話で、人間が地球環境を破壊すれば、ガメラの攻撃対象になることが示唆されています。

 そして、人間の側でも、レギオンの生態を解明していき、最終的にガメラと協力する形でレギオンを倒します。


 人間側のキーマンとなっているのが、穂波、帯津、渡良瀬の3人です。

 門外漢でありながら、何の気なしに言った一言がことごとく正鵠を射ているヒロイン:穂波、一見突拍子もない穂波の言葉に科学的な裏付けを与えるNTT職員:帯津、素人である穂波の言葉を真剣に受け止め、“現場の判断”という名の違法ギリギリな対応で当たる自衛隊員:渡良瀬。

 特に渡良瀬は、本来ぎちぎちに縛られている自衛隊という組織にあって、ガメラという不確定要素を味方とみなすためのクッション役として機能していました。


 ガメラと巨大レギオンが戦う中、ガメラを援護すべきという進言に、師団長は「我々の火力は無限ではない」と、第3勢力であるガメラを援護するために貴重な弾薬を使うことを拒否しています。

 一見頭が固いようですが、指揮官としては真っ当な反応でもあります。

 “敵の敵は味方”という思考は、戦場では必ずしも成立しないのです。



 勝利の鍵となったのは、非戦闘員である帯津でした。

 帯津は、なんだかちょっと自信なさげなひょろっとした男なんですけど、頭が柔らかくて穂波や渡良瀬の仮説(レギオンは電波を発するものを攻撃する)から、襲われたものは特定の波形を含む電磁波を発していたことを突き止めたり。

 決戦を前に、安全なところに行くよう促され、「お払い箱ですか。せめて戦況がわかるところにいたいのですが」と食い下がり、戦場からは離れたものの、自衛隊の詰め所で状況を見守ります。

 渡良瀬の副官である花谷に「これが終わったら、一杯奢らせてください」と言われ「喜んで」と返す。男の友情ですね。

 そして、このことが勝利の決め手になります。

 ガメラと戦う巨大レギオンは、配下の空飛ぶ小型レギオンを射出し、ガメラを攻撃させようとします。

 小型レギオンは小さすぎて、ガメラは対処できないのです。

 帯津は、その様子を見て、近くのNTTの変電所から電波漏れを起こさせるのです。

 「NTTで電波漏れの事故発生」との報告を受けた幕僚本部では、花谷が「帯津さんだ」と気付き、渡良瀬はこれ幸いと「民間人に犠牲者が想定される事態です」と上申し、ヘリ部隊を率いて小型レギオンを殲滅しました。

 ガメラを直接援護することはできなくても、民間人を守るためとすり替えて実質的に援護するこの臨機応変さ、痺れます。


 1つ1つは繋がっていない事柄なのに、

  戦況が見えるところにいたい → 戦況を把握して対応 → 状況を最大限に活かして間接的にガメラを援護

と、実にクレバーです。かっこいい!




 帯津が本当にいい味出していたので、同じくガメラ好きな友人に「帯津さん、いいよね!」と言ったら、「フライドチキン男だからな」との答えが返ってきました。

 「フライドチキン男」というのは、東映不思議コメディシリーズ「有言実行三姉妹(シスターズ)シュシュトリアン」に登場するサポートキャラです。

 毎回シュシュトリアンが決めぜりふに何かの格言を言うと、その解説をするのが主な役目でした。

 そうか、ふざけた役だけじゃなくて、こんなのもできるんだ! と感心したものです。

 ちなみに、帯津を演じていたのは、吹越満さん。

 最近はあちこちのドラマに出演しているのでメジャーだと思いますが、昔からいい役者さんだったんですよ。「デカワンコ」にメインキャラで出演してるのを見た時は嬉しかったなぁ。




 「ガメラ2」は、ストーリー面のみならず、映像・特撮面でも見所が多かったです。

 冒頭、小型レギオンにやられてヘロヘロになって飛ぶガメラ、そこからビルのガラスに飛び散る緑色の血、中盤、至近距離で草体の爆発を食らって炭になったガメラ、終盤、地球中からエネルギーを集めて甲羅の腹を開いて発射する豪快なウルティメイトプラズマ…。

 特撮以外にも、街中を走る戦車など、自衛隊の全面協力で撮影できた絵面も多いようですね。

 また、出撃前の自衛隊員のシーンで、小林昭二さんが出演してます。

 小林さんは、「ウルトラマン」のムラマツキャップ、「仮面ライダー」の立花藤兵衛を演じられた方です。鷹羽の記憶によれば、これが最後の特撮物出演でした。

 ちなみに、この後「ガメラ3 邪神(イリス)覚醒」があって、平成ガメラ3部作と呼ばれていますが、3作ともに出演しているのは、1作目で長崎県警の大迫を演じた螢雪次朗さんと、ガメラの巫女だった浅黄を演じた藤谷文子さんだけです。

 大迫は、長崎県警の刑事から、北海道で警備員、渋谷でホームレスと、どんどん落ちぶれていきました。怪獣に人生を狂わされた人ですね。

 あと、もう1人、1作目のヒロイン長峰を演じた中山忍さんは、「ガメラ2」では本の著者近影として登場しています。1作目の顛末を出版したようで、「怪鳥と遭遇した日」という本が穂波の部屋にありました。あと、穂波の本棚にはゲド戦記もあります。

 長峰は、「ガメラ3」で主人公として再登場しますが、1作目の主人公とはうまくいかなかったようですね。


 「ガメラ3」は、登場するキャラも1作目からの再登場がかなりいたり、当初の敵がギャオスだったりと、1作目との繋がりが強いです。

 鷹羽は、イリスは割と地味というか、キャラが立ってないと感じるので、3部作で「ガメラ2」が最高だと思っています。

 まぁ、「ガメラ3」がこぢんまりとしてしまったのは、レギオンも含めほとんど新キャラで固めた「ガメラ2」で、世界観を広げすぎた弊害もあるでしょうけど。仙台なくなってますし。

 既存の怪獣に頼らず、斬新な設定と能力のレギオンは、そういう意味でも、存在感がありました。

 シリーズの魅力というのは確かに大きいのですが、それでも、1つの映画として楽しめて完成度が高いというのは、重要だと思うのです。

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